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「ほんと、昔はお金の管理ができなかったんだから」披露宴で2度出た昔話。笑い声が止まった瞬間

  • 2026.9.15
「ほんと、昔はお金の管理ができなかったんだから」披露宴で2度出た昔話。笑い声が止まった瞬間

披露宴の中盤で、席から立ち上がった人

四年前、従兄の結婚式に出たときのことです。

会場には親族が30人集まり、丸いテーブルが五つ並んでいました。私は新郎側の、入口に近い席に座っていました。

料理が半分ほど運ばれたころ、新婦側のテーブルから60代くらいの女性が立ち上がりました。

「ねえ、ちょっとだけいい?せっかくだから、私にも少し言わせて」

マイクは持っていませんでしたが、近くの人が話をやめると、その声につられるように周囲も静かになりました。

はじめは新婦の子どものころの話でした。

「小さいころはね、よく一緒に公園まで歩いたのよ。『まだ帰りたくない』なんて言ってね」

懐かしそうな話に、いくつかのテーブルから笑い声が聞こえました。

ところが、途中から話の中身が変わりました。

「でもね、昔はお金の管理ができなかったのよ。あのころは心配したんだから」

笑い声が止まりました。

それでも女性は続けます。

「ほんと、昔はお金の管理ができなかったんだから。今はちゃんとしてるんでしょうけどね」

同じ話が二度出たところで、会場の空気が一気に重くなりました。

新婦は笑顔を崩してはいませんでした。

ただ、テーブルの上に置いていた手をそっと下ろしました。隣の新郎も新婦の顔を見て、何か言いかけたまま黙りました。

壇の脇にいた司会が、穏やかな声で呼びかけました。

「ありがとうございます。お気持ちは十分伝わりましたので、そろそろ次へ進ませていただいてもよろしいでしょうか」

女性は少し驚いたように振り返りました。

「えっ、もう?あと少しだけなのよ」

大きな声は、最後まで出なかった

司会は急かすことなく、もう一度声をかけました。

「すみません。続きはまたお話しいただくとして、進行がありますので、お席へお願いできますか」

「ほんとに、もう少しだけだから」

女性はまだ座りません。

司会は少し間を置いてから、今度はゆっくりと言いました。

「お気持ちはありがたいのですが…申し訳ありません。ここで一度、ご着席をお願いいたします」

そのとき、新婦の父が席を立ちました。女性のそばまで行くと、周囲に響かないくらいの声で話しかけました。

「もう、そのくらいにしておきましょう。今日はお祝いの日ですから」

女性は新婦のほうを見ました。

「…そんなに変なこと言った?」

新婦の父は声を荒らげず、短く答えました。

「今日はここまでにしましょう」

女性は少し黙ったあと、「そう」とだけ言って椅子に座りました。

司会はそれを確認すると、すぐに進行へ戻りました。

「ありがとうございます。それでは、披露宴を続けさせていただきます」

少しずつ皿を下げる音や話し声が戻ってきました。新郎が新婦に何か小さく声をかけると、新婦もわずかに表情をゆるめていました。

帰りの電車で、隣に座った弟とその場面を振り返りました。

「あれ、聞いてるこっちまでつらかったな」

「うん」

弟は小さく息を吐きました。

「昔の話でも、あの場では言わないほうがいいよな」

「でも、誰も怒鳴らなかったね」

「うん。それで済んでよかったんじゃないかな」

強い言葉で止めれば、もっと気まずい空気になっていたかもしれません。静かに進行を戻した司会と、短い言葉だけで女性を座らせた新婦の父の対応が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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