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「昨日は病院でしたよね」誰にも話していない予定を知っていた同僚に、私が感じた違和感

  • 2026.9.15

有給の翌日に、同じことを二度たしかめられた

四十歳になった年のことだ。当時の職場には、顔と名前がすぐに一致しない人も多く、彼もそのうちの一人だった。仕事で組んだことは一度もなく、廊下ですれ違えば会釈をする。それくらいの相手だった。

気になりはじめたのは、有給を取った翌日だった。給湯室でお茶を注いでいると、後ろから声をかけられた。

「昨日、休みでしたよね」

「ええ。ちょっと用事があって」

それだけ答えてカップを持ち上げたとき、彼が続けた。

「昨日は病院でしたよね。体、大丈夫なんですか?」

思わず振り返った。

「え…どうして知ってるんですか?」

彼は一瞬黙ったあと、少し首をかしげた。

「昨日は病院でしたよね?」

「そうですけど…誰かから聞いたんですか?」

その日どこへ行ったのかは、家族以外の誰にも話していなかった。

けれど彼は、「いや、別に」と曖昧に笑っただけだった。

その場ではそれ以上聞けず、私は給湯室を出た。それでも、席に戻ってからも妙な引っかかりが残った。

それからしばらくして、帰りが遅くなった翌朝にも声をかけられた。

「昨日、遅かったですね」

「…どうして分かるんですか?」

「なんとなくですよ」

「なんとなくって……」

私が聞き返すと、彼は困ったように笑い、そのまま話を切り上げた。

同じ職場なのだから、帰るところをたまたま見られた可能性はある。それでも、こちらから何も話していないことを何度も先に言われるうちに、偶然だと思うのが難しくなっていった。

「たまたま」が重なるほど、怖くなった

やがて、仕事とは関係のない内容の連絡も届くようになった。

「雨、けっこう降ってますね。帰り、気をつけてください」

最初のうちは、ただ気を遣ってくれているだけなのかもしれないと思った。

けれど、別の日に届いた一文を見て、手が止まった。

「さっき家の近くで見かけましたよ」

私は返事をしなかった。

似たような連絡がその週のうちに何度か続き、翌朝、廊下ですれ違ったときに彼のほうから話しかけてきた。

「昨日、遅かったですね」

「……見てたんですか?」

思っていたより強い声が出た。

「いや、見てたっていうか……たまたま見かけただけですよ」

「でも、こういうこと何回かありますよね」

「本当に偶然ですって」

彼は笑っていたけれど、私はもう笑い返せなかった。

さらに、休みの日に買い物へ出かけたときにも、店内で声をかけられた。

「あ、やっぱり来てたんですね」

思わず足が止まった。

「……やっぱりって、どういう意味ですか?」

「いや、別に。なんとなくそう思っただけです」

その答えを聞いても、安心はできなかった。

週明け、上司に話した

週明け、私は上司に相談した。

自分でも何が起きているのか説明しきれなかったので、病院のことを言われた日から、覚えている出来事を順番に話した。

「私の考えすぎだったら申し訳ないんですけど……何も話していないのに、行った場所や帰った時間を知られていることが何度もあって。ちょっと怖いんです」

上司は途中で口を挟まず、最後まで聞いてくれた。

「分かった。無理に本人と話さなくていいから。こっちでも考えるよ」

それを聞いて、ようやく少しだけ肩の力が抜けた。

その月のうちに私は別の部署へ移った。それからは彼と顔を合わせる機会もほとんどなくなり、声をかけられることもなくなった。

直接、何か危害を加えられたわけではない。

結局、どうして彼が私の行動をあれほど知っていたのかは分からないままだ。

異動してからもしばらくは、仕事を終えて建物を出るたびに、誰かが後ろにいないか振り返ってしまった。

何もいないと分かってから、ようやく家へ向かう。そんな癖だけが、あの秋のあともしばらく残っていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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