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元日テレアナウンサー石川牧子さん・76歳。3LDKから1LDKの老人ホームに住み替えるために実践した「終活的片づけ術」とは?

  • 2026.9.14

元日テレアナウンサー石川牧子さん・76歳。3LDKから1LDKの老人ホームに住み替えるために実践した「終活的片づけ術」とは?

かつて日本テレビで「アメリカ横断ウルトラクイズ」「世界陸上」など伝説的番組の司会を務めた名アナウンサー石川牧子さん。民放キー局で女性初のアナウンス部長となったレジェンドです。第一線を退いた後もフリーランスで仕事を続けながら、5年前、72歳で老人ホームへ入居しました。3LDKから1LDKへ、大幅減の居住スペースに合わせてモノを減らした、その「終活的片づけ術」を聞きました。

Profile

いしかわ・まきこ●1949年山形県鶴岡市生まれ。東京女子大学短期大学部卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。「アメリカ横断ウルトラクイズ」など数々の番組の司会を担当し、民放キー局で女性初のアナウンス部長に。第一線を退いた後、2014年5月まで日テレ学院学院長としてアナウンサーの指導・育成に携わり、コーラスグループ「フォレスタ」ライブの司会を16年間務めた。NPO法人日本マナー・プロトコール理事、BSよしもと番組審議員など多数歴任。最新刊は『自分らしく老いる覚悟。元祖女性アナウンス部長 私、老人ホームに入りました!』(青娥書房)。

23年住んだ家のモノの多さにたじろぐ

「この先、何が起こるかわからない。独り身の私は、せめて他人に迷惑をかけないよう自分の後始末は自分自身でしよう。体が動き、頭がしっかりし、判断力があるうちに自分の意思で未来に備えたい」

東京と仙台を往復する親の遠距離介護と看取り、そして思いがけない弟の孤独死という壮絶な体験をした石川さん。偶然、6年前に理想の「終の住み処」に出合うと、「今が絶好のタイミング」と、すぐに不動産仲介業者に当時住んでいたマンションの売却を依頼。翌年、入居資金と生活費のめどが立つと、住み替えの覚悟を固めた。同時に始めたのがモノの片づけだった。

「3分の1になる居住スペースに合わせて、コツコツと約1年半かけてモノを減らしました。当時住んでいたマンションは父を呼び寄せるつもりで購入した3LDK。部屋が広い分モノも増え、一部屋は倉庫のようになっていました」

23年間に蓄積したモノの数と量は想像を超えるものだった。多すぎるモノに囲まれていると、いざ片づけようと思っても、どこから手をつければいいのか途方に暮れる。石川さんの初めの一歩はどこだったのだろう?

「その人が何のために片づけるのかによりますが、私の場合は狭いところに引っ越さなければならなかったので、まず大きな家具の処分から始めました」

「それなりに自慢だった」家具は友人や知人に声をかけ、気に入ったものを持って行ってもらい、それ以外の家具や家電、雑貨は買い取り業者に引き取ってもらった。

できるだけ捨てずにお金に換えたい

一番てこずったものは?

「洋服です。人前に出る仕事ということもあって、服の種類や数が相当ありました。でも、仕事を整理する段階にきてスーツやタイトスカート、ハイヒールなどはもう処分しようと。捨てるのはしのびないので、1円でもいいからお金に換えられたらと、洋服専門の買い取り業者さんに来てもらうことにしました」

今や星の数ほどある買い取り業者だが、どこでもいいわけではない。石川さんは数社に依頼した結果、残ったのは一社だけだったという。

「業者さんはまずシャネルやエルメス、グッチなどの有名ブランド品の有無を聞いてきます。私はそういったものは持っていなくて、『こういうブランドのものなんですけど』と言うと、その業者さんは『あ、そのブランドはこういうブランドですね』と即答してきたんです。よく勉強している業者さんで信頼できました。引っ越し前から贔屓にしていて、今も引き続きお願いしています」

それでも、まだ手放せない服はたくさんある。

「スーツはかなり処分しました。でも、今後もし会議があったら、と考えるとある程度はとっておかないと、と思ったり。トランクルームのひとつにはステージ用の衣装が入っていますし、ハイヒールも最小限は必要かなとか。これからどんな場に行くかわからないので、捨てきれないんですよね。80歳になったときに必要かどうかはわからないですけど」

思い切って処分したものもある。

「オーバーコートは重くて疲れるので処分しました。また、明らかに今の体型と合わないものも捨てるしかない。そして着物は取っておいても絶対に着ないので、着物の買い取り業者に全部持って行ってもらいました。この年齢で自分で帯を締めたりするのは大変だし、美容室で着付けをして髪も結うと何万円もかかりますから。ただ、母が紡いでくれた反物と、ごく短い期間しか着られない紗無双(しゃむそう)だけはドレスにリフォームして手元に置いています」

昔、高かったものも今や二束三文

ご存じのように着物の買い取りは、悲しいほど値がつかないことが多い。

「文化財級の着物でも二束三文になるので、ちょっとそれはあまりにも……」

そこで石川さんは、知り合いに目利きの業者を紹介してもらい、相応の値段で買い取ってもらうことができた。

着物以外にも、昔、大枚をはたいて買ったのに、今、まったく値がつかないものがある。

「今、引き取ってもらえないのは毛皮や革のコート。段ボール一箱5000円とかで東南アジアへ送るらしいです。革の靴も履かないでいると劣化するので、怖がってなかなか持って行ってもらえません。高かったのに……、と捨てるのも躊躇してしまい、困っています」

ライフステージが変わると、必要な服も変わる。

「ここに入居してからパンツにスニーカーというカジュアルな服装が多くなりました。スカートをはいていると皆さんから珍しがられるほど。そして、指輪などのアクセサリーをつける気持ちも失せました。つけないとなるとそれで済んでしまうんですよね」

宝飾類も近いうちに買い取り業者に引き取ってもらうことを考えている。

「整理しているくらいなので、このところ洋服は買っていません。でも、まだ着られる昔の服を着て街に出ると、『なんか私って古臭い』と感じるんです。だから、ある程度は新しい服を買うことも必要なんですよね。そのために、今、迷っているものもどんどん処分しないと」

「今持っている服を半分に減らす」のが目標だと言う。

写真は最期に必要なものがあればいい

もうひとつ「大変だった」と振り返るのは写真の整理。

「たくさんあったアルバムを3冊にしました。シュレッダーではなく一枚一枚手で写真をちぎって。思い出にふけっていると時間がいくらあっても足りないじゃないですか。それがわかっていたから『もういらない』と、あえて心を鬼にしてビリビリと。高齢になっての片づけですから、最期に必要な写真だけを残して、あとは処分しました」

仕事で会った有名人との写真など、貴重なものもたくさんあった。

「でも、自分にとって大事な写真でも、人にはそこまで思い入れはないんです。思い出に執着していたら何も捨てられません。これが最期に必要かどうかと俯瞰で見ることが大事。他人の目で見る終活です」

今、入居しているのは自立型の老人ホームだ。いずれ介護が必要になった場合は、近くにある同じ系列の介護型の老人ホームに移ることになるという。

「そちらには今あるもの全部は持っていけないので、いずれはそれも考えないと。もっと身軽にならないといけないんですよね」

石川さんの片づけはまだ続く。

撮影/佐山裕子(主婦の友社) 取材・文/依田邦代

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