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最初からネタバレ全開で部屋にこもる鶴!? 『雪のヤドカリ4コマ劇場』が仕掛ける、斜め上をいく新感覚の昔話【書評】

  • 2026.9.11

【漫画】本編を読む

『文学的なオチが癖になる 雪のヤドカリ4コマ劇場』は、漫画家・イラストレーターとして活躍中の雪のヤドカリさん(@yukinohotel)による4コマ漫画だ。

誰もが知る定番の昔話「桃太郎」も、雪のヤドカリさんの手にかかれば、さらなる物語の広がりを期待できる新感覚のストーリーへと様変わりする。

「大きな桃が流れてたんで拾ってきましたよ」とおばあさん。「食費がメチャクチャ浮くと思って」と、妙に現実的な理由まで説明してくれる。そんなおばあさんに、おじいさんは「ばあさんのそういうところ好きだなあ」とナチュラルに愛を囁くのだ。熟年離婚に至る夫婦もいる中、このふたりが今もおしどり夫婦なのは、おじいさんが日頃から「さりげなく愛を伝えられる人」だからかもしれないと、思わず感心してしまう。

しかし、本題はここからだ。

おばあさんは、川で拾った大きな桃を「そい!」と気合いとともに手刀で、いとも簡単に割ってしまう。中からは玉のような男の子が。この子が桃太郎……かと思いきや、本作の「桃太郎」は、そんな単純な展開では終わらない。

本家より複雑かつ奥行きのある人間ドラマになりそうな予感を秘めたオチは秀逸。ぜひ続きを描いてほしいと思わせる魅力が詰まっている。

他にも、「鶴の恩返し」をベースにしながらも、なぜか人間の女性に化けることなく「先日助けていただいた鶴です」「自分の羽根を毟って機織りするので覗かないでくださいね」と、最初からネタバレ全開で部屋に閉じこもる鶴のお話や、「浦島太郎」で助けた生き物がもしも「ウニ」だったら……というシュール極まるエピソードも存在し、読者を飽きさせない。

文=雨野裾

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