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能登での震災経験を耐震技術に 石川県の繊維染色加工場が「CABKOMA工法」で建築技術性能証明を取得

  • 2026.9.11

化学合成繊維の染色・加工を行う小松マテーレが11日、P.O.南青山ホール(東京都港区南青山)で「『CABKOMA®(カボコーマ)工法』建築技術性能証明取得」発表会を開催した。

同社の「CABKOMA®工法」は、軽量で柔軟な炭素繊維撚り線を耐震補強用ブレース(筋交い)などに用いる最先端の耐震補強技術である。地震の多い日本における次世代の耐震ソリューションとして、また、鉄骨造屋根面の水平構面の耐震補強や、老朽化した工場のBCP・耐震対策の新たな選択肢として注目される。

長年、繊維の染色加工を手がけ、事業を継続してきた同社は、繊維加工で培った経験を生かし、「熱可塑性炭素繊維複合材料撚り線」を2014年に開発。今年に入り、一般財団法人日本建築総合試験所(GBRC)の建築技術性能証明を取得した。

同社の代表である中山大輔氏は、本社や工場が石川県能美市にあることを紹介し、「最近、この地域が大きな震災、あるいは豪雨に見舞われている地域であるということをまずご理解いただきたい」と語り、環境共生素材の製造・販売にも力を入れるようになったきっかけを説明した。

中山氏は「私は生まれも育ちも石川の人間。小さな時から石川県は安全、災害は一切来ない、地震も台風もない、いいとこだよと言われて育ってきたのに、2007年、あろうことか、地元の能登、加賀に大きな揺れが来た。この頃、日本の炭素繊維メーカーの大手は炭素繊維という材料に向き合って、大手ならではの炭素繊維事業の拡大を図っていた時代でしたが、我々は真っ向から大手と戦っても勝てっこない。あぜ道を走りながらニッチなマーケットを開拓したいという思いで、2007年、耐震補強に取り組む決意をしました」と話す。

石川県は繊維産地として有名で、組紐を作る技術が伝統工芸として脈々と受け継がれてきた。中山氏は「我々はこの炭素繊維という糸をロープ状に組紐にすることで耐震補強材になるのではという仮説を立てた」と述べ、実績がない中、まずは新社屋を使って自社の耐震補強技術を試したと説明した。

能登半島地震で補強した建物の無事を確認
中山大輔氏

工事完了後、2024年元日、石川県は再び能登半島地震に見舞われたが、震度5強の揺れを観測した能美市で、補強した建物の無事が確認できたという。中山氏は「我々の耐震補強材の素晴らしさを改めて知った」と振り返る。

同席した江尻憲泰氏は、構造家で日本女子大学教授を務め、同社の工法の学術的検証および開発協力にあたってきた一人だ。会見では「布の技術を使って開発されているもので、我々、建築業界の人間が開発しようとしても、多分できない技術。奇跡的というか、十何年付き合わせていただき、こんな製品を、このように開発して進めていく機会はなかなかない。非常に稀な製品として、世の中に出てきてもらえたことが嬉しい」と、新技術の建築技術性能証明取得を喜んだ。

同社技術主任の細川穂奈美氏も「鉄骨造の屋根面だけでなく、木造にも対応できる」と、同製品の多様な用途や優れた完成度を強調した。

イベントでは、同じく本プロジェクトに関わった建築家の隈研吾氏もビデオメッセージを寄せ、「建築技術性能証明を取得したのは大きな一歩。最初に見た時から、これは建築を大きく変える可能性があるものだと感じていた。これから建築の本当に必要な素材の一つとして、正面切って打って出るという時代が始まった」と、今後の展開に期待を寄せた。

(取材・文:名鹿祥史)

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