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「それ言わなくてもいいのにな」結婚式の祝辞で新婦の失敗談を続けた上司。だが、気まずい祝辞のあと、同僚が語った新婦の素顔

  • 2026.9.12
「それ言わなくてもいいのにな」結婚式の祝辞で新婦の失敗談を続けた上司。だが、気まずい祝辞のあと、同僚が語った新婦の素顔

笑い話のはずなのに、誰も笑わなかった

友人の結婚式は、芝生の見える小さな会場で開かれた。

乾杯が終わり、料理が運ばれ始めたころ、司会がマイクを取った。

「続きまして、新婦の職場の上司の方より、ご祝辞を頂戴いたします」

拍手が起こり、新婦の上司だという男性がゆっくり立ち上がった。

「いやあ、今日は本当にきれいですね。職場ではこんなに緊張している顔、見たことないですけどね」

最初は何人かが笑った。新婦も少し照れたように頭を下げていた。

ところが、そこから話の雰囲気が少しずつ変わっていった。

「彼女とは、もう8年くらい一緒に働いてるんです。でもね、今でも『あの資料どこでしたっけ』って探してることがあって」

上司は笑いながら続けた。

「ちょっと頼りないところもあるんですよ。こっちが『またか』って言いたくなることもあってね」

今度はほとんど笑い声が起きなかった。

新婦は笑顔のままだったが、さっきより少し表情が固く見えた。

正面の席では、新婦の父が目を伏せている。母も膝の上のナプキンを何度か折り直していた。

私の隣には、新婦と同じ職場だという女性が座っていた。

その人はグラスを置くと、小さな声でつぶやいた。

「…今日、それ言わなくてもいいのにな」

思わず顔を見ると、女性も困ったように眉を寄せていた。

「本人は笑い話のつもりなんでしょうけどね。あの子、ああいうこと言われると笑って流しちゃうから」

私はもう一度、新婦のほうを見た。

確かに新婦は笑っていた。でも、楽しそうな笑顔とは少し違って見えた。

次にマイクを持った同僚が話したこと

上司の祝辞が終わると、会場からは控えめな拍手が起きた。

そのあと、予定されていた職場の同僚からのメッセージとして、先ほど私の隣にいた女性が前へ出た。

マイクを受け取ると、新婦を見て少し笑った。

「何を話そうか、さっきまで迷ってたんですけど……やっぱり、いつものことを話しますね」

新婦もようやく少し自然な笑顔になった。

「私、仕事で分からないことがあると、たぶん一番最初に彼女のところへ行ってます」

女性は少し考えてから続けた。

「『ちょっと助けて』って言うと、忙しくても『いいよ、どうしたの?』って手を止めてくれるんです」

会場が静かになった。

「だから今日くらいは言わせてください。いつも本当に助かってます。ありがとう」

新婦は一度うつむき、それから目元をそっと押さえた。

後ろの席から拍手が始まり、それにつられるように会場全体へ広がっていった。

大げさな反論でも、上司を責める言葉でもなかった。

ただ、普段一緒に働いている人だからこそ知っている新婦の姿が、短い言葉から伝わってきた。

披露宴がお開きになるころ、先ほどの上司が新婦のそばで足を止めていた。

何を話しているのかまでは聞こえなかったが、最後に上司が「ちょっとしゃべりすぎたな。ごめんな」と言う声だけが聞こえた。

新婦は少し困ったように笑いながら、「もう、今日だけですよ」と返していた。

そのやり取りを見て、祝う席では、面白い話よりもその人がうれしくなる言葉を選ぶほうがずっと難しいのかもしれない、と感じた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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