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旭松食品が東北大学・宮澤陽夫名誉教授との共同研究で高野豆腐の賞味期限を2倍に延長

  • 2026.9.10

旭松食品は、国立大学法人東北大学、宮澤陽夫名誉教授との共同研究により、高野豆腐の原料として高オレイン酸大豆を使用することで、高野豆腐の脂質酸化を抑制し、賞味期限の延長を実現したことを発表した。

高野豆腐の脂質酸化という課題

高野豆腐は、大豆由来の脂質(主に酸化されやすいリノール酸やリノレン酸が多い)が約30%含まれている。この脂質は保存中に徐々に酸化し、風味の低下や硬化につながる場合がある。高野豆腐は多孔質のため脂質と空気が接触する面積が広くなり、酸化されやすい性質を持っているため、従来の高野豆腐の賞味期限は6カ月だった。

脂質の酸化程度は、POV(過酸化物価)やAV(酸価)といった指標で評価され、これらの数値が高くなるほど酸化が進んでいることを示す。常温で徐々に進行する自動酸化に対する指標としては、POVの方がより重要と考えられている。

高野豆腐のおいしさや品質を長く保つためには、脂質の酸化をできるだけ抑えることが重要で、酸化した脂質を摂取することによる健康被害の可能性もある。即席めん(脂質含量が約20%)では、POV30、AV3以下という基準(※1)がある。

そこで、脂質研究の第一人者である東北大学の宮澤陽夫名誉教授との共同研究により、脂質酸化を防止するために取り組み、その成果となる論文(※2)を発表した。

ガスバリア性包装材では高野豆腐の酸化は防げない

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高野豆腐の脂質の過酸化物価(POV)の推移 [/caption]

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高野豆腐の脂質の酸価(AV)の推移 [/caption]

高野豆腐中の脂質酸化は、空気中の酸素によって引き起こされる。

そこで、包装材を酸素透過性の無いガスバリア性包材を使用することで酸化を抑えられる可能性も考えられるため、試験を行ったが、その結果、ガスバリア性包材単独の使用では高野豆腐の脂質酸化速度を遅らせる効果は認められなかった。

この理由は、たとえ外から入ってくる酸素を遮断したとしても、高野豆腐自身や包装材中には高野豆腐中の脂質を酸化させるのに十分な量の酸素が存在するためだ。また、ガスバリア性包材を使用することで、逆に酸化が速い傾向があった。

これは、実験誤差の可能性もあるが、脂質酸化によって生じた揮発性アルデヒド等がバリア性によって霧散されずに包装材内に留まってしまうことにより、かえって脂質酸化を促進してしまったという要因も否定できない。

また、包材にガスバリア性を持たせたとしても、包材内に十分な酸素が存在するため、 脂質酸化を遅らせる効果は無かった 。

オレイン酸と高オレイン酸大豆

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大豆における脂肪酸組成の比較[/caption]

オレイン酸は、オリーブオイルにも多く含まれる脂肪酸の一種で、リノール酸などと比較して酸化しにくい性質を持つ。高オレイン酸大豆は、このオレイン酸を一般的な大豆よりも多く含み、反対に酸化されやすい脂肪酸の割合が少ないという特長がある。そのため、高オレイン酸大豆は食用油の原料として主に活用されており、繰り返しの加熱調理によっても酸化されにくい効果が期待されている。遺伝子組み換えやゲノム編集によらず、自然交配によって高野豆腐用の高オレイン酸大豆を開発した。

高オレイン酸大豆を使用した高野豆腐の有用性

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高野豆腐の脂質の過酸化物価(POV)の推移 [/caption]

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高野豆腐の脂質の酸価(AV)の推移 [/caption]

通常大豆および高オレイン酸大豆を使用した高野豆腐について、それぞれ脂質酸化速度を測定した結果、高オレイン酸大豆由来の高野豆腐のほうが、保存期間中のPOVおよびAVの上昇が大幅に抑えられることを確認した。

これは、高オレイン酸大豆に酸化しづらいオレイン酸が多く含まれ、酸化しやすい他の脂質が少ないことで酸化が緩やかになったと考えられる。これにより、高野豆腐のおいしさや品質をより長く保つことが可能となり、賞味期限が1年に延長することを実現した。

研究者プロフィール

東北大学・宮澤陽夫名誉教授は、分析化学を基礎とし、油の酸化・大豆食品・抗酸化物質・生活習慣病予防・認知症予防など食品科学の第一人者として東北大学大学院農学研究科の教授を務め、2015年に東北大学名誉教授、現在は東北大学未来科学技術共同研究センターの食品バイオのプロジェクトリーダーを務めている。数々の研究成果が認められ、紫綬褒章や瑞宝中綬章を受章している。

研究をもとに、より美味しく、より安心に、長く楽しめる食品へと進化した高野豆に注目だ。

旭松食品公式サイト:https://www.asahimatsu.co.jp 高野豆腐へのこだわりについて:https://www.asahimatsu.co.jp/koyatofu/kodawari.html

※1「食品、添加物等の規格基準」による ※2 石黒貴寛、村澤久司、宮澤大樹、宮澤陽夫.高野豆腐の脂質の酸化と「高オレイン酸大豆」の有用性 『薬理と治療』Vol 54 pp.549-53 2026

(丸本チャ子)

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