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「本当に誰だったの?」母の通夜にも葬儀にも現れた女性。家族全員が首をかしげた理由

  • 2026.9.11

通夜のあとに、知らない人が入ってきた

母を送ったのは、親族だけの小さな葬儀だった。

会館で一番小さな部屋を借り、通夜が終わってからは身内だけで静かに過ごしていた。

伯母が母の若いころの話をしていたとき、入口の引き戸が開いた。

「ああ…やっぱり。そうだったのね」

入ってきたのは、見覚えのない高齢の女性だった。

私たちが戸惑っていると、女性は遺影を見ながら言った。

「お母さまと知り合いなのよ。入口の案内を見て、もしかしてって思って…。びっくりしちゃった」

私は弟と目を合わせた。弟は「知ってる?」とでも言うように眉を上げたが、私にも心当たりはない。伯母も従姉も困った顔をしていた。

母の知人だと言って弔問に来た人を、「誰ですか」と追い返すのもためらわれた。

私たちは椅子をひとつ空け、お茶を出した。

少しして、伯母が遠慮がちに尋ねた。

「母とは…どちらでお知り合いになったんですか?」

女性は湯呑みを両手で包みながら、少し首をかしげた。

「まあ、いろいろね。ずいぶん前からよ」

「ご近所だったんでしょうか」

「私はこの近くに住んでるの。それにしても、こんなに急にねえ…。本当に残念だわ」

聞いても、なぜか話はそこから先へ進まなかった。

その人が帰ったあと、弟が小声で言った。

「姉ちゃん、本当に知らない?」

「知らないよ。そっちは?」

「俺も全然」

その夜、母の手帳も確認してみたが、女性につながりそうな名前は見つけられなかった。

翌日も、同じ女性がやってきた

ところが翌日の葬儀にも、その女性は現れた。

開式の少し前、昨日と同じ引き戸が開き、女性は私たちを見ると軽く頭を下げた。

「昨日は急にお邪魔しちゃって、ごめんなさいね」

「いえ…」

私はそう返しながらも、やはり名前を思い出せない。

女性は昨日と同じあたりの席に腰を下ろし、式が始まると静かに遺影を見つめていた。

焼香にも自然に並んでいる。

席へ戻ってきた弟が、私の耳元でささやいた。

「ねえ、結局あの人、誰なの?」

「分からない。伯母さんも知らないって」

「ええ…じゃあ、本当に母さんの知り合いなのかな」

私にも答えられなかった。

式が終わると、斎場のスタッフが親族の写真撮影を案内した。

「それでは、ご家族、ご親族の皆さまはこちらへお願いします」

女性も一瞬立ち上がりかけたので、私は慌ててスタッフのそばへ寄った。

「すみません。あちらの方は…親族ではないんです」

どう説明したらいいのか、自分でも困ってしまった。

すると女性は私たちの様子に気づいたのか、すぐに手を振った。

「あ、いいのいいの。私は入らないから。写真はご家族だけで撮って」

「すみません…」

「何を謝るのよ。最後にお顔を見られただけで十分だから」

その言い方があまりにも自然で、私はまた名前を聞くタイミングを逃してしまった。

撮影が終わったころ、女性はもう玄関で靴を履いていた。

「じゃあ、私はこれで。大変だったでしょう。今日はゆっくり休んでね」

「あの…」

今度こそ名前を聞こうとしたが、女性は「じゃあね」と小さく手を振り、そのまま外へ出ていった。

会館の前で見送っていると、隣にいた伯母が不思議そうに首をかしげた。

「ねえ…本当に誰だったのかしら」

「私も、それを聞こうと思ってたんだけど」

結局、その人が母とどこで知り合い、どれほど親しかったのかは分からないままだった。

ただ、二日間ずっと遺影を見つめていた表情だけは、今でも妙に記憶に残っている。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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