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性別違和の幼なじみの少女と、「普通の女の子」になるため転校してきた少女。16歳男子の目線を通して、思春期の揺らぐ心を描いた青春ストーリー【書評】

  • 2026.9.9

【漫画】本編を読む

自分は何者なのか。その答えが見つからないまま、16歳の日々は進んでいく。『波よりも穏やかで、星よりも青く』(萩埜まこと/KADOKAWA)は、自分の「性」に揺らぎを感じる高校生を中心に織りなす青春ストーリー。コミックス第1巻が2026年7月27日に発売された。

高校2年生の星野アカリは、黒髪のショートヘアにスラックス姿で学校へ通う女子生徒。自分の性別に違和感を抱えながら、「自分がどうありたいのか」という答えも見つけられずに日々を過ごしていた。そんなアカリと小学校低学年以来、久しぶりに同じクラスになったのが、幼なじみの男子生徒・田島リョウだ。ふたりは子どもの頃は毎日のように一緒に過ごしていたものの、成長とともに自然と距離ができてしまい、そしてリョウは、今のアカリとどう接すればいいのか分からずに、再会を喜びつつも戸惑うことになる。

そんなふたりのクラスには、この春から転校してきた成海波留がいた。クラスがどよめくほどの美少女である彼女は、とある理由から「普通の高校生活」を求めてやってきたという。彼女はほぼ初対面にもかかわらず、アカリを「星野くん」と呼び、そのひと言は、アカリだけでなくリョウの心にも響く。

物語はリョウの視点を軸に進むため、読み手も彼と同じように「どう接するのが正解なのか」と迷いながらアカリを見つめることになる。何気なく思える言葉や視線、表情の変化が繊細に描かれているため、相手を理解したいという気持ちと、でも簡単には理解することができずどうしていいのか分からないという、もどかしさが伝わってくるだろう。そしてアカリと波留の「自分はどうあるべきなのか」という、簡単には答えの出せない疑問を抱えている姿にも感情移入するはずだ。

リョウとアカリが再会し、そして波留との出会いによって、少しずつ、でも確実に変わっていく3人。それぞれに事情や複雑な感情を抱えながらどんな「自分」に辿り着いていくのか。その歩みを最後まで見届けたい。

文=坪谷佳保

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