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【田中みな実さんインタビュー】「ままならなさ」も「余白」も楽しむ生き方に

  • 2026.9.9

2026年9月に公開となる映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』で、生成AIに心を支配されていく人気女優を熱演した田中みな実さん。インタビューでは作品の話はもちろん、40代を前に感じている変化、自分を信じること、年齢を重ねる楽しさについて率直に語ってくれました。

映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』で感じた「生成AI時代に自分の経験を信じる大切さ」

透明感のある肌に、まばゆい笑顔が魅力的な田中みな実さん。11月に40歳を迎えるというから驚きです。

「『いよいよ40代だね』ってみんな言うんですよ(笑)。自分ではあまり実感がないんですけど……」

そんなみな実さんの最新出演作は、映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』。大きなテーマは、いまや誰もが付き合い方を模索している「生成AI」です。

「旬のテーマを扱ったオリジナル脚本というところに新しさを感じました。私自身は生成AIとあまりなじみがなく、それほど頼ったり、拠りどころにしたりすることはありません。でも、将来、自分の子どもがAIとうまく共存していかなければならない未来を想像すると、ちょっとゾッとしますね」

罪を犯した妹を守るため、兄が生成AIを使って完全犯罪を企てる本作で、みな実さんが演じるのは、兄妹を翻弄する人気女優・七希(なつき)。

「七希は、生成AIを心の拠りどころにした結果、AIに依存していきました。そのことに自分で気づいてさえいない危うさがあって……」

劇中では、女優としての華やかさの裏にある孤独や危うさも印象的でした。でも、ご自身は七希とは「だいぶ違う」そう。

「私も、若い頃は、友人や恋人、尊敬する人を拠りどころにすることがありました。でもいまは、本当に信じられるのは、自分が経験してきたことだけだと思っています。誰かの答えを正解にしてしまうと、うまくいかなかったとき、その人にがっかりしてしまうこともありますよね。でも、自分で考えて選んだことなら、その結果も受け止められる。だからいまは、自分の経験がいちばんの指針なんです」

幼少期を海外で過ごしたこと、女子校時代、会社員として働いた経験──。ひとつひとつの出来事が、今の自分を形作ってきたと振り返ります。

「全部が誇れる経験というわけではありません。私は海外生活が長かったせいか、少しストレートにものを言い過ぎるところもあって(笑)。そんなことも含めて、すべて自分で気づいて、自分で変えていきたい。生成AIや誰かに言われるまま決めるのではなく、自分で選びたいんです」

便利な時代だからこそ、自分で考え、自分で選ぶ。その積み重ねが人生の軸になる──。40代を目前にした田中さんの言葉には、そんな揺るぎない信念が感じられました。

こだわりは手放して、人に委ねる余白を持つ

この日、みな実さんが見せてくれた1冊のノート。そこには、監督との打ち合わせ内容や演出の意図、演技コーチから受けたアドバイスまでが細かく書き留められています。これはどんな仕事でも欠かさない準備のひとつ。

「子役から活躍されている方もたくさんいらっしゃるので、年齢では私のほうが上でも、お芝居では先輩ということがよくあります。今回ご一緒した原菜乃華さんもそう。普段は気さくにお話ししていますが、お芝居に入ると、その経験値や実力に圧倒されました。肩書や年齢ではなく、相手から学ぶ姿勢を忘れたくないですね」

年齢を重ねても、「わからないことを、わからないと言える人でいたい」というみな実さんは、「ストイック」というパブリックイメージそのまま。そう伝えると、「そう思われている自覚はあります」と少し照れたように笑いました。

「本当は余白のある人間になりたいんですよ(笑)。『セリフ、全然覚えてないんだよね』なんて言いながら現場に入って、素晴らしいお芝居をされる方もいらっしゃるじゃないですか。羨ましいです。私はそういうタイプではないので、できる限り準備をして、それでも届かなかったら、それがいまの実力なんだと受け止めるしかないと思っています」

常に自分を磨き続ける姿勢は、ときにつらいこともありそうですが? と尋ねると、年齢を重ねて手放すことができたものもあると応じます。

「20代の頃は、こだわりがすごく強かったんです。たとえばメイクなら『こうじゃなきゃ嫌だ』というのがあって。でも30代になって、いろいろなヘアメイクさんとご一緒するようになったら、自分では思いつかなかった新しい自分に出会えることが増えました。『委ねる勇気』を持つようになってからのほうがずっと楽しくなりましたね」

年齢を重ねること。「思い通りにならない人生」も愛おしむ生き方を

40代は、仕事や家庭、自分の体調など、思い通りにならないことが少しずつ増えていく年代でもあります。そんな変化を前に、みな実さんは「いままでと同じようにはいかない」と、自分に言い聞かせていると言います。

「30代までは、自分の機嫌を取る方法がわかりやすかったんです。好きなものを買うとか、友だちと過ごすとか、自分が心地いいことをすればよかった。でも40代、50代になると、体調も含めて、自分の思うようにならないことが増えてくるんだろうなと、母や人生の先輩方を見ていても感じます。そういう変化を受け入れながら、自分と付き合っていくことが、これからの課題ですね」

40代、50代で憧れている先輩はいらっしゃいますか?

「以前、アワード会場で、永作博美さんをお見かけしたのですが、小柄で華奢なのに、放っているエネルギーが力強くて、可憐さもあって、惹きつけられました。永作さんのように、年齢を重ねても少女みたいに笑う方っていらっしゃるじゃないですか。見ているだけで『人生を楽しんできたんだろうな』と伝わってくる。そういう方に出会うと、年齢を重ねるって素敵なことなんだなって思います」

40代、50代になると、人を魅力的にするのは生き方そのもの――。みな実さんは最後に、そんな思いを語ってくれました。

「20代なら『○○さん風メイク』というのもありますけど、50代ではあまり聞かないですよね(笑)。その人がどんな人生を歩んできたかが、表情や雰囲気ににじみ出る年代なんだと思います。だから私も、自分らしく年齢を重ねていきたい。そして、そんなふうに笑っている人たちがまわりにいる人生だったら、とても幸せだなって思います」

PROFILE
田中みな実(たなか・みなみ)

俳優。1986年11月23日生まれ。『絶対正義』(2019年)でドラマ初出演。その後、数々の作品に出演し、『ずっと独身でいるつもり?』(21年)で映画初主演、『悪女について』(23年)でドラマ初主演を果たす。近年の出演作に、ドラマ『ブラックペアン シーズン2』(24年)『フェイクマミー』『愛の、がっこう。』(ともに25年)など。

田中みな実さん出演 映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』

航のもとに、高校生の妹・幸来から1本の電話が入る。駆けつけると、そこには部活顧問の教師の遺体が。妹を守るため、航は生成AIに「完全犯罪を成立させる方法を教えてください」と入力する。しかし、その選択が思いもよらない事態を招き、兄妹は謎の女・七希(なつき)に翻弄されながら、事件の渦中へと飲み込まれていく。

原案・脚本・プロデュース:岡田道尚
監督:近藤亮太
音楽:Teje
出演:重岡大毅 原菜乃華
田中みな実
伊藤 歩 黒田大輔 森岡 龍 九十九黄助
石丸幹二
2026年9月11日(金)より全国公開

撮影/天日恵美子 スタイリング/西野メンコ ヘアメイク/paku☆chan 取材・文/みよしみか
 
アクセサリー/AHKAH(AHKAH GINZA SIX店 03-6274-6098)
 

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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