1. トップ
  2. 高橋惠子さん71歳、住まいも生き方も「変化」を選ぶ理由。9LDKの家から都心マンションへ、そして次の夢

高橋惠子さん71歳、住まいも生き方も「変化」を選ぶ理由。9LDKの家から都心マンションへ、そして次の夢

  • 2026.9.22

高橋惠子さん71歳、住まいも生き方も「変化」を選ぶ理由。9LDKの家から都心マンションへ、そして次の夢

子どもの独立や退職など、さまざまな変化が起きる人生後半。女優の高橋惠子さんも自宅の住み替えを検討しました。大家族で暮らした郊外の大きな一戸建てから、紆余曲折の末、都心のマンションへ。でも、まだそこが終の住み処とは思っていないとのこと。同じところにとどまるよりも変化を選びたい、という高橋さん。仕事でも喜劇に挑戦するなど、まだまだ新しいことに意欲的です。

Profile

高橋惠子さん 俳優

たかはし・けいこ●1955年、北海道生まれ。70年に最後のニューフェースとして大映に入社。同年、映画『高校生ブルース』で主演デビュー。同年の映画『おさな妻』でゴールデン・アロー賞新人賞受賞。その後、映画、テレビドラマ、舞台とジャンルを問わず活躍。ドラマ「太陽にほえろ!」に女性警官シンコ役でレギュラー出演。2012年、『カミハテ商店』で23年ぶりに映画主演。21年、66歳でミュージカル初主演。11月3日~25日、京都・南座にて爆笑喜劇『三婆』に出演予定。

家族が変われば、住まいも自由に替えていい

以前、高橋さんは9LDKの家に4世代で暮らしていた。

「私たち夫婦と娘夫婦、私の母、孫たち合わせて9人で暮らしていました。犬10匹、猫1匹、亀1匹がいたこともあります。子どもたちを緑の多い環境で育てたいと、1990年に郊外の100坪の土地に建てた家でした」

大家族の暮らしはどのようなものだったのだろう。

「赤ちゃんから高齢者までがひとつ屋根の下に暮らしていて、『生まれてから、こういう過程を経て人は老いていく』という『人の一生』を見るような家族構成でした。人は変化していくもの、ずっと同じではいられないということを自然と実感できましたね」

その後、子どもたちが独立し、母が亡くなり、夫婦二人になった高橋さんは、その家を出て都心のマンションへ引っ越した。部屋の広さは約3分の1になり、いわゆる暮らしのダウンサイジングだった。

「引っ越しを機にだいぶモノを捨てました。洋服や着物、本、仕事の資料が大量にあり、大変でしたが、こういうきっかけがないとなかなかモノは減らせません。使わないのに取ってあった場所ふさぎのモノは思い切って処分。本当はスーツケースひとつでどこへでも行けるような身軽さが理想ですが、さすがにそれは無理なので、今後はできるだけ少ないモノで暮らしたいと思っています」

その後、さらにもう1回、別のマンションに引っ越したのだが、植物好きの高橋さんは、どうしても元の家の庭木への愛着が断ちがたく、一度、出た家にまた戻ることに。

「約30年間、丹精を込めて育てた庭木がたくさんありました。お花の先生をしていた主人の母が、『ここにはしだれ梅がいいよ』と植えてくれたピンクの梅もありました。花が咲くと、とてもいい香りで、特にこの木とは別れがたかったですね」

しかし、その後、また新たな展開が。

「娘の住んでいるマンションの下の部屋が空いたというので、2年前、そこへ移りました。元の家は、貸すことも考えたのですが、結局、更地にして手放しました。断腸の思いでした」

今は娘家族と「スープのさめない距離」に暮らす高橋さん。孫たちもしょっちゅうやってきて一緒に食事をしたり、共に時間を過ごすことが多いそうだ。

「戸数の少ないマンションなので、一軒家に一緒に住んでいたときとほぼ同じ感覚です。自分たちの家にほかの人たちもいる、みたいな……(笑)」

人生の後半、家族の形は変化していく。

「私たちも夫婦ふたりから始まって、子どもが生まれて4人になり、母と同居。その子どもたちが結婚して、孫が生まれ……、と、どんどん変化しました。今は娘家族のそばにいますが、子どもたちも変化し、孫たちもいずれ独立するでしょうから、将来、自分がどこに住むかはわかりません。おひとりさまになる可能性だってあるわけです。植物が好きなのでハーブガーデンを作ったり野菜を育てたりしながら自然の中で暮らすのもいいなとか、ハワイが大好きなのでハワイに住むのもいいな、なんて夢見ています。住まいは大事なものではあるけれど、ずっと同じところに住む必要はないと思うんです」

自分は「ずっとひとつの場所で根をはるタイプではない」と語る高橋さん。

「それよりも、いろんな場所で自由に暮らすほうが性に合っているようです」

ひとつ屋根の下に熟女3人が同居する喜劇に挑戦

ひとつ屋根の下といえば、高橋さんは、ひょんなことから一緒に住むことになった3人の女性たちの物語の舞台に11月に出演する。

「『三婆』という有吉佐和子先生原作のお芝居です。私は、突然亡くなった金融会社社長の本妻の役で、その本宅へ亡き夫の愛人と妹が転がり込んでくるという話です。家が舞台になっていて、みんな本宅を狙っているんです」

それだけ聞くと、どろどろとした女のバトルの物語?と思いきや……。

「初めは、互いに意地とプライドをぶつけ合う3人ですが、時間と共にだんだんとその関係性が変化していきます。『三婆』というタイトルからもわかるように、3人の共通点は年を重ねた女性であること。この世代同士だからこそわかり合えて、共感できる点が多々あって、一緒に暮らすうちに、いつしか妙な連帯感が生まれます。そして、老々介護ではないですが支え合って生きていくようになるんです。これがもし若いときだったら、全然違っていたでしょうね」

ひとつ屋根の下に他人同士がいっしょに暮らす生活はどんなものか?

「そりゃあ、もめるでしょう。もめないわけがない。でも、そのもめ方がおもしろいんです。喜劇は喜劇でも『爆笑喜劇』ですから、思い切り笑っていただきたいです。そして、ときにはホロリとさせる、そんなお芝居を目指します」

実は「お笑い好き」だという高橋さん。今回の喜劇への挑戦も意欲的だ。

年を重ねてもおばあちゃんにはならないと決めた

『三婆』という強烈なタイトルのお芝居。実は以前にも出演の打診があったという。

「50代後半頃にもお話をいただいたことがあるんです。でも、『もうちょっと若い役をやっていたいので、ごめんなさい』とお断りしました。今回は71歳なのでさすがに何の不足もない、とお引き受けしました」

『三婆』というからには、おばあさんを演じる?

「ある程度は年を重ねた雰囲気で演じるつもりですが、『おばあさんっぽく』というのはあまり意識していません。それよりも3人の関係性の中で、本妻である自分がどう変化するかのほうに重心を置いていきます」

高橋さん自身は「人は年を重ねたからといって老いるとは限らない」と考えている。

「昔は70代といえば立派なおばあさんでしたが、今の70代はもっとずっと若いですよね。栄養状態や意識の持ち方など、時代の変化によるものかもしれませんが。だから、今は『年を重ねたらおばあちゃんになるもの』という常識を捨ててもいいんじゃないかと思っているんです」

高橋さんはプライベートでは7人の孫がいる。

「48歳のときに初孫が生まれ、世間で言う『おばあちゃん』になりました。でも、まだ若かったせいもあるのですが、そのときに『私は一生おばあちゃんっぽくはならない』と決心したんです。孫たちには、ずっと『あーちゃん』と呼ばせていますし、孫たちに接するときも『おばあちゃんだから』という意識はなくて、『私は私』というだけです」

住まいも家族も、大切な存在ではあるけれど、それらに縛られることなく、「私」を大事にしている高橋さん。年を重ねると共に「こうあるべき」から解放されて、ますます自由になっている。

昔の70代は「もう」「今さら」というあきらめ世代だったが、今の70代は「まだ」「今だから」という挑戦世代なのだと、高橋さんを見ていると希望が湧いてくる。

【Information】爆笑喜劇『三婆』

2026年11月3日(火・祝)~25日(水) 京都・南座
昭和38年、金融会社社長の武市浩蔵がぽっくり亡くなり、ひょんなことから本妻の松子、愛人の駒代、妹のタキは本宅で一緒に暮らすことになった。最初は犬猿の仲の三人だったが、やがてお互いのよさを学び、心を開いていく。三人のおばちゃまたちの奇妙な共同生活を描いた、爆笑の中にもホロリと泣ける傑作喜劇。

原作:有吉佐和子
脚本:小幡欣治
演出:齋藤雅文
出演:高橋惠子 川中美幸 山村紅葉 ほか
チケットホン松竹☎0570-000-489 https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/

撮影/中村彰男 スタイリング/安野ともこ 構成・文/依田邦代

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ