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俳優・石田ひかりさんの撮影裏話田修一監督がハチマキ巻いて大汗かいて、買ってきてくれたもの」とは——!

  • 2026.9.9

憧れの人と一緒に時を過ごし、ともに目標に向かう—— そんな経験は、人生の宝物。
お互いの作品に魅了されてきたという石田ひかりさんと沖田修一さんが、ついに出会いを果たしました。
キャリアを積んで実感したこと、さらに目指したいこと。新作映画の現場での発見を語ります。

笑って泣けて、温かい。そんな世界の一員になれて幸せでした

石田ひかりさん(以下、石田) 私は沖田監督の作品のファンだったんです。出会いは『南極料理人』でしたが、とにかく、温かい作品なんですよ。笑って泣けて、いろんなことがあるけれど、皆が一生懸命生きていこうとしていて……。今回の『さとこはいつも』も、異なる年代の3人の「さとこ」たちの物語がつながっていくところがおもしろいなと思いましたし、撮影中は、まさに私の好きな沖田作品の雰囲気で。その一員になることができて、本当に幸せでした。

沖田修一さん(以下、沖田) ありがとうございます。僕も石田さんの出演されていたドラマの大ファンで、撮影のとき、思わずそのドラマの主題歌を石田さんの前で歌いそうになって……。でも、これからお仕事をご一緒するのにちょっと気持ちが悪いかなと思って、遠慮しました(笑)。

石田 嬉しいです。最近は「お父さんがファンでした」「お母さんが見てました」と言われたりもしますが、長く俳優をやってきてよかったなと思う瞬間です。

沖田 撮影前、石田さんのエッセイやYouTubeチャンネルを拝見していたら、ずっとお子さんのお弁当の写真を撮られていたことがわかったんですが、それは僕が石田さん演じる里子の裏設定として考えていたことでした。「これ、めちゃくちゃ里子だ!」と、不思議な偶然を感じたりして。

石田 ええ、16年間やっていました。里子は、ちょうど今の私のような状態の女性なんですよね。子どもたちが巣立って自分の時間が戻ってきて、この時間をどうやって埋めたらいいんだろう? と。ずっと仕事を続けてきた私にも、やはり戸惑いを感じた時期がありましたから。そんな里子と、もうふたりの「さとこ」、そして、映画を見た方それぞれに勇気を……というか、気づいたら背中を押されていたというくらい、さりげなく応援する作品になっていると思います。

目配りと声かけを欠かさない、その姿勢に感謝です

沖田 自分が応援してもらった経験で思い浮かぶのは、この映画の企画にもたずさわられた映画プロデューサーの佐々木史朗さん(’22年逝去)のこと。自主制作時代から目をかけていただいて、映画がなかなか撮れなくて苦労していたときも「君の作品、おもしろいからがんばりな」と言ってくださった。あの言葉には、何度も励まされました。そんなふうに思い出す言葉が、いくつもあります。

石田 素敵ですね。振り返れば私も、これまでに出会ったすべての方に背中を押されてきたように感じています。この監督とご一緒したい、このカメラマンに撮ってもらいたい、こんな素敵な方のようになりたい……。そんなふうに、先輩たちの背中を追いかけ続けてきましたから。

沖田 そうですね。本当に。

石田 私、やっぱり「仲間」という関係でいるのが、すごく好きなんだと思います。映画作りも含めて、皆で力を合わせてなにかをするのが。団体行動が好きなのかな?でも、映画は絶対にひとりで観に行きたいタイプなんですけれど(笑)。

沖田 ハハハ。石田さんは撮影現場でも、いつも周囲の人たちに声をかけてくださっていて、監督としてとても助かりました。

石田 若い方や経験の浅い方は、所在なさげにしているじゃないですか。だから、「大丈夫?」「調子はどう?」「ごはん食べた?今日のごはん、おいしかったよね」と。せっかく映画の世界に入ってきてくれたんだから、やっぱりこの場所を好きになってもらいたいし、作品を作る楽しさを感じてもらいたい。私も先輩たちに教えていただいてきたから……。つまりは、そういう年齢になったということなんでしょうね。そういえば、撮影中の暑い日に、監督が自転車でアイスクリームを買ってきてくださったことがあったでしょう? ハチマキして大汗かいて。あれ、すごく嬉しかった。

沖田 ありましたね。昔だったら絶対できなかったなぁ。アイスクリームが買える大人になれて、本当によかったです(笑)。

〔 映画 〕 『さとこはいつも』

初恋にときめく15歳。不倫と仕事に迷走する35歳。これからに思いをはせる55歳。同じ名の3人の女性が、人生の物語を綴り出す。里子の夫・重明役は90年代にドラマ『あすなろ白書』などで石田さんと共演した筒井道隆さん。「画面の私が驚くほどくつろいだ表情をしているのは、彼が相手だったからかも」と石田さん。

監督・脚本:沖田修一
主題歌:折坂悠太「シミレ[feat. 柴田聡子]」
出演:有村架純 石田ひかり 姫野花春ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
9月18日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

©2026「さとこはいつも」製作委員会

俳優
石田ひかりさん
1972年生まれ。80年代後半より芸能界で活動し、’91年の『ふたり』で映画初主演。最近の出演作に映画『ルノワール』『終点のあの子』、ドラマ『鬼女の棲む家』などがある。

映画監督
沖田修一さん
1977年生まれ。’06年『このすばらしきせかい』で長編作品初監督。代表作に『南極料理人』『横道世之介』『モリのいる場所』『子供はわかってあげない』『さかなのこ』など。

photograph: Kentaro Hisadomi styling: Lim Lean Lee ( 石田さん) hair & make-up: Harumi Kambe ( 石田さん) text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2026年9月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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