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眠っている間に届く夫の長文は、毎回「いってきます」で終わっていました

  • 2026.9.9
ハウコレ

枕元で光った画面には、指で何度も送らないと終わりまで読めない長さの文が並んでいました。

返事はいつも1行で、私は聞くことをずっと先延ばしにしていました。ためこんだ問いをようやく口にしたのは、休みの日に見つけた夫の格好が、答えそのものだったからです。

届くのは、いつも同じころでした

夫の勤務が早い時間の担当に替わって、3か月になります。私が家を出るころには夫はもう職場にいて、私が帰るころには先に寝ていました。

それが届くようになったのは、私が「最近、あんまり話してないね」と言ってからです。顔を見て話せるのは、休みが重なる日だけでした。届くのは決まって深夜で、私はいつも眠っていました。書いてあるのは、職場で使う機械が替わった話や、次の休みに行きたい店のこと。どれも重い話ではないのに、終わりの1行だけが毎回同じでした。「いってきます」。これから眠る人が書く言葉ではないはずでした。

短い返事しか送れませんでした

目を覚まして画面を開くと、文はいつもそこで止まったままでした。この長さに見合う言葉が見つからず、送るのは「おつかれさま」の1行だけでした。

眠らずに書いているのだと思っていました。仕事で何かあったのか、私に言えないことを抱えているのか。想像だけが増えていきましたが、聞けば夫が黙っておいた理由まで壊してしまう気がして、何日も迷いました。

それでも抱えきれずに、「何かあった?無理してない?」とだけ送りました。返ってきたのは、「何もないよ」の1行だけ。その次の日から、届く文はさらに長くなりました。

台所の椅子に、夫が座っていました

私だけが休みの日、目が覚めてしまい、水を飲みに寝室を出ました。廊下の先から漏れていたのは、台所の明かりです。作業着の夫が椅子に座り、画面に指を置いていました。

私に気づいた夫が、そっと画面を下に向けたところでした。何をしているのと聞くと、夫は「起きてから打ってるんだ」と答えました。私は「眠れていないんだと思ってた」とだけ返しました。夫は椅子の背に掛けた鞄を見せて、「うん、これから出る」と続けました。

文の終わりにあった挨拶は、私が思っていたような書き置きではなく、そのまま出ていく人のものでした。椅子をもう1つ引いて座ると、夫は「短くすると、用事だけになるから」と言いました。

そして...

夫が出ていったあと、私は目覚ましをもう1つ増やしました。週に1度だけ、夫が起きるころに鳴るようにしてあります。台所の棚には、夫の湯呑の隣に私のぶんが並んだままになりました。

(30代女性・パート事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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