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「ほら、やっぱり知らないんだ」答えられない他社のサービスを聞く客。いつも長電話になる客に私が変えた対応とは

  • 2026.9.10

名乗られる前に、声で分かるようになった

コールセンターで働いていたころの話です。

案内や手続きの受付が主な仕事で、朝から夕方まで、さまざまな問い合わせの電話を受けていました。

その中に、何度も電話をかけてこられる方がいました。

何度か対応するうちに、名乗られる前でも声を聞けば分かるようになっていました。

最初の用件は、いつも五分ほどで終わります。

質問ははっきりしていて、こちらから案内する内容も決まっていました。

ところが、本題が終わっても電話は切れません。

少し間があったあと、決まって別の質問が始まります。

「これ、そちらではどうなってますか」

聞かれるのは、他社が提供しているサービスについてでした。

内容を知っていることもありましたが、他社のサービスについて私たちが案内することはできません。

そのため、毎回同じように答えていました。

「申し訳ありません。そちらについては弊社ではご案内できかねます」

すると、相手の声が少し弾みます。

「ほら、やっぱり知らないんだ」

そこからが長いのです。

相手はそのサービスの仕組みについて話し始め、途中から自分の経験や、以前利用したときの話まで続けます。

私は必要な相づちを打ちながら聞いていましたが、気づけば二十分、長い日は三十分近く経っていました。

電話が長くなってくると、隣の席の同僚も「また長くなっているな」と気づくようでした。

私も受話器を持ちながら、「知らないわけではないんだけどな」と何度も思いました。

ただ、それを言っても話がこじれるだけなので、口には出しませんでした。

「勉強になります」と返してみた

ある日、私は対応を少しだけ変えてみました。

相手が説明を始めたところで、いつものように黙って聞くだけではなく、少し早めに相づちを返してみたのです。

「そういう仕組みなんですね」

相手はすぐに「そうなんですよ」と答えました。

続けて話を聞きながら、私はもう一度返しました。

「なるほど、勉強になります」

すると、その日はそれほど話が広がりませんでした。

いつもなら二十分以上続くところが、十分ほどで「じゃあ、また」と電話が終わったのです。

受話器を置くと、近くの席の同僚がこちらを見ました。

「今日は早かったですね」

私も思わず笑ってしまいました。

その方が何を求めて電話をしていたのか、本当のところは分かりません。ただ、こちらが知らないことを証明したいというより、自分の知っていることを誰かに話して、聞いてもらいたかったのかもしれないと思いました。

その後も電話は変わらずかかってきました。ただ、最初から少し丁寧に相づちを返すようにすると、以前ほど長くなる日は減りました。

仕事の決まりを守ることは変えられません。それでも、相手が何を話したがっているのかを少し考えるだけで、やり取りの長さまで変わることがあるのだと知った出来事です。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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