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収入は6割に。それでも後悔しない––––56歳で正社員から派遣へ切り替えたブイロガー・ナツさんの決断

  • 2026.9.8

収入は6割に。それでも後悔しない––––56歳で正社員から派遣へ切り替えたブイロガー・ナツさんの決断

どう生きるのかを考えることが、自分の暮らしを形づくります。あなたは何を大事に生きていますか。ちゃんと自分と向き合っていますか。『自分サイズのすっきり大人暮らし』(主婦の友社)から、会社員でブイロガーのナツさんをご紹介します。3回に分けてお届けする、第1回は、自分サイズの暮らしを歩もうと、転職を重ねてきたナツさんのストーリー。

プロフィール
ナツさん

短大卒業後、証券会社に就職。その後転職し、広告会社ではウェブ制作業務、EC ワイン会社ではコンテンツ制作業務など、さまざまな職を経験。現在は会社員として事務職に携わりながら「bonbons」としてブイログを発信。
“日々をおもしろがれる大人になる” をモットーに、いろいろな試みを日常レベルで実験中。
https://www.youtube.com/@bonbonslife

空が青く見える。 そう感じられる自分の心を守りたい

休日でも朝7時には起きて、まっさきに朝食を。「世の食べものの中でいちばん好き」というトーストとコーヒーをいただき、心が満足したところで、掃除をささっとすませ、ブイログ(暮らしの動画)の制作にとりかかる。途中、行き詰まったら料理でリフレッシュしながら──。

ナツさんがこのような週末を送るようになったのは56歳のとき。忙しいIT業界から転職したのがきっかけだった。ただでさえ大変な転職活動。しかも50代での転職というと腰が重くなりがちだが、これまでに何度も転職を経験しているそうで、「変化への耐性はあるほうかもしれません。常に人生やり直してばかりなんですよ」と笑う。

はじめての仕事は、短大卒業後に就いた証券会社の営業職。そこでは20代の新入社員にあてがわれるには重すぎるノルマが毎日待っていた。

「それでも企業の看板と、販売ツールや仕組みが充実していたおかげで、なんとかクリアできたんですよね。でも、これが一生続くのはしんどい」

そう思ったナツさんは、証券会社を6年で退職し、昔から好きだった「言葉」の道へ。

コピーライター講座に通い、広告会社に就職して。「憧れのクリエイティブ業」と心躍らせたのは束の間。そこは小さなプロダクションで、末端の仕事を次から次へとこなさなくてはいけない現実が待ち受けていた。次第に疲弊していく心身。結局、その後も職探しの旅は続いた。

「何をやってもしんどくて、とにかく焦っていた」と、ナツさんは当時を振り返る。

「つい保身に走って、やりたいことではなく、お金につながりそうなことを学んでみたり、大枚はたいて学校に行ってみたり。でも保身のためにやったことって、どれも役に立たなくて。たとえば資格を取ったとしても、履歴書には書けるけど“それできるの?”と言われると、できないし、やりたくないし。好きじゃないことは、重たくなるだけなんですよね。そんな中、唯一役に立ったのが、趣味で取ったワインエキスパートの資格でした」

このとき、ナツさんは38歳。世に「ネットショップ」が少しずつでき始めた頃で、ワインのネットショップ事業に携わることになったのだ。
「なんだ、この資格が役に立ったよ、という感じで(笑)」

言葉とワインの知識を生かせる仕事は、ナツさんにとって、ようやく手にした天職。プライベートでも幾度かフランスに行き、ワイナリーを訪ねて造詣を深めるなど、公私の歯車がうまく噛み合い始めていた。ところが、その後ネットショップ業界は急拡大。ナツさんが関わる事業は淘汰の波にのまれ解散。

40代後半にしてまた路頭に迷ってしまったナツさんは、その後、IT企業や販促会社を転々とすることになる。

「常に自分と社会の折り合いのつけ方を模索していました。生活のため、生きていくため、これくらいの暮らしをするには、これくらいのお給料が必要で、と思い込んでいるところがあったし、その半面、好きなことも捨てきれず、自分を生かしていきたいという思いもあったし」

気がつくと50代半ば。その頃はEC支援会社に勤めていた。常に売り上げが問われる状況の中、複数のクライアントの改善策や企画提出、サイト制作代行を同時にこなす日々を3年ほど過ごしていたのだが、ついに心が悲鳴をあげてしまった。空が青く見えなくなってしまったのだ。「やめよう」、あっさり決断できた。

「空が青く見えないって、生きている意味がないから」

何よりも自分の感受性を守りたい。そう考えたナツさんは、正社員から派遣契約に切り替え、心が平穏でいられるよう、売り上げノルマのない事務職を選んだ。一方、収入は今までの6割に。それゆえ必然的に生活の見直しを迫られた。まず行ったのは、固定費の削減。都心から郊外の古いマンションに引っ越して、月々にかかる家賃を大幅にカット。さらに食事もほぼ自炊にし、平日の昼ごはんはお弁当に切り替えた。すると、コンビニに立ち寄ることもなくなった。

「今までは、なんとなくあれこれ買ってしまっていたけれど、決して欲しいものではなかったんだなって」

撮影/清永洋

※この記事は『自分サイズのすっきり大人暮らし』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2024年9月19日に配信した記事を再編集しています。

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