1. トップ
  2. エピソード
  3. 「夜間の物音についてご相談です」深夜2時まで続いた笑い声。1か月後にポストで見つけたもの

「夜間の物音についてご相談です」深夜2時まで続いた笑い声。1か月後にポストで見つけたもの

  • 2026.9.7

「夜間の物音についてご相談です」深夜2時まで続いた笑い声。1か月後にポストで見つけたもの

夜十時にはじまって、終わるのは二時ごろだった

今のマンションには、長く住んでいる。

毎朝、出かける前に玄関のポストを開ける。

だいたいは空で、たまに折り込みの紙が入っている。そんな朝を、ずっと繰り返してきた。

音に気づいたのは、去年の終わりごろだった。

最初は月に一度くらいだった。夜十時を過ぎると、玄関のあたりに笑い声やテレビらしい音が響いてくる。長い日は、夜中の二時ごろまで続いた。

「また聞こえるね」

家族とも何度かそんな話をした。

床の真下からというより、玄関側から音が上がってくるように感じたので、私は下の階から聞こえているのだと思っていた。

ただ、本当にどの部屋の音なのかまでは分からなかった。住んでいる人の顔も知らない。

何人かで話しているような声が聞こえる夜もあった。

一度、直接言いに行こうと思ったこともある。靴まで履いたが、玄関の前で止まった。

顔も知らない人の部屋へ、夜に苦情を言いに行くのは怖かった。

そこで、管理会社の問い合わせ窓口へ文章を送ることにした。

「夜間の物音についてご相談です」

腹が立っていなかったわけではない。

でも感情を書くより、状況だけを伝えたほうがいいと思った。

音が聞こえ始める時間と、遅い日は何時ごろまで続くのか。玄関側から聞こえるように感じること。それだけを書いて送信した。

翌日になっても返事はなかった。

一週間が過ぎても何も届かなかった。

その間にも、夜になると笑い声が聞こえる日があった。

「返事、来ないの?」

「まだ来ない」

家族とは何度か同じやり取りをした。

「もう読まれてるんじゃない?」

「どうだろう。もう少し待ってみる」

そう答えながら、私はだんだん期待しなくなっていた。

届いたのは、私宛ての返事ではなかった

一か月ほど経った朝だった。

いつものように玄関のポストを開けると、一枚の紙が入っていた。

最初は管理会社からの返事かと思った。

けれど、私宛てではなかった。

マンションの住民全体に向けた、夜間の生活音についての注意文だった。

相談した内容と近いことが書かれていたので、「もしかして、あの連絡を見てもらえたのかな」と思った。

その紙が入ってから、夜中まで続いていた笑い声は、ほとんど聞こえなくなった。

誰かが謝りに来たわけでもないし、管理会社から私個人へ返事が届いたわけでもない。

最初は、一か月も何も分からないまま待ったことに、少し納得がいかなかった。

ただ、全戸に同じ注意文を配る形なら、誰が相談したのかは分かりにくい。

もしかすると、そういう伝え方にも意味があったのかもしれないと思った。

もちろん、本当に私の相談がきっかけだったのかは分からない。

それでも、夜十時を過ぎるたびに音を気にしていた日々は終わった。

今も朝になると玄関のポストを開ける。

何も入っていない日は、それだけで少しほっとする。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ