1. トップ
  2. 暮らし
  3. 今月の一言「阿吽」〜割り込みに腹を立てない!心を静める“離れて見る”安全思想〜|バイク説法

今月の一言「阿吽」〜割り込みに腹を立てない!心を静める“離れて見る”安全思想〜|バイク説法

  • 2026.9.3

バイク寺蔵の二尊と金剛力士像が示す「阿吽」の教え。他者の運転にイライラした時、少し離れて相手の背景に想いを馳せることで事故を防ぐ、心のセーフティライディング

今月の一言:阿吽

本瀧寺のシュウケンです。当寺の境内には“バイク寺蔵(じぞう)”と言う二尊のお地蔵様が安置されています。当時に参られるライダーの交通安全を願って、4年前のバイクの日(8月19日)に建立したお地蔵様です。このバイク寺蔵に関して、「何故、二尊なのですか?」とよく質問を受けます。なかには「ハーレー和尚と弟さんをモチーフにして、二尊ですか?」「一尊は自分自身で、もう一尊は自分を待つ家族では?」など、自分なりの想像力を働かせている人もいらっしゃいますが、正直に言うと、二尊にあまり深い意味はありません。当寺に寄与された像が、たまたま二体で、離れ離れにするのが忍びないと思い、そのまま建立しただけのことでした。けれども、参られるライダーが、各々でその物語を想像するのも、また楽しいのではないでしょうか。

バイク寺蔵ではありませんが、仏教では二尊、あるいは二つで一対になっているものが多くあります。お墓や仏壇に飾る花もそうですが、仏像にもあります。有名なのが、お寺の山門などによく安置されている仁王像ではないでしょうか。正式には金剛力士像と言って、向かって右側の口を開けているのを阿形(あぎょう)像、左側の口を閉じているのを吽形(うんぎょう)像と言います。古代インドのサンスクリット語では、最初の文字が“阿”、最後の文字が“吽”となります。つまり、金剛力士像は二尊一対で、物事や宇宙の始まりから終わりを表し、悪霊などからお寺を守っています。ちなみに“阿吽の呼吸”と言う言葉は、この二尊が息を合わせるように立っている姿が語源とされています。

万物の始まりを表す阿形像、そして終わりを表す吽形像。近くで一尊ずつ見れば、その意味がことなる金剛力士像ですが、少し離れて二尊同時に見ると万物の始まりから終わりが見えてきます。

バイクに乗っていると、たまに他者の運転や行動などに腹が立つ時があると思います。以前にもお話ししましたが、怒りなどの負の感情は、負の力を呼び寄せ、自身の無謀運転、危険運転にも繋がります。では、どうしたらよいのでしょうか。それは気持ち的に、少し離れて見ることです。例えば、急に車線変更してきた車がいたとします。車線変更という行動だけに注視すると腹が立つこともあるでしょう。でも、その運転手に、どうしても車線変更しなければならない正当な理由があったと知れば、その怒りも少しは落ち着くかと思います。

現実的には車線変更した運転手の理由など知る由もないことです。でも、少し離れて見ることで何かが見えることもあります。それこそ「きっと◯◯だったんだなぁ」など、自分なりの物語に想いを馳せるのも良いかもしれません。

合掌

悪霊や邪悪な力から寺院や仏教を守る金剛力士像。向かって右側が阿形像、左側が吽形像。写真は高野山 大門の金剛力士像

本瀧寺の境内のカフェ「ほんたき寺巣」の入口付近に安置されるバイク寺蔵。ヘルメットを被った二尊のお地蔵様が、ライダーの交通安全などを見守ってくれる

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ