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「ワックス離れ」は本当か? 2億個売れたギャツビー「ムービングラバー」20年目の大リニューアル!“自然な細束感”を作る新作4種を徹底解剖

  • 2026.9.3

ド定番のヘアワックスとして知られるギャツビー「ムービングラバーが、2006年8月の発売から今年で20周年を迎えた。スタイリング剤カテゴリーで発売以来となる20年連続売上No.1、国内男性ヘアワックス市場でのシェアは40%を超え、累計出荷数は2億2984万2千個。20年間、およそ2.7秒に1個が出荷され続けてきた計算だ。展開先は世界20以上の国と地域に及び、積み上げた個数を縦に並べれば、なんと総延長1万7900kmで地球1.4個分に達するという。

男子たちの間で「お前何色?」というコミュニケーションが成立したという容器カラー、スタイリスティックスの名曲をアレンジしたキャッチーなCM曲「I CAN GIVE YOU GATSBY」など、数々の現象を生み出した「ムービングラバー」が、20周年の節目に大規模リニューアルに踏み切った。

ただし、その背景にある課題認識を知ると単純な「祝20周年」と喜べない事情もある。

「10〜20代にワックス離れの兆し」

発売元のマンダムはこう分析した。男性ヘアスタイリング市場は約300億円規模まで拡大しているものの、それは販売価格の値上がりによるもので、販売数量自体は減少傾向だという。これがエントリー層である若年男性の「ワックス離れ」を示しているとしたら、ブランドにとっては非常事態だ。それを検証しつつ、ムービングラバー大リニューアルの全貌に迫ろう。

作り込んでいるように見せたくない

ムービングラバー」開発担当の小坂洋介氏は、街で見かけるナチュラルなヘアスタイルの増加を、スタイリングへの関心が薄れた結果とは捉えていない。

今の若者世代は、作り込んでいるように見せるよりも、自然に見せることにこだわる。その一方で、細かな束感や髪の動きを表現するために、むしろ細部へのこだわりは強くなっているという。

この変化を裏付けるのが、10〜30代男性を対象にした「なりたいヘアスタイル」調査だ。ウェブ上で生活者にヘアスタイルの画像を見せ、「どのスタイルになりたいか」を選んでもらう形式で行われたという。これによると存在感のある束や大胆なシルエットを求める「パワームーブ層」が2017年時点で6割超を占めていたのに対し、2024年には細かな動きや自然な質感を求める「フレキシムーブ層」が逆転という結果が出た。

その背景として挙げられたのが、2018〜19年頃の韓国ヘアやサラサラマッシュなどのナチュラルなスタイルの流行。そこで日本人男性のヘアスタイルに「ナチュラル」という要素が入ってきた。

しかし、ナチュラルなだけでは少し物足りない。

そこで起きたのが、束感のリバイバルだった。ただし、昔のような太い束ではない。細かな束を作り、髪に繊細な動きを加える。そうして現在の「フレキシムーブ」への転換へとつながっていったという。

小坂氏も、こうした細かな動きや束感を表現するスタイルは今後も続くと見ている。

つまりスタイリングの価値観が変わり、使い方が変わり、求められる仕上がりが変わったのだ。

なぜ男は髪型を言語化するのか?

ところで、「ムービングラバー」人気の裏に言語化のマジックが隠れていることも紹介したい。

SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏によれば、女性はコスメや美容に関する情報交換の量自体が圧倒的に多いのだという。そういう流れで「うさぎ舌リップ」「ワンホンメイク」といった新語が次々と生まれてくる。

一方の男性は女性と比較してシャイな傾向にあるそうだ。身だしなみについて誰かと語り合う機会自体が少ない。結果、言葉が育たず「メンズファッション」のような大きな主語で検索するしかなくなる、というのが長田氏の見立てだ。

ただし、不思議なことにヘアスタイルだけは事情が違う。「フェード」や「クロップ」、「フェザーパーマ」「シャドーパーマ」、「スペインカール」、古くは「リーゼント」、「ウルフ」、「ソフトモヒカン」など男性ヘアスタイルの語彙はかなり細かく名前が付いている。

その理由を「ムービングラバー」開発者は美容師によるSNS発信の影響力に求めた。男性は美容院で「こうしてください」と画像を見せる文化があり、美容師が投稿する具体的な用語がそのまま一般の語彙として定着していくのだという。

さらに2000年代のヘア専門誌『チョキチョキ』のようなメディアの存在も大きかった。つまり、美容師とライターの発信が男性のヘアスタイル用語を特別に具体化させてきた、というわけだ。

つまり男性同士のコミュニケーションは、服やファッション全般についてはクローズドだが、髪型に限っては美容師発信という外部チャンネルを介して、昔も今も語彙が多彩なのである。

実はそれが「ムービングラバー」の象徴であり、人気の理由でもあるラベルの存在にも直結している。シリーズを通して一番人気の「スパイキーエッジ」や「ワイルドシェイク」などのキャッチーな名前と説明。これらが揃ったラベルこそが、人気を不動にした重要なポイントだったのだ。

操作性と持続力、相反する要素の共存

ではムービングラバーが今回どんな進化を果たしたのか。

開発チームが辿り着いたのは「形状&質感キープ処方」という新技術だ。目指したのは操作性を上げれば持続力が落ち、持続力を上げれば操作性が落ちる、そんなトレードオフの解消だ。ワックス開発における長年の壁へのチャレンジといえるだろう。開発期間はおよそ2年。1アイテムあたり6〜7回のサンプルやり取りを重ね、試作数は優に100を超えた。

新製品として登場した4アイテムには、それぞれ異なるアプローチが採られている。

フェザーアクティブ(ホワイト) #gallery-1 {margin: auto;}#gallery-1 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-1 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-1 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 活性剤を減らすことで、「ハードなのに軽い」という一見矛盾した特徴を実現。一般的にハードワックスと聞くと、時間が経つと重さでヘタる、あるいはベタつくというイメージを持つ人が多いだろう。だが「フェザーアクティブ」は、その「常識」そのものを覆すことを狙った一品だという。マット系でありながらしっかり立ち上げも毛流れも作れる、誰でも使いやすいタイプに仕上がっている。 グロスライズ(イエロー) #gallery-2 {margin: auto;}#gallery-2 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-2 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-2 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 柔らかい樹脂と硬い樹脂を組み合わせる、「針金効果」と呼ばれる処方設計を採用。曲げたいときはしなやかに曲がり、最後はガチッとしっかり固まる。実際に手に取ると、テクスチャーは濃く弾力があり、伸ばすとキュッと崩れていく感触だ。 エアロモーション(グリーン) #gallery-3 {margin: auto;}#gallery-3 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-3 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-3 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web マンダムがこれまでも採用してきた強みであるパウダー製法。パウダーでありながら髪がふんわりと持続する技術がベースになっている。今回はその中でも特に軽くドライなシリカパウダーを新たに採用。これにより「ワックスとは思えない」とまで表現される軽さを実現した。ナチュラルで軽い仕上がりでありながら、ふんわり感がしっかり持続するのがポイントだ。研究員いわく、これは「一番つけている感じが出ないワックス」。ベタつきが本当に少ないため、校則でワックス使用が禁止されている学生でも“バレない”仕上がりになる。そんな裏テーマも込められているとか。 プレイフルムーブ(ネイビー) #gallery-4 {margin: auto;}#gallery-4 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-4 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-4 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 特定成分の組み合わせによって、これまでトレードオフとされてきたセット力と操作性を高い水準で両立させたアイテム。ハードなセット力を持ちながら、1日を通してずっと髪を動かし続けられる操作性にこだわって開発が進められた。 既存のロングセラー6アイテムと合わせ、ワックスは全10品構成。パッケージも実写モデルの採用や裏面のレコメンド表記など、初めて選ぶ層が店頭だけで自分に合う商品にたどり着けるよう設計し直された。環境配慮としてパッキンやシュリンク、中フタも削除し、年間およそ65トンのプラスチック削減を見込むという。 新製品以外の6品 smart Web スパイキーエッジ(ピンク) #gallery-5 {margin: auto;}#gallery-5 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-5 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-5 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 機能性を今回変えていない、正真正銘の定番アイテム。それでも圧倒的な支持を集める、シリーズ一番人気だという。まずはここから手に取る人が多い、まさに“入り口”のワックスだ。 ワイルドシェイク(パープル) #gallery-6 {margin: auto;}#gallery-6 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-6 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-6 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web より使いやすいよう、操作性を上げる方向で改良が加えられた。売り上げでいえば2番手につけている。ちなみに筆者自身も長年愛用してきた色だったりする。 エクストリームマット(ブラック) #gallery-7 {margin: auto;}#gallery-7 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-7 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-7 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 2020年に追加されたマット系の最上位モデル。整髪力を10段階で表すなら最大の「10」に当たるという、シリーズ随一のパワータイプだ。機能性はピンクと同じく今回変えておらず、コアなファンに支持され続けている。ショートヘアでマットに立ち上げたい層に向く。 カジュアルマット(グレー) #gallery-8 {margin: auto;}#gallery-8 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-8 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-8 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web 旧「グランジマット」から改称された“後継商品”にあたる存在。硬さはしっかり保ちながらも、整髪力をやや落として扱いやすくしたタイプだ。伸ばすとスッと伸びる感触で、硬いのにクリームのような使用感がある。 ルーズシャッフル(オレンジ) #gallery-9 {margin: auto;}#gallery-9 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-9 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-9 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web パーマスタイル向けのツヤ系アイテム。髪にツヤを与えながら、クシュっとした動きを作れる。操作性がよく扱いやすいため、長めの髪との相性がいい。 クールウェット(ライトブルー) #gallery-10 {margin: auto;}#gallery-10 .gallery-item {float: left;margin-top: 10px;text-align: center;width: 50%;}#gallery-10 img {border: 2px solid #cfcfcf;}#gallery-10 .gallery-caption {margin-left: 0;}/* see gallery_shortcode() in wp-includes/media.php */ smart Web smart Web ワックスという括りで並んではいるが、実態は油を一切使わない水系のジェル。パーマヘアに綺麗なツヤを出したり、毛流れを作ったりするのに向いている。 なお研究員自身も「ワックスという括りで紹介しているが、実質はグリースやジェルに近いものも混ざっている」と明かしていた。つまり「ムービングラバー」というブランドが、単なる“ワックス”の枠を超えて考え出されているということだろう。 結論「ワックス離れ」は本当か? smart Web 会見後の個別取材で、担当者に改めて聞いた。 「『ワックス離れ』があるとして、若い人たちは何を使っているんですか?」 答えは明快で「ワックス離れそのものは起きていない」というものだった。主剤としては依然としてワックスが圧倒的多数派だという。ただしアイテムの多様化は確実に進んでいる。就活などTPOに応じてグリースを使い分ける、といった行動も新たに生まれているそうだ。 20年前、「ムービングラバー」は「ガチガチに固める」が主流だった整髪料市場に「髪を遊ばせる楽しさ」という価値観を持ち込むことで支持を広げた。だが今回のリニューアルは、その逆を行く。「見えないくらい自然に、しかし作り込む」という時代のニュアンスに技術で応えようとする。 よって「ワックス離れ」ではない。「選択肢の複雑化」と表現するのが正解に近いだろう。しかし、時の流れでどんな流行になったとしても「ムービングラバー」は王座に安住することなく、挑み続けるはずだ。なぜなら、それが今回のリニューアルの意味なのだから。
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