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もうアイドルの生駒里奈じゃない。「全部経験してよかったことにしてあげる」芸能活動15周年&30歳を記念したラスト写真集に込めた決意と感謝

  • 2026.9.2

「天真爛漫でアニメ好き」――乃木坂46時代の生駒里奈は、確かにそういうイメージだったはずだ。だが10年ぶりとなる写真集『ルリカケス』の発売会見で見せたのは、記者たちが欲しがる「あるある」な回答を避け、本音を隠さない姿だった。30歳&芸能生活15周年を経たラスト写真集。そのタイトルに込めたのは、ロケ地である奄美大島の固有種の鳥に自分自身を重ねた「個」への執着だ。アイドル時代の生駒里奈はもういない。俳優として生きることを選んだ彼女のマインドに迫る。

「固有種」というタイトルは自分で

――10年ぶりとなる写真集『ルリカケス』の発売イベントを終えて、いかがですか?

生駒里奈(以下、生駒):写真集の発売と、(芸能生活)15周年を迎えたタイミングが重なって、あらためての「ありがとう」を伝えられる場になったのがよかったです。やっぱり「自分の活動が誰かの力になっている」と実感するのは、イベントのときだけですね。

毎回来てくださる方も、久しぶりの方も、初めての方もいました。感極まって泣いてしまったり、「生駒ちゃんが人生の教科書です」と言ってくれたりする方もいて……。私自身は漫画『NARUTO』が人生の教科書ですが、下手なことはできないなと(笑)。

大それたことをして生きているわけではないですが、そういう指標になることが舞台に立つ者としての役割だとも思うので、それができているのは嬉しいですね。

――ラスト写真集ということですが、それはなぜでしょう?

生駒:シンプルに「ラストなんだな」と(笑)。ファースト写真集『君の足跡』も出したくなくて周りの方たちとバトルしたんですよ。唯一、自分から出した条件が「カメラマンが青山裕企さんなら」ということ。フェティシズムとしての「スクール水着」をコンセプトにした彼の作品『スク水 sukumizu』が好きだったので、彼の写真じゃないなら出さないと駄々をこねました。最終的にそれを受け入れてもらってリリースされたのが前作で。

だからファースト写真集で綺麗に終わりたかったのですが……。今作は信頼している方たちから「出してみないか」と言っていただいて、その気持ちに感動して制作を決めました。前作も含めて、ファンのみなさんのために出しているようなところもあります。

――そういえば、生駒さんは乃木坂46卒業時も写真集を出さなかったですよね。

生駒:卒業するときはセンターを担当して、ソロ曲を歌って、写真集を出すという「流れ」があったんですけど、その流れに乗りたくなかっただけなんです。

当時は一番尖っていた時代で、ある種の反発心もあったと思いますね(笑)。作品に最後まで責任を持って向き合いたいのに、組織的にそれが叶わないなら出したくない、というこだわりがありました。

――ロケ地は奄美大島でしたが、その理由は?

生駒:以前、ホラー映画『忌怪島/きかいじま』の撮影で奄美に行かせてもらったんです。日焼けも苦手で、外に出るのも苦手なインドア人間なんですけど、そんな私でも外に出させてくれるくらい素晴らしい気候で。

だから、あの自然をもう一度味わいたかったのと、最後の写真集なので、自分の好きな場所で撮りたいと思ってリクエストしました。

――タイトルはご自分で命名されたそうですが、こちらについても教えてください。

生駒:今回は撮影のディレクションと使う写真のセレクトを編集の方にお任せして、タイトルだけは自分で考えていました。そうしたら撮影後、島から帰るくらいのタイミングで「『ルリカケス』という奄美群島の固有種の鳥がいる」と知ったんです。

そこで生駒里奈という「個人」と「固有種」を掛け合わせた意味で、鳥の名前にあやかったタイトルにするのはどうかなと。もともと“個”をテーマに何個か考えていて、英語や造語も作りましたが、しっくりくる、いい言葉が見つかってよかったです。

――カバー写真でも着用している衣装は、ルリカケスの羽にそっくりです。でも今のお話だと命名以前の撮影だったということ?

生駒:今回の衣装は「少年社中」という劇団の衣装さんが用意してくれたのですが、たまたま一致したんですよ。あと写真集後半で着ている虹色の衣装は、舞台『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』で、世界一美しい鳥といわれる「ケツァール」という役の衣装をイメージしたもの。「それだけは用意してほしい」と伝えていました。だから「鳥」という概念にもご縁があるのかもしれません。こだわりポイントのひとつですね。

俳優としてやっていく覚悟が決まった瞬間

――撮影中のエピソードはありますか?

生駒:2泊3日のロケ中は一度も雨が降らなくて、撮影から3日後くらいに梅雨入りしたんです。あれはラッキーでしたね。あと蚊に刺されると化膿するタイプなんですよ。だから蚊取り線香をずっと焚いていたんですけど、おかげで一度も刺されなかったです。

ご飯もすごく美味しかったんですよ。胃下垂なので、お腹を出す衣装がなくて本当に助かりました(笑)。なんだか遊びに行ったみたいな感じ。

――撮影のために体を鍛えたり、ジムに通ったりは?

生駒:特にしていません。髪型も今と違ってパーマをかけてますけど、特にこだわりはなくて。写真集のためというより、そのときの等身大でいいかなという気持ちでした。体がきれいな方は鍛えて見せる美しさもあると思うんですけど、私はこういう魅力だと考えて撮影に臨んでいます。

――最後のエッセイもかなり濃い内容で、俳優業と出会ってから生きやすくなったことがよく伝わってきます。特に「俳優業は盾であり剣なんです」という一節が刺さりました。

生駒:2024年に朗読劇『青野くんに触りたいから死にたい』で演出家・田邊俊喜さんに出会ったのがターニングポイントでした。「俳優業をやってきたけど自信もないし、上手くなれない。でも芸能界以外でどう食べていけばいいんだろう?」と絶望していた時期ですね。

最後の悪あがきとして、技術を上げる修行みたいに年間5本くらい朗読劇に出演した年があり、そこでとしさんに出会いました。こんなに情熱を持って自分に向き合ってくれる人がいるんだと思った瞬間、嬉しくて芝居が上手くなったんです。

共演した俳優さんや声優さんに「あなたには魅力があるから、そんなに嘆かなくても大丈夫、切磋琢磨して頑張ろう」と言ってもらえる仲間にも出会えて、この世界で頑張っていく覚悟が決まった機会でした。

――生駒さんが、演技で一番大切にしていることは?

生駒:「側でやらない」はモットーにしています。もちろん演技自体は嘘なんですけど、せめて舞台に立っている瞬間だけは役として生きていたい。それを私はすごく大事にしています。だからこそエッセイにも書いた通り、そうじゃない瞬間がもっと怖くなってしまったんですね。

自己催眠かもしれませんが、役でいることが救いになっていて、自分自身を見られることに、むしろ恐怖を覚えてしまうんです。今は俳優として生きていきたいなと。だからファンのみなさんは、たまに開催するイベントやファンミーティングで素の生駒ちゃんを堪能してくださいね(笑)。

――僕は9年前、乃木坂46の舞台ゲネプロを一記者として取材していたんです。当時の生駒さんは明るくリップサービスを振る舞っていましたが、今日の『ルリカケス』発売にあたっての記者会見では「自分の意見を持った強い人」という印象を持ちました。

生駒:コロナ禍以降、世の中の考え方が変わった気がしていますが、もともと私はそういうタイプの考えだったんです。自分の見た目や「どういう写真集なら日本で売れるか」みたいな、なんてことないことに生きづらさを感じていました。

それが今の時代になって、同じ考えの人が周りに増えて、友達になってくれたりして。やっと生きやすくなったんです。「気にしなきゃいけない」「変えなきゃいけない」と考えていた部分も、変えなくていいんだと思えた。それが、ある意味「強さ」に見えるようになったのかな。

もう嘘をついても仕方がない

――芸能活動15年を振り返って、「これはやらなくてよかった」と思うことはあります?

生駒:ひとつもないんです。「仕方ないから経験として理解してあげよう」ということもあるんですけど(笑)。そのおかげで今、許せないことがなくなってきたというか。すぐ切り替えられるようになりました。

10代、20代の頃に理不尽な経験をして鍛えられたから、フラストレーションがなくなったんですかね? それはよかったなと。だから全部「経験してよかった」にしてあげようと思っています。

――乃木坂46時代の漫画・アニメ好きで、明るい生駒さんのイメージを今も持っている人もいると思います。それについてはどう理解していますか?

生駒:ずっとあのテンションで生きているわけではないです(笑)。アイドル時代はグループのイメージもあり、少しキャラを作っていましたが、当時からこういう性格でした。「それは振る舞いとしてよくないよ」と言われていたから出せなかっただけ。もう嘘をついたって仕方がないというか、今はただ本来の自分を出しています。

――それから記者会見で「30代はのほほんと過ごしたい」と話されていましたが、それはどういう意味でしょう? 「挑戦を避ける」という感じには聞こえませんでした。

生駒:私はできるだけ長く自分の足で立って走れる俳優になりたいんです。そのために必要なのは、“のほほん”と生きられる体と精神。舞台は想像以上に体力と精神力を使うんですよ。9月から始まる舞台『呪怨 THE LIVE -再念-』は、原作を知っている方なら分かると思いますが、悲しい終わりを迎える役を演じます。

お芝居とはいえ、しんどいです。本来ならば終わってしまう命を演じるのはメンタルに相当な負荷があって。役とシンクロしているのが嬉しいような、複雑な気持ち。

――なるほど。

生駒:だからこそ、努力を見せて引っ張ってくれる大先輩を見て、自分もこうならなきゃいけないなと思います。いかにみなさんが素晴らしいか、今回の作品であらためて思いました。

――それは30代に限らず、もっと長い視点で活躍する役者を目指しているという宣言でよろしいですか?

生駒:はい。私はまだ30歳ですが、60歳や70歳を過ぎて体力が落ちてきてもなお人前に立って、生命力とともに人に訴えかけられる芝居ができるというのは本当にすごいこと。また「夢は自分の力だけでは叶わない」ということも、この15年で理解したことです。

単純に自分が「芸能人」という職業しかできないというのもありますが、できるだけ長く自分の体を使って仕事をしていくというのが大きな目標ですね。

――最後に、写真集を手に取るファンへメッセージをお願いします。

生駒:デビュー当時から応援し続けてくださっている方が、今もたくさんいらっしゃることに感謝を伝えたいです。そして、もちろん舞台から新しく好きになってくださった方にも。

この写真集『ルリカケス』は、ファンのみなさまへの恩返しであり、15周年の記念品。私自身の人間性や考え方もエッセイに落とし込みました。それを読んで、写真集も見て、それでも「生駒ちゃん」に興味があるという方は、これからも応援のほどよろしくお願いします。

Profile/生駒里奈(いこま・りな)
1995年12月29日生まれ、秋田県出身。アイドルグループ・乃木坂46の元メンバー。

2011年8月、乃木坂46の1期生として活動を開始。12年、シングル「ぐるぐるカーテン」でCDデビュー。
14年4月から15年5月までAKB48を兼任。18年5月、乃木坂46を卒業。

以降、舞台『少年社中モマの火星探検記』(20年)ドラマ『真犯人フラグ』(21年)、舞台『僕とメリーヴェルの7322個の愛』(21年)、映画『忌怪島/きかいじま』(23年)、ドラマ【水ドラ25】『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』(24年)、舞台『西の魔女が死んだ』(24年)、朗読劇『青野くんに触りたいから死にたい』(24年)、映画『室井慎次 敗れざる者』(24年)などに出演。

Instagram:@ikomarina_1229
X:@ikoma_chandesu

■書誌情報
生駒里奈写真集『ルリカケス』

撮影:青山裕企
発売日:2026年8月21日
価格:3,850円(税込)
発行:ワニブックス
https://www.wani.co.jp/event.php?id=9050

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