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「10万円の洗濯機を買う客だぞ、俺を先に会計しろ」20時過ぎの家電売り場で会計を急かす客。だが、店員が正論をぶつけた結果

  • 2026.9.3

20時過ぎの家電売り場で、声が上がった

家電量販店で働いていたころのことです。その日は20時を過ぎていて、フロアに残っている従業員も少なくなっていました。

私は洗濯機を購入された男性のお客様を担当していました。

価格は10万円ほど。配送の日取りや設置場所を確認し、必要な手続きを終えて、あとは会計というところまで進んでいました。

ところが会計カウンターを見ると、すでに何組かのお客様が並んでいます。テレビや冷蔵庫など、大型家電を購入された方もいて、ひと組ずつ対応するため少し時間がかかっていました。

私は男性に声をかけました。

「申し訳ございません。ただいま順番にお会計をご案内しておりますので、少々お待ちいただけますか」

すると男性は列を見てから腕時計に目を落とし、少し強い口調で言いました。

「10万円の洗濯機を買う客だぞ、俺を先に会計しろ」

思わず言葉に詰まりました。

男性は何度も腕時計を気にしていました。時間も遅かったので、早く帰りたい事情があったのかもしれません。それでも、先に待っている方を飛ばすわけにはいきません。

「お急ぎのところ申し訳ございません。ただ、皆さま順番にご案内しております」

そう伝えると、男性は納得できない様子で「でも、こっちは結構な買い物してるんだぞ」と続けました。

私はもう一度、頭を下げました。

金額で言い返すのはやめた

そのとき頭に浮かんだのは、前に並んでいるお客様たちの買い物でした。

大きなテレビを購入された方もいれば、冷蔵庫と洗濯機をまとめて購入された方もいます。

金額だけで比べれば、男性より高い買い物をされている方もいました。

「前のお客様には、もっと高額な商品を購入された方もいらっしゃいます」

そう言えば、こちらの説明に納得してもらえるかもしれない。一瞬、そんな考えが浮かびました。

けれど、口にはしませんでした。

誰がいくら使ったかで順番が決まるわけではありません。

それを説明するために別のお客様の購入金額を持ち出したら、自分まで金額でお客様を比べることになってしまいます。

私は顔を上げ、同じことをもう一度伝えました。

「申し訳ございません。順番にご案内しておりますので、もう少々お待ちください」

男性はしばらく黙っていましたが、やがて小さく息を吐きました。

「…わかったよ。でも、なるべく早く頼むな」

「はい。お待たせして申し訳ございません」

それ以上、大きな声が上がることはありませんでした。

それから十分ほどして男性の順番になり、会計も無事に終わりました。

帰り際、男性は少し気まずそうにこちらを見ました。

「さっきは悪かった。ちょっと急いでてさ」

「いえ、お待たせして申し訳ございませんでした」

短いやり取りをして、男性はそのまま店を出ていきました。

近くにいた先輩からは、「よく金額の話で言い返さなかったな」と声をかけられました。

今振り返っても、あのとき別のお客様の購入金額を持ち出さなくてよかったと思います。高いものを買った人ほど先に案内されるわけではありません。

どれだけ忙しい時間でも、誰がいくら買ったかではなく、待っている順番で案内する。その当たり前のことを、感情的にならず伝える大切さを覚えた出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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