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「隣家の工事現場」から板が落下→愛車が損傷…50代被害者男性が“それでも車両保険を使えなかった”ワケ

  • 2026.9.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

自分のクルマが事故や災害などで損傷したとき、「車両保険に加入しているから、自分の保険を使えばいい」と考える人もいるのではないでしょうか。ところが、事故の原因や相手からの補償によっては、自分の車両保険から保険金を受け取れないケースがあります。

実際に、隣家の工事中にクルマが損傷したUさん(50代・男性)から、「自分も車両保険に入っているのに、なぜ使えないのか」と相談を受けました。Uさんは、自分で保険料を払っている以上、事故が起きれば自分の保険も使えると思っていたといいます。

それではなぜ、車両保険に加入していても使えないことがあるのでしょうか。

隣家の工事で愛車が損傷 でも修理費は業者側が補償

Uさんの隣家では、外壁塗装の工事が行われていました。ある日、工事中の足場から板が落下。その板がUさんのクルマに当たり、車体が損傷したのです。突然の出来事でしたが、工事を請け負っていた業者側が修理費を補償することになりました。

ところが、ここでUさんには一つの疑問が生まれます。

「車両保険に加入して保険料を払っている。それなら、自分の車両保険からも保険金を受け取れるのでは?」

Uさんにとっては、ごく自然な疑問だったのかもしれません。

しかし、自動車保険には、知っておきたい基本的な仕組みがあります。

車両保険と生命保険では補償の考え方が違う

Uさんが「自分の保険も使えるのでは」と考えた背景には、生命保険などとの違いがあったのかもしれません。

保険には、大きく分けて「実際に生じた損害を埋めること」を目的とするものと、契約時に決められた金額を受け取るものがあります。たとえば、生命保険の入院給付金は契約で定められた条件を満たせば、入院にかかった費用とは別に、契約内容に応じた給付を受けられます。一方、クルマの損傷を補償する保険は、事故などによって生じた損害を対象とするものです。

そのため、修理費が50万円で、工事業者側からその全額を補償してもらえるのであれば、同じ50万円について、自分の契約からさらに50万円を受け取ることはできません。

相手からの補償と自分の契約による補償を合わせて、実際の損害額を超えることはできないという考え方です。

これは、保険料を払っているのに保険が使えないというより、同じ損害に対して、必要な補償額を超えて受け取ることはできないという仕組みによるものです。

つまり、保険に加入しているからといって、事故が起きたときに必ず自分の契約から保険金が支払われるわけではありません。まずは、その損害を誰がどのように補償するのかを確認することが大切です。

相手の補償だけでは足りない場合は?

それでは、相手側から受けられる補償だけでは、クルマの損害をすべてカバーできない場合はどうでしょうか。

たとえば、修理費が100万円かかる一方で、相手側から補償される金額が80万円にとどまるケースです。このような場合には、契約内容や事故の状況によって、自分の車両保険を使えることがあります。ただし、実際にどこまで補償されるのか、どのような手続きになるのかは、加入している保険の契約内容や相手側からの賠償状況によって異なるため、確認しましょう。

「相手の保険があるから自分の保険は関係ない」と決めつけるのではなく、損害額と相手から受けられる補償、自分の契約内容を確認することが大切です。

「使えるか」より「どの保険で補償されるか」を確認

クルマの事故では、「自分も保険料を払っているのだから、自分の保険を使いたい」と思うことがあるかもしれません。しかし、重要なのは自分の車両保険を使えるかだけではありません。まず確認したいのは、今回の損害を誰が補償するのかということです。

相手側に賠償責任があり、その相手から損害額を全額補償してもらえるのであれば、同じ損害について自分の車両保険から重ねて保険金を受け取ることはできません。一方、相手からの補償だけでは損害を埋められない場合などには、自分の保険が関係する可能性があります。

また、車両保険を使うと翌年度以降の保険料に影響する場合もあるため、「加入しているから、とりあえず使う」と考えるのではなく、保険会社や代理店に確認したうえで判断することが大切です。

「保険料を払っているのに使えない?」には理由があった

Uさんのように、「自分で保険料を払っているのだから、自分の車両保険も使えるはず」と考えるのは、決して不自然なことではありません。

ただ、自動車保険の車両保険は、実際に発生したクルマの損害を補償するものです。そのため、相手側から損害額を全額補償してもらえる場合、同じ損害について自分の車両保険からも重ねて保険金を受け取ることはできません。

事故が起きたときは、「自分の保険を使えるか」だけを見るのではなく、事故の原因や相手側から受けられる補償、自分の契約内容を確認しましょう。「保険料を払っているのだから使いたい」という気持ちだけで判断せず、どの保険でどこまで損害が補償されるのかを把握しておくことが大切です。


ライター:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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