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「プリント全部見せて」ほとんど講義に来ない友人にそう言われた私が、1枚だけ渡した理由

  • 2026.8.28
ハウコレ

返却口に食器を返したその手で、友人は私のファイルをまっすぐ指さしました。出席した回数を指で数えたところで、レポートが進むわけではありません。それでも私が束から抜いて渡したのは、付箋の貼ってある最後の回の、たった1枚だけでした。

前期の間、友人の席はほとんど空いていました

同じ学部の友人とは、必修で席が近くなってから話すようになりました。前期のこの講義は毎回レジュメが配られ、教授は課題に関わる部分を口頭でだけ足していきます。提出は紙で、表紙に受講番号、参考文献は配布資料以外から2点。どれもレジュメには印刷されていない条件でした。私はその都度、余白に書き取り、レポートで使いそうな回には付箋を貼っていました。友人がその教室の席に座ったのは、14回のうち3回です。来た日はうしろのドアの近くに座っていました。

学食で言われた「プリント全部見せて」

最終回の帰り、学食で向かい合ったところで、友人が言いました。「プリント全部見せて」。私は聞き返しました。「全部って、最初の回から?」友人はうなずきます。「うん。写真撮るだけだから、すぐ返す」。もうスマホを持ち上げて、こちらのファイルに向けて構えています。すぐ返すも何も、返ってくるのは私が書いた紙です。私はコップを持ち上げ、置く場所を少しずらしました。テーブルの下では、友人が座っていた回を指で折って数えています。3本目で終わってしまい、数えるのをやめました。

私が代わりに口にした質問

断る言い方をいくつか考えて、どれも口から出てこず、代わりに出てきたのは質問でした。「どこが分からないの?」友人はストラップの先をつまみ、私の手元だけを見ています。返事が来ないまま、隣のテーブルの学生が入れ替わりました。どこで止まっているのかを言えない相手に束ごと渡しても、写した画面の中で同じ場所に戻るだけです。私はファイルを開き、最終回の分だけを抜きました。表紙の条件を書き込んだ、付箋の貼ってある1枚です。「今日の分だけ。ここから始めて」。友人は「ありがとう」と言って、その1枚を折らずに鞄へしまいました。

そして...

後期の初回、友人は教室の前のほうに来ていました。配られたレジュメの余白に、友人はペンを走らせています。私が隣に座って自分の付箋を出すと、友人のレジュメの端にも、色違いの付箋が1枚だけ貼ってありました。同じ束を写した紙ではなく、自分の手で埋めた余白が、そこに並んでいます。

(20代女性・大学生)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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