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朝ドラで暫く姿を見せない“勝ち気”で真っすぐな女性「再登場求む」「そういえば」いまだ描かれない“未回収”の物語

  • 2026.9.13
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『風、薫る』第24週(C)NHK

少しずつ最終週が近づき、かつて登場した人物たちの“その後”が次々と描かれている『風、薫る』。元女郎の魚住セツ(村上穂乃佳)が思いがけない姿で再登場し、人生を立て直したことが明らかになる一方、帝都医大病院の看護科を辞めた土居ヒデ(池田朱那)の行方はわからないままだ。SNS上でも「再登場求む」「そういえば、今どこにいるんだろう」と気にかける声が。ヒデの物語は、最終週までにもう一度動き出すのだろうか。

※以下本文には放送内容が含まれます。

セツの帰還が示した、“物語の外”にも続く人生

『風、薫る』が最終盤に近づき、懐かしい人物たちがりん(見上愛)たちのもとへ戻ってきている。

浜松へ去った島田健次郎ことシマケン(佐野晶哉)は、郵便配達夫として新しい生活を始めていた。りんの元夫・奥田亀吉(三浦貴大)も、亡き祖母から孫へ宛てた手紙を携えて再登場。それぞれが過去とは異なる場所で生き、りんや環へ次の人生を選ぶための言葉を残した。

なかでも印象的だったのが、セツとの再会である。

セツはかつて夕凪という名で生きていた元女郎。服毒心中を図って病院へ運ばれ、りんと直美(上坂樹里)の看護を受けた。当初は生きることに絶望し、周囲へ心を閉ざしていたが、二人との関わりによって少しずつ表情と言葉を取り戻していった。

病院を去ってから、どこでどのように暮らしているのかは長らく描かれていなかった。それだけにセツの再登場は、りんたちの看護が病気を治しただけではなく、一人の女性がふたたび人生を歩き始める力に繋がったことを証明するものだった。

りんや直美と別れた瞬間が、その人物の人生の終わりではない。画面から姿を消したあとも、それぞれの時間が流れ続けている。だからこそ気になるのが、第14週で看護科を去ったヒデのその後だ。

ヒデのその後は……

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『風、薫る』第14週(C)NHK

ヒデは、帝都医大病院に新設された看護科の第1期生だった。西洋式の新しい看護を学びたいという強い意欲を持ち、勝ち気でまっすぐな性格。看病婦のツヤ(東野絢香)から包帯の巻き方を教わるなど、古い看護と新しい看護の間で、貪欲に知識を吸収していた。

そんなヒデが突然辞めたきっかけは、指導者であるりんの看護への向き合い方だった。

患者のために昼夜を問わず働き、自分の時間や生活さえ差し出すりん。その姿を見たヒデは、彼女が良い看護婦なら、自分は看護婦にはなれない、と考えてしまう。この考えは、単なる根性不足や適性のなさを意味しているのではない。

りんの看護は、患者へ深く寄り添い、その人が本当に必要としているものを考え続ける献身的なものだ。多くの患者を救ってきた一方、学ぶ側から見れば高すぎる壁にもなり得る。ヒデの離脱は、りんに教育することの難しさを突きつけた出来事でもあった。

しかし、その後のヒデの姿は描かれていない。ある種の自己否定を抱えたまま、物語から姿を消してしまったままだ。

彼女が看護婦とは違う道を選んでいたとしても、向上心や学ぶ意欲を生かせる場所を見つけ、自分を否定せずに暮らしていてほしい。ヒデの物語が未回収に感じられるのは、彼女が夢を諦めたからではない。その後、納得できる人生を見つけられたのかが、まだ不透明だからだ。

りんとヒデを繋ぐもの

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『風、薫る』第14週(C)NHK

最終週にかけて、りんがこれまで積み重ねてきた看護の経験や思いを、一冊の本にまとめていく展開が想像できる。りんと直美が現場で作り上げてきた看護を、個人の技術や精神論だけで終わらせず、言葉にして次の世代へ手渡す。それが物語の大きなゴールになるのではないか。

そこで、ヒデが再登場する可能性も浮かび上がる。

一つ考えられるのは、ヒデが別の場所で看護婦として働いている展開だ。一度はりんの姿に圧倒されたものの、自分なりの患者との向き合い方を見つけているとすれば、過去の挫折は新たな出発点へ変わる。

りんと同じ看護婦になるのではなく、りんとは違う方法で人を支える。もちろん、ヒデが看護とは異なる道を歩んでいる可能性もある。それもまた、十分に希望のある結末だ。

第24週では、りんの娘・環(瀧七海)が、看護婦ではなく絵を描いて生きる道を選んだ。りんの仕事に興味を持った気持ちは本物だったが、実際の看護を見学したことで、中途半端な覚悟ではできないと悟ったのだ。

りんは娘の決断に対し、安易に夢だけを応援するのではなく、仕事として稼ぐ手立てを考えるよう現実を伝えた。そのうえで「力の限り、応援します」と背中を押している。

同じように、ヒデも看護婦にならなかったからといって、りんから何も受け取らなかったわけではない。看護科で学んだ時間や、患者のために動くりんの姿が、別の仕事や暮らしのなかで生かされているかもしれない。

本人が直接登場せず、りんの看護書を通して二人がつながる展開も考えられる。かつて、完成されたように見えるりんの姿に挫折したヒデが、そこへ至るまでの迷いや失敗を本から知る。そうすれば、りんだって最初から立派だったわけではないと気づき、過去の自分を少しだけ許せるのではないか。

ヒデが看護婦として戻れば、挫折からの再出発になる。別の仕事を選んでいれば、自分に合う道を見つけた証しになる。どちらであっても大切なのは、彼女自身が納得できる人生を選び取っていることだ。


連続テレビ小説『風、薫る』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

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