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まだ建てて1年なのに… 9月上旬、夫がまさかの「10月1日付、3年予定の転勤」30代夫婦の大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.9.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「内示の翌週にはもう、家をどうするか決めなきゃいけなくて。建てて1年なのに、売るの?空けるの?って」

そう話すのは、昨年、郊外の住宅地に大手ハウスメーカーで注文住宅(4LDK・延床約116㎡/土地約165㎡、約4,900万円)を建てたDさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

建てるとき、ローンの担当から「住宅ローンは本人が住むことが条件」と説明を受けていました。ただ、「自分たちが住むのだから関係ない」と受け流し、転勤の可能性は考えていなかったのです。

9月上旬、夫に10月1日付、3年予定の転勤の内示。夫が先に赴任し、家族は年内に合流する段取り。移ると決めた夜、残ったのは「この家をどうするか」。売れば1年で手放す。空ければ傷む。貸せば戻れないと聞きます。

「貸すと戻れない」は、契約の種類の話

貸すと戻れない、という心配には根拠があります。普通借家契約では、期間満了でも貸主から更新を拒むには正当な事由が必要で、「自分が戻って住みたい」だけでは認められにくいのです。

一方、定期建物賃貸借(定期借家契約)は、定めた期間が満了すれば更新されず確定的に終わる仕組み。双方が合意すれば再契約もできます。書面での契約と、更新がない旨の事前説明が要件。期間が限られるぶん家賃は相場より抑えめになりがちですが、「戻れない」という不安は、契約の選び方で解消できるのです。

貸主側からの途中解約はできないため、帰任が早まりそうなら、期間を短めに区切り再契約でつなぐ設計もできます。

ローンも保険も、「本人が住む」前提でできている

もうひとつの見落としが住宅ローンです。本人や家族が住む家のための融資なので、無断で貸せば契約違反になり、投資目的の転用と見られれば残額の一括返済を求められることもあります。

ただし、転勤などやむを得ない事情で一時的に住めない場合は、戻ることを前提に賃貸できるのが一般的ですが、金融機関への届出が必要です。火災保険も、住む人が変われば保険会社への連絡が必要になります。住宅ローン控除も同じで、家族全員で転居して貸し出す期間は控除の対象になりません。

「空けておく」にもコストはあります。3年閉め切れば家は傷み、防犯や保険の扱いも変わる。空ける選択も管理の計画とセットです。

Dさん夫婦はどう対応したのか

3年の帯同に合わせ、期間3年の定期借家契約で貸すことにしました。窓口はハウスメーカー系列の賃貸管理会社で、借主の募集から契約、期間中の点検まで任せられます。

金融機関に転勤の届出を出し、保険会社にも連絡。あわせて転居の前に、税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出。家族全員で転居して貸す間は住宅ローン控除を受けられませんが、この届出があれば、戻って住み始めた年(その年も貸していれば翌年)から残りの期間の控除を再び受けられます。家賃はローン返済額をやや下回りましたが、空けたまま傷ませて払い続けるより納得のいく数字。引っ越し費用は会社規定を超えた分が自己負担でしたが、家のほうは落ち着いた形で出発できました。

内示が出たら、決める順番がある

建てて1年の家を離れるのは、寂しい決断です。ただ、順番さえ間違えなければ、家は3年後も、戻る日を待っています。以下を確かめてみてください。

・最初に金融機関へ:住宅ローンは本人居住が条件、転勤は事前の届出で認められるのが一般的
・税務署にも転居前に届出を:貸す期間は住宅ローン控除の対象外だが、届け出れば戻ってから残りの期間を再適用できる
・貸すなら定期借家契約:期間満了で確実に戻れる分、家賃は相場より抑えめになりがち
・空けるなら管理の計画を:3年閉め切ると家は傷み、保険の扱いも変わる
・火災保険会社にも連絡を:住む人が変われば、契約の見直しが要ることも

売るか、空けるか、貸すか。3年後に戻る家のために、金融機関・税務署・契約・保険の4つは先に済ませておいてください。

参考:
定期建物賃貸借 Q&A(国土交通省)
返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。(住宅金融支援機構・フラット35)
No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等(国税庁)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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