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「二度と来るか!」文句は言うが、また来店する客。だが、聞いてしまった客が来る理由とは

  • 2026.8.27

帰り際には、いつも同じことを言った

若いころ、昼はランチ、夜はお酒も出すレストランで働いていました。もうずいぶん昔のことです。

その店に、月に3回ほど昼の時間帯に来るお客さんがいました。

いつも一人で、座る場所もだいたい同じ。何か気に入らないことがあると、すぐ口に出す人でした。

ある日、その人は席に着くなり、お酒を注文しました。

「申し訳ありません。お酒は夜の時間帯だけなんです」

そう説明すると、不満そうな顔をして、「じゃあ紅茶をくれ」と言います。

ところが紅茶を運ぶと、カップを見ながら今度はこう言いました。

「これで金を取るのか」

別の日には、水の出し方に文句を言われたこともあります。声が大きくなることもあったので、その人が入ってくると、私たちも少し身構えるようになっていました。

それでも、注文した料理はいつもほとんど残しません。

食べ終えて会計を済ませるころになると、また昼にお酒を出していないことを思い出したように言うのです。

「ランチの時間でも酒くらい出せよ」

そう言って帰っていくのに、数日から一週間ほどすると、また同じ時間にやってきます。

最初のころは本当にもう来ないのだろうと思っていましたが、何度も繰り返されるうちに、私たちも「また来た」と顔を見合わせるようになりました。

「また来週も会いそうですね」

ある日も、その人はいつものように食事を終え、レジで会計を済ませました。

そして店を出る前に、また同じ言葉を口にします。

「二度と来るか!」

すると、近くの席にいた常連のお客さんが振り向きました。その人も同じ時間帯に来ることが多く、これまで何度も顔を合わせていたのでしょう。

「また来週も会いそうですね」

からかうような強い言い方ではありませんでした。いつもの光景を見て、思ったことをそのまま口にしたような調子です。

言われた本人は一瞬黙りました。それから常連客のほうを見て、少しだけ笑いました。

「…まあ、飯は悪くないからな」

それだけ言うと、そのまま店を出ていきました。

私はその言葉を聞いて、少しだけ納得しました。

文句は多くても、料理そのものが嫌いだったわけではなかったのでしょう。毎回きれいに食べていたことも、そのときになって思い出しました。

その後も、その人は月に何度か店に来ました。急に愛想がよくなったわけでも、文句がすっかりなくなったわけでもありません。

ただ、「二度と来るか」と大声で言うことは少なくなりました。

相変わらず一人で来て、同じような席で食事をする姿を見るたび、私は「あの人なりに、この店を気に入っていたんだろうな」と思うようになりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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