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「正直、たかが10%と思っていました」夕方の道の駅で衝突した20代男性に生じた10万円超の自己負担

  • 2026.9.7
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「あそこは出入口が見えにくいんですよ。暗い時間帯だと、なおさらです」

契約者のAさん(20代・男性)は、電話口でそう話しました。

秋の夕方、道の駅の駐車場から出てきたBさんの車と、直進するAさんの車が衝突しました。この事故により、Aさん自身も頸椎捻挫のケガを負っています。

駐車場から出てきた車にぶつけられたのだから、自分の過失はゼロに近いはず。Aさんは、そう考えていたそうです。しかし最終的に、Aさんには10万円以上の自己負担が生じることになりました。

これは損害保険会社で私が担当した、道の駅の出入口で起きた事故のお話です。

「暗くて見えなかった」道の駅の出入口

現場は、片側2車線の道路。天気は晴れ、時刻は17時頃でした。

Aさんはこの道路を直進していました。そこへ、道の駅の駐車場から左折で本線に進入してきたBさん(40代・女性)の車と衝突。Aさんの車は、修理費が40〜50万円ほどかかる損傷を負いました。

事故直後、Aさんはこう説明しています。

「夕方の暗さで、Bさんの車が見えなかったんです」

一方、Bさん側の主張は「出入口で一時停止をしたうえで、徐行しながら左折した」とのことでした。

ただし「しっかりと確認しなかった」「ヘッドライトの光があったかも覚えていない」とも話しているようで、Bさん自身も自分の過失が大きいこと自体は認めています。

しかしBさんは「車に乗っている以上は、Aさんにも過失があるのではないか」とも主張していました。Aさんとしても走行中であったため、自分にも過失はあると認め、双方の保険会社で交渉することになりました。

5:95で終わるはずだった

駐車場などの出入口から道路に進入する車と、その道路を直進する車の事故。この類型の基本的な過失割合は、10:90(Aさん:Bさん)とされています。道路を走っている車のほうが優先される、という考え方です。

ここに、現場の状況に応じた修正が加わります。

今回の現場は幹線道路でした。

幹線道路とは、歩道と車道の区別があり、車道の幅員がおおむね14メートル以上(片側2車線以上)あって、車が高速で走行する通行量の多い国道や一部の都道府県道を指します。

こうした道路では直進車の優先度がより高く見られるため、5:95まで修正される見込みでした。

Aさんから聞いた情報を基に、現時点での過失割合の見込みを説明したところ、Aさんはこう言いました。

「暗い時間帯ですし、あの出入口は確認しづらい。本当は無過失を主張したいくらいです」

本当に見えなかったのか

私は双方のドライブレコーダーの映像を取り寄せ、順に確認していきました。

まず見たのは、道の駅の周囲の状況です。Aさんの説明どおりであれば、視界を遮るものが映っているはずでした。

しかし出入口の付近には、建物も植栽も、看板の類もありません。本線側からも出入口側からも、お互いの車が見える状態だったのです。

次に、Bさんの映像で車の動きを確認しました。

夕方の道の駅ということもあり、駐車場から出ようとする車も多くありません。Bさんは、本線に車体を出さない位置で停止していました。そこからゆっくりと進入していく様子が、映像には残っています。

暗いと“見えない”は、同じではない

映像の内容を伝えると、Aさんはこう返しました。

「暗くて見えなかったのに、見通しは良かったことになるんですか」

暗くて見えなかった、だからあの場所は見通しが悪い。言葉としてはつながって聞こえますが、過失割合の判断では別のものとして扱われます。見るのは、その場所で確認ができたかどうかです。「運転者が実際に見えていたか」ではありません。

見通しがきく出入口では、出てこようとする車を早い段階で確認できます。これは出てくる側だけの話ではなく、直進する側にも当てはまります。だからこそ直進車にも周囲を確認する余地があったとして、加算の修正がなされることになります。

Bさん側の保険会社は、この修正を主張していました。そして映像は、その主張を裏づけるものでした。過去の裁判例に照らしても、10%程度の加算は妥当な範囲です。

ただし、保険会社が提示する過失割合は、あくまで過去の裁判例を基準としたものです。絶対的な数字ではなく、必ずしも従う必要はありません。それでも一定の根拠があるため、多くのケースで用いられます。

たった10%の差で、自己負担は10万円を超えた

保険会社間の協議の結果、最終的な過失割合は15:85で合意しました。

Aさんは車両保険に加入していなかったため、自分の車の修理費のうち15%。金額にして6〜7.5万円を自己負担することになりました。

しかし、負担はこれだけではありません。

Bさんの車の損害も30〜40万円程度あり、Aさんには自分の過失15%にあたる4.5〜6万円を支払う責任もありました。対物賠償責任保険を使うことも可能でしたが、等級ダウンによる保険料への影響を考慮し、自己負担する選択をしています。

仮に、過失が5:95のままであれば、合わせて4万円前後でした。10%の違いが、7〜9万円の差になった形です。

なお、Aさんのケガについては、自賠責保険の枠内(120万円)で治療が終了したため、過失割合による減額を受けずに賠償金が支払われています。

それでも車に関するAさんの自己負担金は、10万円を超える結果となりました。金額を伝えると、Aさんは最後にこう言いました。

「正直、たかが10%と思っていました」

暗さに身構える前に

これからの季節は、日没は早まる一方です。まだ明るいつもりで走っていても、道路脇や出入口から出てくる車は見つけにくくなっていきます。それでいて夕方は、夜ほど身構えないまま走ってしまう時間帯でもあります。

スピードを落とす。周りをよく見る。見通しの良い場所でも油断しない。

どれも普段から言われていることですが、この季節の夕方は、いつもより一段強く意識しておきたいところです。

秋の道の駅は、行楽に向かう車と帰る車でにぎわいます。楽しかった一日の帰り道こそ、あの出入口から「出てくるかもしれない」と注意して運転しましょう。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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