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「ずっと先かなと思っていた」19歳でウエディングドレス姿を披露した人気女優。20年後、本当に花嫁に

  • 2026.10.10
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2006年9月、「エプソン マルチフォトカラリオ」CM発表会に出席した長澤まさみ(C)SANKEI

20年前の2006年9月、エプソンのプリンター「カラリオ」の新CM発表会に、当時19歳の長澤まさみは青のドレス姿で現れた。

新CMで彼女が披露したのは、美しいウエディングドレス姿。だが、その姿について聞かれた本人は、ウエディングドレスを着るのは「ずっと先かなと思っていた」と答えた。

CMの中で、父を手伝う娘から、わずか1年で父が見る幻の花嫁へと駆け上がった19歳。発表会は、CMソングを歌う森山直太朗との掛け合いで笑いに沸いた。今振り返れば、彼女はこの頃からすでに、CMの中で実年齢より先に年を重ねていく役を、楽しそうに、そして誠実に引き受けていたように思える。

父が見る幻の花嫁とお婿さん候補を外れた森山直太朗

当時のカラリオのCMは、父親役に高橋克実、祖父役に藤村俊二を配したホームドラマ仕立ての設定だった。そこに2006年の新CMからは、母親役としてピンク・レディーの未唯mieが新たに合流する。

その新CMは、お嫁に行くときも撮ってね、というセリフとともに長澤の花嫁姿が映し出されるというもの。だがそれは現実ではなく、高橋演じる父親が見る幻だった。

発表会では高橋が、自分の撮影は先に終わったのに、長澤が着替え終わるまで待っていたと明かした。未唯も、自分の娘を嫁に出したらうれしさと寂しさがこみ上げる感じになる、と母親の側から語った。

青のドレスの長澤には、父役の高橋も、主題歌を担当した森山直太朗もうっとり。その視線を浴びながら、長澤は共演者を一人ずつ挙げ、「こんな素晴らしいCMはないですね!」と笑顔を見せた。

その森山はこの日、CMのために書き下ろした新曲『夢みたい ~だから雲に憧れた~』をステージ上で初披露した。ピアノの旋律を中心にしたバラードで、タイトルはエプソンの商品説明を受けて出た「夢みたいな商品だね」という一言から始まった。絵コンテが長澤の結婚という未来を彷彿とさせたので、良い世界観にできたらいいなと思った、と森山は曲作りを振り返った。

こんな姿でお嫁に行けたらうれしい、と続けた長澤が「式では森山さんに歌ってもらえたらいいな」と話すと、森山は、余興が得意なので1曲でも何曲でもと快諾。ただ、これでお婿さん候補から外れてしまったと肩を落とすと、会場から笑いが沸き起こった。

娘役を巣立って「エプソンの顔」へ

長澤がカラリオのCMキャラクターに起用されたのは、その1年前、2005年9月のことだ。当初はITに疎い父親をカラリオで手伝い、それを祖父がうらやましそうに眺める、いわば家族をつなぐ娘だった。

そこからわずか1年で、父の幻の中とはいえ、早くも嫁いでいく姿が描かれたのだ。2006年の会見で長澤は「この1年、カラリオとともに成長できた」と振り返った。新しく母親役となった未唯からは明るく笑顔で居る大切さを教えられ、イタリアからビデオレターを寄せた藤村を、学ばされることの多い大先輩と慕った。画面の中の家族を、まるで本物の家族のように語っていた。

この年の秋、長澤には10月から主演の連続ドラマ『セーラー服と機関銃』も控えていた。森山の新曲も、10月にシングルとして発売された。

だが、この温かな家族の物語はあっけなく一区切りを迎える。翌2007年秋、エプソンはテーマを「じぶんを、出そう。カラリオ」に改め、家族のシリーズから一転して9人を起用する新体制へと舵を切った。高橋、未唯、藤村が顔ぶれから外れる中、3年目を迎えた長澤だけがメインとして残り、発表会では「エプソンの顔」と紹介された。

新CM「自分磨き」篇で描かれたのは、誰かの娘でも花嫁でもない。好きなものを写真に撮り、空いた時間にプリントする、彼女自身の暮らしだった。

17年後の主題歌とカルピスの母親役

あの日、1曲でも何曲でもと請け負った森山直太朗は、2023年公開の、長澤が検事を演じた映画『ロストケア』の主題歌を書き下ろした。結婚式の余興の歌ではない。だが、19歳の彼女の前で歌った音楽家が、17年後、大人の女優になった彼女の出演作に再び歌を添えたという事実は、味わい深い。

そして、かつて19歳の彼女が「ずっと先」と話していた未来も、確かに訪れた。2026年元日、所属事務所を通じて結婚を報告。11月には、夫と恋人との3人の生活を描く主演映画『このごにおよんで愛など』の公開も控えている。

長澤とCMの歴史を語るうえで、カラリオと同じ2005年に始まった、アサヒ飲料「カルピス」のCMも外せない。20年以上続くこのシリーズでは、2026年2月に始まった「CALPIS濃いめ」のCMに、2005年の「カルピスウォーター」の初々しい姿から現在までの出演カットが、走馬灯のように映し出される。高校生の少女から母親役まで、彼女はこのCMの中でも、長い時間をかけて幅広い役を演じてきた。

2026年の撮影後のインタビューで、長澤は最初のカルピスの撮影を青春真っただ中の頃と振り返り、そこから単純に大人になったと口にした。本人の記憶では、母親役の話が来たのは、まだ少し早いとためらうような時期だった。けれど、あなたなら演じられると思う、という手紙を受け取って、実年齢とは違う人間になるのが俳優の仕事だと納得させられた。

19歳で父が見る幻の花嫁を演じ、本物の花嫁姿はずっと先だと語っていた少女は、やがてCMの中で母親役を引き受けるようになった。

役のなかで実年齢より少し先を歩き、やがて花嫁役に本人の人生が追いついていく。長澤まさみは20年という歳月をかけ、その道のりを自らの表現の糧にしてきたのだと思う。


※記事は執筆時点の情報です

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