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20年前、姿を見せただけでファンが号泣…“神秘のイケメン俳優”明かした恋愛観「くっつくのも縁、離れるのも縁」

  • 2026.10.3
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2008年8月、映画「レッドクリフ」来日会見に出席した金城武(C)SANKEI

20年前の2006年9月、東京・丸の内ビルディング1階の吹き抜け「MARUCUBE」は、彼を一目見ようと詰めかけたファンで埋め尽くされていた。視線の先にいたのは、金城武。主演映画『ウィンター・ソング』の日本公開を前に、ピーター・チャン監督、ヒロインのジョウ・シュンとともに来日を果たした日のことだ。

来日してファンの前に姿を見せるのは、『LOVERS』以来2年ぶり。久しぶりに現れた本人を前に、感動のあまり号泣するファンの姿もあった。

だが、そんな熱狂の渦中にいた32歳のスターが、その後の記者会見でふと見せたのは、意外にもミーハーな一面だった。撮影中、隣の楽屋から漏れ聞こえる歌声に壁越しに耳を澄ませていた話を、うれしそうに語ったのである。

そこには、映画の役柄ともパブリックイメージとも違う、金城武という人の飾らない素顔が息づいていたように思う。

吹き抜けを埋め尽くした涙

この日のイベントは、少し珍しい趣向で行われた。まずは1階のMARUCUBEでファンに向けたお披露目が行われ、その後に7階のホールで記者会見が開かれたのだ。7階の会見の模様は、1階のスクリーンを通じてファンにも中継されていた。

イベントでは、3人がファンの前をゆっくりと歩き、2か所で立ち止まってはカメラにポーズを取る。その合間に、幸運にも握手してもらえたファンもいた。ジョウ・シュンはその後の会見で、1階で武さんのファンが泣いているのを見て、すごく感動したと明かしている。

一方、金城はこの作品で日本に来られるだけでもうれしいと答えた。そのうえで、この2年間も台本を読み、日本の映画会社の人たちと話してきたので、「2年ぶりっていう自覚はそんなにないんですよ」と続けた。

ファンにとっては焦がれるような空白の2年だったかもしれない。けれど金城のなかでは、日本との縁は途切れることなく、ごく自然な日常として続いていたのだろう。

10年待つ男を演じた本人の縁任せの恋愛観

『ウィンター・ソング』で金城が演じたリン・ジェントンは、10年前の北京で映画監督を志していた青年。スターを夢見た恋人に捨てられ、主演俳優になったあとも、10年間ずっと彼女を忘れられずにいる男だ。

撮影はほとんど順撮りで進められたため、現場は10年前の北京の甘い記憶からスタートした。いちばん惚れていた時期を演じたのち、その愛情が少しずつ恨みへと変わっていく過程をたどる。演じていて、なんだか切なかったと、金城は役を振り返った。

では、現実の自分なら劇中のように10年も誰かを待ち続けられるだろうか。そう水を向けられた金城は、現実の自分には待つ気持ちはないと、驚くほど潔く答えた。

自分は縁任せで、くっつくのも縁なら、離れるのも縁だと思っている。20歳前半くらいまではしがみつくような恋愛だったが、今はもうそんな気持ちにはなれないと、神秘のベールに包まれたトップスターが、ふと漏らした恋愛観だった。

壁に耳を当てて聴いた歌声

共演者とのやりとりに話題が及ぶと、金城は撮影現場の思い出を語り始めた。

照明もカメラも準備を終えて、スタッフが待っているというのに、3人は楽屋のひとつのソファに監督を真ん中にして寝そべり、台本のここはやっぱりおかしいと話し込んでいる。そんなことが何度もあった。その絵を、金城は「ちょっとかわいいなぁ、俺ら」と思ったと笑い、スタッフの人には申し訳ないけど、と付け足した。

だが、現場で幸せに感じたこととして彼が明かしたエピソードは、さらに微笑ましいものだった。

キャストの楽屋は、薄い仕切りの簡易的なもの。その隣の部屋にいたのが、劇中の恋敵を演じたもう一人の大物、ジャッキー・チュンだった。

香港で「歌神」と称されるジャッキーは、とにかく歌うことが大好きで、姿は見えなくても隣から歌声が聞こえてくる。金城はその歌声を聴き、事務所のスタッフと「ラッキーだね」と喜び合った。壁に耳をあてるしぐさをしながらうれしそうに語る姿は、スクリーンで見せる憂いを帯びた美男子ではなく、憧れのスターに胸をときめかせる少年のようだった。

会見では、ピーター・チャン監督が、これだけハンサムなら現実に女性に捨てられることは絶対にないと本人に言ったことを明かし、金城が首を振って会場を笑わせる場面もあった。その一方で監督は、金城の映画への思い入れには特別なものがあったとも語っている。

雪の香港からふたたび届く主演作

それから20年。金城武の7年ぶりとなる主演映画『風林火山』が、2026年12月に日本で公開される。

彼が演じるのは、心の奥底に野望を秘めたミステリアスな主人公・李霧童(レイ・モウトン)。そして奇しくも、この映画の舞台は、雪が降る銀世界の香港だ。

香港電影金像獎で最多の12部門にノミネートされ、音楽を手がけた坂本龍一とネイト・コネリーが最優秀オリジナル映画音楽賞に輝いた作品である。

ふり返れば、20年前の丸ビルで、ファンは1階のスクリーン越しに金城武の姿を見ていた。そして7階の会見場では、当の金城が、隣の部屋から届く歌声に耳を澄ませた話を、うれしそうに語っていた。

憧れの人を、胸を高鳴らせて待つことの愛おしさ。あの日の金城武は、もしかすると誰よりも、ファンと同じ気持ちを知っていたのかもしれない。2026年の冬を前に、私たちはまた、スクリーンの向こうからやってくる彼の姿を、静かに待っている。


※記事は執筆時点の情報です

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