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かつて映画だけで年間7本に出演した「売れっ子女優」デビュー作と同じ原作者の世界へ、21年ぶりに帰る現在

  • 2026.10.1
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2006年9月、映画「いちばんきれいな水」試写会で舞台あいさつした加藤ローサ(C)SANKEI

20年前の2006年9月、都内で開かれた主演映画『いちばんきれいな水』の特別試写会で、加藤ローサは舞台挨拶に立った。

病気のために11年間眠り続けた姉・愛が、妹の夏美と初めて2人きりになった日、体だけ19歳に成長して目を覚ます。そんな“奇跡”を描く物語で、加藤は姉の愛を、菅野莉央が12歳の妹・夏美を演じた。主演女優が、客席を前にしてまず口にしたのは、年下の“妹”のことだった。

実際は一人っ子の加藤は、劇中でしっかり者の妹を持つ姉を演じ、「色々教えられたり突っ込まれたりしながらの撮影はとても楽しかったです」と挨拶した。主演の看板を気負うことなく、年下の共演者に教わった日々の楽しさから話す。その謙虚さに、彼女の人柄が出ていたと思う。

役作りは無しでただ感情のままに

加藤が演じた愛は、外見こそ19歳の女性でありながら、心は眠りについた8歳のままという役だった。だが本人は、「監督からは役作りは無しでいいと言われました」と苦笑いした。

小細工をせず、感情をストレートに出せばよかったぶん、いい感じで演じられたと、最後は笑顔を見せた。

一方、妹役の菅野もまた、実生活では一人っ子だった。舞台挨拶では、どちらかといえば自分はお姉さんタイプかな、と堂々とした様子で語っている。だが撮影の話になると、「水中での撮影シーンは、加藤さんが支えてくれて、励ましてくれました」と打ち明けた。

暗幕を張った水深5メートルのプール

同作は、2006年10月に開業を控えていた「ユナイテッド・シネマ豊洲」のこけら落とし作品として製作された。水辺に建つ商業施設に入るシネコンのコンセプトに合わせ、映画のテーマもまさに「水」。

劇中の要となる「いちばんきれいな水」が湧き出る場所を表現するため、ロケ地には静岡県内の企業が持つプールや、千葉のダイビングスクールにある水深5メートルのプールが選ばれた。すべての窓を暗幕で塞ぎ、5メートルのプールではスタッフのほとんどまで水着姿になった。2人は、長時間にわたる水中撮影にも頑張りを見せた。

同年6月の完成披露会見でも、2人はそろって相手の名前を口にしていた。

演じ方を相談した監督に、そのままでいいと言われた加藤は、「莉央ちゃんと一緒にいたから主演ということはそれほど意識しませんでした」と話した。菅野にとっては、加藤に宿題を手伝ってもらい、一緒にお菓子を食べた楽しい撮影だった。

宿題を手伝ってもらい、水の中で支えてもらった妹が、晴れの舞台では堂々とお姉さんタイプを名乗る。そして主演女優は、妹に教わったと話す。どちらの言葉も、嘘偽りのないものだったと思う。

映画7本を駆け抜けた熱い季節

振り返れば、2006年の加藤ローサは、2月に公開された主演作『シムソンズ』で、カーリングに奮闘する女子高生を演じた。夏にはフジテレビのドラマ『ダンドリ。〜Dance☆Drill〜』で、チアダンスに挑む女子高生の一人を演じる。

その最終回が放送されたわずか8日後に、『いちばんきれいな水』の試写会があった。その3日後には映画『夜のピクニック』が封切られ、さらに1週間後に『いちばんきれいな水』が劇場公開を迎える。

映画だけでも実に年間7本に出演。翌2007年には『女帝』(テレビ朝日系)で連続ドラマ初主演を飾っている。

21年後に再び江國香織の世界へ

今は、ラジオ『Volkswagen TREASURES』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務め、2026年1月期のドラマ『婚活バトルフィールド37』(テレ東)では、37歳の独身女性・赤木ユカを演じて主演した。

そんな加藤が、2026年10月3日スタートのドラマ『はだかんぼうたち』(テレビ朝日系)に出演する。原作は江國香織。加藤にとっての俳優デビュー作は、奇しくも同じ江國香織原作の映画『東京タワー』(2005年)だった。江國作品への出演は、実にそれ以来となる。

10代のときは江國の世界観を自分なりに感じ取りながら撮影していたと思う、と振り返ったうえで、加藤は「ようやく江國さんの世界観をかみしめられる年齢になった」とつづった。

20年前、8歳の心を持つ姉を演じたとき、加藤は監督から役作りはしなくていいと言われ、感情をストレートに出した。今度演じる歯科医・筒井桃については、感情の移り変わりを表す難しさを感じ、江國ならではの世界観をどう映像にするか考えていきたいという。水の中で年下の“妹”を支えたあの日から20年。加藤ローサが、2026年の秋、どんな表情を見せてくれるのか。


※記事は執筆時点の情報です

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