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大ファンだったグループに、突然加入した21歳。約1万人から選ばれた「元美容師」ボーカルの20年

  • 2026.9.30
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TAKAHIRO-2007年11月撮影(C)SANKEI

20年前の2006年9月22日、日本武道館。EXILEの新ボーカルを決めるオーディションの最終審査がクライマックスを迎えていた。応募総数およそ1万人の中から選ばれたのは、長崎県出身の21歳、田崎敬浩。この夜、彼は「TAKAHIRO」という新たな名を背負い、EXILEの一員となった。

何より目を引くのは、選ばれた彼自身が、EXILEの大ファンだったことだ。憧れて、焦がれて、夢中で背中を追いかけていたグループに、ある日突然、自分がボーカリストとして迎え入れられる。ファンなら一度は夢想するような奇跡を、この青年は現実に手繰り寄せてみせた。好きなものを好きだと臆面もなく言える、まっすぐな21歳だった。

1万人の頂点へ挑んだ最年少の元美容師

時計の針を少し巻き戻そう。2006年3月、ボーカル・SHUNの脱退に伴い、EXILEはそれまでの輝かしい歩みを「第一章」として完結させた。ピンチをチャンスに変えるべく、新たな相棒を探す「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~」が始動。メンバー自らが全国の会場へ出向き、審査に当たった。

1次審査の約1万人から、2次、3次と絞り込まれ、武道館のファイナルステージに駒を進めたのはわずか6人。その顔ぶれには、すでにボーカルグループ「COLOR」でATSUSHIとともに歌っていたTAKAも名を連ねていた。

その中で最年少だったのが田崎だった。両親と同じ美容師の道に進んだものの、その仕事を辞め、歌の道を目指した。プロとして歌ってきた顔ぶれに囲まれながら、憧れのグループと同じステージに立つ。その重圧はいかばかりだっただろうか。

声にならなかった『Choo Choo TRAIN』

約1万3000人の観客が見守る武道館。客席に360度囲まれたセンターステージで、ファイナリストたちは課題曲『Lovers Again』やメンバーとのコラボレーションを披露した。田崎がメンバーとともに歌ったのは、『運命のヒト』だった。

そして運命の瞬間、メンバーに囲まれてステージ中央に姿を現したのは、最年少の田崎だった。

新生EXILEとして、7人で最初に披露した楽曲は『Choo Choo TRAIN』。だが、曲の途中で田崎は涙ぐみ、自分のパートを歌えなくなってしまう。歌えない彼をメンバーが励まし、これから隣で歌い続けることになるATSUSHIと、肩を抱き合った。

プロのステージとしては、完璧なパフォーマンスではなかったのかもしれない。それでも、夢を叶えた青年が、込み上げる感情を抑えきれずに歌えなくなる。もしあのとき、彼が何食わぬ顔で涼しげに歌い切っていたとしたら、かえって少し寂しかったのではないだろうか。

「死ぬほどうれしいです」に見た飾らない素顔

終演後、7人となったEXILEはリムジンに乗り込み、南青山のエイベックス本社へと直行した。本社前では松浦勝人社長(当時)が自らスタッフとともに出迎え、そのままお披露目の記者会見が開かれた。HIROから「EXILEのTAKAHIROです」と紹介された彼は、まだ頭の中は真っ白だと打ち明けた。そして、この日の武道館のためにずっとやってきたことに触れ、「死ぬほどうれしいです」と口にした。

心の底からこぼれ落ちた生々しい本音。会見というかしこまった場において、ここまで無防備で純粋な言葉を放てる人間がどれほどいるだろう。

選考理由を問われたHIROは、歌唱力やルックスも光っているが、それ以上にEXILEへの想いや夢への想い、パフォーマンスの真剣さ、人への接し方が伝わってきたと明かした。ATSUSHIもまた、レコーディング審査で声が重なったときのことを「言葉では言い表せない何か伝わるものがあった」と語っている。

怒涛の第二章開幕と「ついていく」覚悟

加入からわずか3日後、TAKAHIROは早くもゴールデンタイムの音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』の生放送の現場に立っていた。TAKAHIROはのちに、右も左もまったく分からなかったぶん、HIROやメンバーが決めたことには何がなんでもついていくと心に決めていたと振り返っている。

HIROも、オーディションの頃のTAKAHIROには華が抜群にあり、声がすごくよかったと振り返っている。HIROに言わせれば、「普通の子」が、ある日突然、ATSUSHIの隣で歌うことになったのだ。同年12月、新体制第1弾シングル『Everything』がリリースされた。二人が紡ぎ出すハーモニーは、EXILE第2章の船出を告げていた。

20年後に再び立つ「聖地」日本武道館

あれから20年の月日が流れた。TAKAHIROの表現の場は歌にとどまらない。2025年秋からは、テレビ朝日のドラマ『仮面の忍者 赤影』で織田信長を演じた。2026年9月には、自身で作詞を手がけた新曲『一番星』を配信している。

そして加入から20年を迎えた2026年9月25日、彼はソロ公演『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2026 "JUBILEE"~20th Anniversary~』で、再び日本武道館のステージに立った。あの日、すべてが始まった運命の場所である。

公演の開催発表にあたり、TAKAHIROは武道館を「聖地」と表現した。そこに、20年経った今もなお、憧れを抱き続けていたあの頃のファンとしての心が息づいているように思えてならない。

当日、TAKAHIROが歌いながら登場した曲は、あの『Choo Choo TRAIN』だった。20年前、同じ武道館でこの曲の途中に涙で歌えなくなった人が、今度はその曲を歌いながら聖地に現れたことになる。


※記事は執筆時点の情報です

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