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「こんなに太っているのに」専属モデルにNHK朝ドラ出演…スター街道を歩んだ【女性芸人】とは?

  • 2026.9.29
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2011年9月、ファッション誌『steady.』の専属モデルに起用発表会見に出席した馬場園梓(C)SANKEI

オファーを聞かされた瞬間、彼女が真っ先に探したのはカメラだったという。

今から15年前、2011年9月のことだ。お笑いコンビ・アジアン(当時)の馬場園梓が、ファッション誌『steady.』の専属モデルに起用されることが発表された。同誌にとって、お笑い芸人として史上初となるファッション誌の専属モデル誕生だった。

信じられないような吉報ほど、まずは疑って照れ隠しの笑いに変える。けれど、ひとたび腹を括れば、誰よりも貪欲に食らいつく。馬場園梓という人には、いつもこのチャーミングな二段構えがある。

「こんなに太っているのに」開き直りの先で見つけたもの

お披露目の記者会見は、雑誌の撮影のスタジオで行われた。彼女は頬を染めながら「今でもドッキリじゃないかと疑ってます」と話し、報道陣の笑いを誘った。

3歳の頃からぽっちゃり体型で、太っていても気にしない「やけくそ」ファッションを、ずっと選んできた。そんな彼女がファッションに目覚めたきっかけは、皮肉にも相方・隅田美保との出会いだったという。会見では馬場園が、隅田は「あんなお顔立ちをされているにもかかわらず自信を持っていた」ので、自分もおしゃれをしていいんじゃないかと思えたと語り、報道陣を笑わせた。相方をイジるネタとして笑いに昇華させつつも、自分を枠から解き放ってくれた相方への確かな信頼が、その言葉には滲んでいた。

専属モデルになった心境を、「こんなに太っているのに…。生きててよかったと初めて思ってます」と感無量の様子で語っている。

当時の編集長は、起用の理由をこう明かしている。着やせ企画にスリムなモデルを起用すると、読者から、もともと痩せているから良く見えるだけで参考にならない、という声が上がってしまう。そこで白羽の矢が立ったのが、テレビで見かけた馬場園だった。ぽっちゃり企画にうってつけで、顔も可愛らしく誌面映えしそうだと考えたのだ。実際に着やせ企画へ3度登場してもらうと、読者から大きな反響があり、異例の専属契約へと繋がっていった。単なる話題作りではなく、読者の切実な共感が手繰り寄せたチャンスだった。

「30キロ痩せます!」会見を漫才に変えたコンビの絆

会見で今後の目標を問われると、馬場園はおこがましいと前置きした上で、いずれは表紙を飾りたいとぶち上げた。部数が落ちたらどうするのかという意地悪な質問には、芸人人生を賭けて、逆に「30キロ痩せます!」と公約してみせた。さっきまでドッキリだと疑っていたはずなのに、気づけば誰よりも貪欲に前を見据えている。

会見の途中、お祝いに駆けつけたのが相方の隅田だった。本当にすごいし、よかったねと祝福したのも束の間、本音を問われると、“ちくしょう”しかない、なんでやねんと切り出し、「誰を差し置いて専属になってんねん!」と爆発。完全に吉本のイジメだと肩を落とした。馬場園が表紙を飾りたいと言えば、無理だ、10月号の表紙は篠原涼子さんだよと間髪入れずにツッコむ。

晴れ舞台を、瞬く間にいつものアジアンの漫才へと染め上げていく。自分ひとりで調子に乗るのではなく、コンビの笑いに着地させる。

当時の馬場園は、「よしもとオシャレ芸人ランキング」女性部門で1位を獲得。男性ファッション誌の編集長からも、ボリュームのある体型を逆手にとったおしゃれを絶賛されていた。翌2012年3月には、『steady.』の専属モデルとして、ファッションショーにゲストで登場している。

新喜劇のこけ方から月9へ

モデル就任の翌月、馬場園はNHKの朝ドラ『てっぱん』の番外編で女優としてドラマ出演に臨む。主人公の幼なじみ役に選ばれ、ロケ現場の会見では、勝手に自分がヒロインだと思っていたと笑わせた。演技といえば吉本新喜劇で、いかに音を立ててこけるかしか知らないとも話していたが、ここから役者としての道も拓かれていく。

2025年10月には、フジテレビの月9ドラマ『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』で元公安部の警部補・田辺智代を演じた。『恋仲』以来10年ぶりとなる月9出演に、光栄すぎてずっと緊張しているとコメントし、同郷(大阪府堺市)の大先輩である沢口靖子との共演を、めちゃくちゃうれしいと喜んだ。翌2026年6月には、1977年の静岡でシングルマザーが生きる姿を描いた映画『FUJIKO』にも出演している。

一人で立つ板の上で変わらない本気

2021年6月、アジアンは解散を選んだ。演劇の道へ挑戦したいという隅田を全力で送り出し、自身は一生漫才師の気持ちで初心に返って、ピン芸人として舞台に立ち続ける道を選んだ。

単独ライブは、今年2026年で5回目を数える。9月26日の名古屋・大須演芸場に続き、10月2日には東京でも開く『馬場園 秋のネタ祭り2026』では、完全新作のピンコントを引っ提げて板の上に立つ。

さらに2026年10月からは、ドラマ『溺愛カレシの作り方』(テレビ東京系)で、主人公に恋愛レッスンを授ける妖精・ざくの声を担当する。ざくは滋賀弁を操る風変わりなキャラクターで、大阪弁とは微妙にアクセントの違う言葉が多いなか、しっかり伝えられるよう頑張ると意気込む。声だけの出演にもかかわらず、撮影現場へ足を運び、生のやり取りをしている。

ファッション誌の専属モデルと聞かされて、カメラを探したあの日から15年。恋の妖精の役という一風変わったオファーを前に、彼女はまたカメラを探したのかもしれない。どんな突拍子もないオファーも、最初は笑いに変え、最後は誰よりも泥臭く向き合うのだろう。


※記事は執筆時点の情報です

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