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15年前、西川貴教が“たった1時間”で【消臭力のCM】出演を決めた理由とは?

  • 2026.9.28
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2011年4月、滋賀県大津市の県公館で取材に応じる西川貴教(C)SANKEI

15年前の2011年9月、ブロードウェイから日本に初上陸するロックミュージカル『ROCK OF AGES』の記者会見でのことだ。

主演を務める西川貴教は、ヒロイン役の島谷ひとみから、とにかく西川さんの歌がすごいと絶賛され、ほかの共演者からもおだてられると、「歌わなきゃいけない流れ?」とノリノリで応じた。そしてその喉から飛び出したのは、まさかの「消~臭~力!!」というあのフレーズだった。

ロックミュージカルの記者会見で、消臭剤のCMソングを全力で熱唱する。場を盛り上げるためのアドリブでも、歌うとなったら少しも手を抜かない。この一幕の裏側には、この年の西川が巻き起こした、奇跡のような歌の縁のドラマがあった。

Twitterのつぶやきから生まれた「夢の共演」

そもそも「消臭力」のCMは、この年の春から大きな話題を集めていた。東日本大震災のあと、重苦しい空気が漂う日本に届けられた、ポルトガルの少年ミゲルがリスボンの街並みを背景に歌い上げるエステーのCMである。

ある日、西川は自身のTwitter(現X)で、ミゲルが歌う消臭力のCMソングを練習していると何気なくつぶやいた。これに気づいたファンがエステーの宣伝担当者に知らせると、担当者がすぐさま反応。すると西川本人から、CMの依頼ならいつでも待っていると返事が届いた。ここまで、わずか1時間足らずだった。

そして同年7月、千葉県松戸市で行われた西川のライブで、驚きの光景が現実となる。アンコールのステージにミゲルがサプライズで呼び込まれ、2人によるアカペラからバンドサウンドのロックへと一変する新CMが、なんとライブ本番中に撮影されたのだ。西川はステージ上からミゲルとの共演をリアルタイムでつぶやき、それがそのままCMの公式解禁となった。

トップアーティストが少年の歌うCMソングを本気で練習していたという事実もさることながら、SNSの何気ないひと言からファンを巻き込み、1本のCMにしてしまう軽やかさがあった。9月の会見で西川が歌ったあの一節は、この熱い夏をファンと一緒に駆け抜けたからこそ出てきたアドリブだった。

髪が5ミリだった少年がロックシンガーを演じる必然

会見の本題である『ROCK OF AGES』は、1980年代を彩ったロックの名曲で紡がれるジュークボックス・ミュージカルだ。西川が演じたのは、1987年のロサンゼルスでロックシンガーを夢見る青年・ドリューである。

会見で80年代の思い出を問われた西川は、中学生のときにバンドを始め、劇中で使われる名曲たちをリアルタイムで聴いていたと振り返った。だが、当時は校則で丸坊主にしていた。初めてバンドとして立った中学の文化祭のステージでも髪はわずか5ミリで、とりあえず髪を伸ばすことに憧れていた。

T.M.Revolutionとして風を浴び、時代のアイコンとなった西川にも、かつては髪5ミリで文化祭のステージに立つ少年時代があった。そんな彼が時を経て、ロックシンガーを夢見る青年を演じる。その巡り合わせは、単なるキャスティングを超えて、どこか胸を打つ必然性を感じさせるものだった。本人も会見で、音楽の原体験をもう一度たどりながら、自分にとって音楽とは何かを改めて考えさせてもらえる作品だと語っていた。

福島で見せた歌の力

会見で西川の歌を絶賛し、あの熱唱のきっかけを作った島谷ひとみとは、翌年、思いがけない形で再び声を合わせることになる。

2012年4月から放映された消臭力の新CMで、西川のライブに再びミゲルが登場。そこに島谷も加わり、のちにT.M.H.R.の名で配信される新曲『チカラにかえて』を3人で歌い上げた。

そのロケ地となったのは、福島県いわき市。震災の影響により、前年8月に予定されていた西川のライブが延期を余儀なくされていた場所だった。西川はこのCMに、歌声を通じて「笑顔の連鎖が広がり、勇気を届けることができたらうれしいですね」とコメントを寄せている。

会見で冗談めかして歌ったCMソングの縁は、翌年、被災地のステージで共演者と声を合わせるところまで広がっていった。常に本気で向き合い続ける西川貴教だからこそ、手繰り寄せられた連鎖だったと思う。

冗談を本気に変えてきた男と2027年の舞台

エステー「消臭力」と西川のタッグは、その後も一過性のブームに終わることなく、2021年には、西川がCMに参加して10年の節目に『2021西川貴教』編が作られた。発売25周年を迎えた2025年11月には、その『2021西川貴教』編が再びオンエアされ、西川のオリジナルQUOカードが当たるキャンペーンも行われた。

そして西川は今、新たなステージへと向かっている。2027年3月に東京・Shibuya LOVEZで上演される音楽エンタテインメントショー『VOICE MONSTER』への主演だ。西川にとって、東宝の舞台での主演作は約12年ぶりとなる。様々なジャンルの歌い手たちが歌の頂点の称号を競う第1幕の芝居で、西川は年齢不詳の謎多き男・森瀬ムネヒトを演じる。第2幕は、キャストが役を脱ぎ捨て、本人の持ち歌などを披露するライブになる。

どんなに小さなきっかけでも、ユーモアを忘れず、常に規格外のエネルギーで本気のエンタメへと変えていく。公演の発表に寄せたコメントで、西川は「キャスト一同全力で歌わせていただきたい」と意気込んだ。歌の猛者たちが集う2027年の舞台でも、西川貴教はあの日の会見と同じように、少しも手を抜かずに歌うのだろう。


※記事は執筆時点の情報です

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