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15年前、関西弁の役に苦労した“関西出身”の【美人女優】共演俳優と盛り上がった“大ヒット漫画”とは?

  • 2026.9.28
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2011年11月、テレビ東京「忠臣蔵」発表会見に出席した常盤貴子(C)SANKEI

過酷な撮影現場の話でも、苦労も笑いを交えて語る。クスッと笑えるエピソードへと昇華し、最後は共演者への温かい感謝で締めくくる。常盤貴子の語り口には、独特の軽やかさと人柄の良さがにじみ出ている。

その魅力が鮮やかに表れていたのが、いまから15年前、2011年9月に行われたNHKドラマ『神様の女房』の完成会見だった。夫役を務めた筒井道隆とのエピソードを、彼女は笑いを交えて振り返っていた。

西宮育ちでも苦戦した船場言葉

『神様の女房』で常盤が演じたのは、“経営の神様”こと松下幸之助の妻・むめの。夫と二人三脚で松下電器(現パナソニック)の礎を築いた女性で、常盤は20代から50代くらいまでのむめのを演じた。制作統括の真鍋斎は、芯の強さと母性、それに女性的なチャーミングさを併せ持つ女優は常盤以外に考えられなかったと、太鼓判を押している。

劇中でむめのが話すのは、大阪・船場の商家言葉だ。常盤自身、小学4年から高校1年まで兵庫県西宮市で過ごしており、関西弁には馴染みがあった。しかし、いざ演じてみると、方言指導の先生にすぐ注意されることになる。身についていたのは子どものころに使う単語ばかりで、大人の単語が出てくると音が分からなかったのだ。

関西育ちなら有利だろうと思いきや、本人の口から明かされたのはそんな意外な苦労だった。子どもの言葉では、大人の奥さんにはなれない。言われてみれば至極もっともだが、自身の至らなさを隠すことなく、笑いながら打ち明ける姿が微笑ましい。

初舞台で置き去りにされても

さらに会見をなごませたのが、夫役・筒井道隆との共演エピソードだった。

二人の初共演は2005年、常盤にとっての初舞台となった『砂の上の植物群』にさかのぼる。初舞台を共にした相手は特別で、常盤自身「足を向けて寝られない」と感謝する存在だ。ところが、当時の筒井はといえば、常盤にはちんぷんかんぷんな『スター・ウォーズ』の話ばかりしていた。しかも舞台のキーになるものを忘れ、常盤をステージに一人残したまま、袖へ取りに戻ってしまった。この自由さは何なんだと思った、と常盤は振り返った。

二度目の共演となった上海ロケのスペシャルドラマ『玉蘭』(テレビ朝日系・2007年)でも、筒井はふらっとどこかに行ってしまったという。相変わらずマイペースで掴みどころがない。普通なら振り回されたと愚痴のひとつもこぼしたくなるところだが、常盤は「でもまあ、やさしい方だからいいかな」と思ったと笑い飛ばしてしまう。愛嬌たっぷりのエピソードに変えてしまうあたりに、常盤の懐の深さがよく表れている。

6年かけて見つけた『ONE PIECE』という共通言語

そんな二人が三度目の共演となった『神様の女房』で、共通の好きなものを見つける。

常盤が漫画の話を切り出すと、隣の筒井が「ONE PIECE」と口を挟み、ネタばらしをしてしまう。常盤が「言っちゃいましたね」と突っ込む、息の合いようだった。

セリフの多い撮影で、現場は本当に大変だった。煮詰まってきたときに二人を救ったのが、『ONE PIECE』の話題だった。常盤は、撮影を乗り越えられたのは筒井のおかげだと語り、筒井に足を向けて寝られないと感じた初舞台から、ようやくここまでたどり着けたと結んだ。筒井は「何をおっしゃいますやら」と照れくさそうだった。

かつてはよくわからない人だった共演者が、大変な現場で笑い合える戦友になる。その距離が縮まるまでに、6年という月日がかかっている。

旧邸で触れた孤独と能登で選んだ笑顔

もっとも、彼女の魅力はただ明るく場を和ませるだけではない。

『神様の女房』撮影の最後のロケ地は、大阪・枚方に移築された松下夫妻の旧邸「光雲荘」だった。それはそれは立派な家だったが、むめのの役として足を踏み入れた常盤は、非常に寂しくもなった。広い家で幸之助の帰りをただただ待っていた日々は、とても孤独だったのではないかと思ったからだ。

会見で筒井との思い出を笑い飛ばしていた人が、かつてそこに生きた実在の人物の痛みを静かにすくい取っている。

そのまなざしは、今年2026年の春に放送されたNHKの夜ドラ『ラジオスター』にも通底している。地震と豪雨に見舞われた能登で、ペンション建設の夢を阻まれながらも前を向く主婦・小野さくらを演じた常盤。3月の試写会では、自身が被災していないことに触れ、「私は被災していなくてすみません」という思いがあったと率直に明かした。能登を大事に思うがゆえに、どのセリフにも涙が出そうになったとも語っている。それでも彼女は、能登の人たちがそうしているように、笑顔で受け止めることも大事だと思ってカメラの前に立った。

光雲荘でむめのの孤独を受け止めた人が、能登の現場では、笑顔で前を向く妻を演じる。どんな苦境や重い現実の前でも、最後にはカラリとした温もりを届けようとする。その姿勢は、過酷な撮影秘話をいつの間にか極上の笑い話へと変えてしまう、あの15年前の会見の姿とどこか重なって見えてならない。


※記事は執筆時点の情報です

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