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19年前、美人女優と“電撃婚”で注目を浴びたトップスタイリストとは?私服を作品で魅せる仕事ぶり

  • 2026.9.10
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麻生久美子-2007年10月撮影

2007年12月、麻生久美子はスタイリストの伊賀大介との結婚を発表した。その名前を結婚のニュースで知った人もいるだろう。だが、伊賀の仕事には、すでに映画の中で出合っていたかもしれない。『ジョゼと虎と魚たち』で妻夫木聡が着ていたモッズコートも、その一つだ。麻生の夫という入口から作品をたどると、服を通して登場人物の暮らしを形にする仕事が見えてくる。

22歳で独り立ち

伊賀は1996年、19歳でスタイリストの熊谷隆志に師事した。3年間のアシスタント時代を経て、1999年に22歳で独立。ファッション誌の仕事から出発し、椎名林檎の音楽の仕事にも関わるようになる。

椎名の『真夜中は純潔』のミュージックビデオでは、当初、本人のために用意していた衣装が、完成したアニメーションのキャラクターの服のもとになった。実際の服が、絵の中の人物にも引き継がれたのだ。

そして2003年公開の『ジョゼと虎と魚たち』で、初めて映画の衣装を担当する。結婚発表より前に、伊賀はすでに音楽と映画の両方で仕事を重ねていた。

あのコートは私物だった

『ジョゼと虎と魚たち』で伊賀が担当したのは、池脇千鶴、妻夫木聡、上野樹里の3人だった。限られた予算の中で、衣装を買うお金はジョゼ役の池脇に充て、妻夫木の衣装には自身の私服を使った。あのモッズコートも、伊賀の持ち物だった。

私服を映画に持ち込むという一手には、普段着と衣装の距離の近さが表れている。誰かが現実に着ていた服を、別の人物の毎日へと移す。その服が役柄になじむかどうかを考えるとき、流行や価格だけでは答えは出ない。着る人がどんな場所で、どんな生活を送っているかが必要になる。

2011年の映画『モテキ』でも、伊賀はスタイリングを担当した。制作では、関係者がポスターやレコードなどの私物を持ち寄っている。身に着ける服と、その人の部屋にある物。両方がそろうことで、登場人物の好みを画面のあちこちから感じ取れる。伊賀の仕事をたどる面白さは、衣装の外側にもつながっている。

華やかな服も働く服も

やがて2021年のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)では、杉本学子とともに衣装を担った。とわ子を演じる松たか子のスタイリングは杉本が中心となり、伊賀はかごめ役の市川実日子や元夫たちを担当。打ち合わせでは、職業、年収、住む場所から携帯電話のケースまで、登場人物の生活を具体化している。

この作品では、とわ子の衣装が次々に変わる。生活の設定を細かく作りながら、装う楽しさも画面に広がっていた。人物の暮らしを考えることは、服を地味にそろえることとは限らない。仕事の日にも、誰かに会う日にも服を選ぶ。その積み重ねから、その人らしさが伝わってくる。

一方、伊賀がスタイリングを担当した映画『PERFECT DAYS』では、役所広司が演じるトイレ清掃員の平山が、朝の支度を終えると清掃のユニフォームに着替える。こちらでは働く服が、繰り返される毎日の一部になっている。

次々に着替えるとわ子と、仕事着で一日を始める平山。服の見え方は大きく違う。それでも、着る人の生活と服が結びついている点で、二つの仕事を並べて見ることができる。華やかさの違いを越えて、人物を服から考える楽しみがある。

エンドロールで会う名前

伊賀大介は、さまざまな作品の登場人物に服を用意してきた。私物のモッズコートから、華やかな装い、日々の仕事着まで。作品ごとに服は変わり、その先にいる人物も変わる。

誰が衣装を担当したかを知ると、見覚えのある映画やドラマにも、もう一度目を向ける場所ができる。お気に入りの人物が何を着て、どんな部屋で暮らしていたか。結婚報道に登場した名前を、今度はエンドロールで見つける。作品の記憶に、服を選んだ人の名前も加わる。


※記事は執筆時点の情報です

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