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まだ回復していない患者「明日退院しないと」→看護師が“理由”を尋ねると、原因になった職場の上司からの“一言”

  • 2026.9.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、病棟看護師のもなです。

もし突然、「今日から入院してください」と言われたら、あなたは何を考えるでしょうか。

「仕事は何日休めるだろう」
「職場には何と伝えよう」
「予定していたことはどうしよう」

治療のことだけでなく、普段の生活や職場での役割についても気になるのではないでしょうか。

患者さんにとって入院は、病気を治すための時間である一方、それまで当たり前だった生活が一度止まる時間でもあります。

今回は、患者さんとのやり取りを通して、病気だけでは見えない「生活」に目を向ける大切さを考えたお話です。

「明日、退院しないといけない」と繰り返す患者さん

その患者さんは、腰痛のため入院していました。

手術はせず、内服で痛みをコントロールしながら、リハビリを受けていました。

しかし、痛みはまだ十分に改善していません。

「朝方になると腰が痛い」
「足の角度によって痛みが出る」
「痛み止めを追加でほしい」

そんな訴えも続いていました。

看護師としても、もう少し治療やリハビリが必要になりそうだと感じていた頃です。

ところが、ある日の午後。患者さんが突然、

「明日、退院しないといけない」

と話し始めました。午前中には、そんな話は出ていませんでした。

しかも、いつもより早口で、どこか焦っているようにも見えました。

「何かあったのかな」

そう思い、いくつか質問してみましたが、なかなか詳しい話は出てきません。まだ痛みの訴えが続いている中で、なぜ急に「明日」なのか。

私は、その理由を尋ねてみることにしました。

「もう休みはあげられない」退院を急いでいた理由

「まだ腰も痛そうですよね。お辛そうなのに、どうして明日なんですか?」

そう尋ねると、患者さんは少しずつ仕事について話してくれました。

職場の上司から、

「もう休みはあげられない」

と言われていたのです。

「これ以上休んだら、職場に迷惑をかけてしまう」
「これ以上、仕事を休むわけにはいかない」

患者さんは、腰の痛みだけでなく、仕事を休み続けることへの不安や焦りも抱えていました。

その話を聞いたとき、私は「そこまで思い詰めていたのか」と感じました。

治療を続けたほうがよいと分かっていても、仕事を長く休めない事情があれば、「明日には帰りたい」と考えるのも無理はないのかもしれません。

退院できる状態かどうかは、症状や治療経過などを踏まえて医師や多職種で判断します。

ただ、今回のやり取りを通して私は、「退院したい」という言葉だけでは分からない、その人の事情があることに気づきました。

そして、患者さんの希望をそのまま受け取るだけではなく、背景を知ったうえで医師と情報を共有することも、看護師の役割の一つなのだと改めて感じました。

「なぜ?」と一歩踏み込むことで見えてくるもの

この経験以降、「帰りたい」「もう大丈夫です」と言われたときは、その言葉だけで判断しないよう意識しています。

「どうしてそう思われたんですか?」
「退院したあと、何か心配なことはありますか?」

そんなふうに、その言葉の背景にある事情を確認するようになりました。

このときも、患者さんがなぜ退院を急いでいるのかを知ることで、医師に状況を共有し、退院後の生活や内服について検討するための情報につなげることができました。

「なぜ?」と聞くことは、相手の希望を否定するためではありません。

その背景を知ることで、「この人には何が必要なのか」を考えるための材料になります。

これは、医療現場だけの話ではないと思います。

職場で「もう大丈夫です」と言う人。
急に仕事を辞めたいと言い出した人。
いつもと違う行動をする人。

その言葉や行動だけを見て、「やる気がない」「無責任だ」と決めつける前に、「何か理由があるのかもしれない」と考えてみる。

その一歩で、今まで見えていなかった事情が見えてくることがあります。

その人の「全体像」を見る

今回の経験から、私は患者さんの一部分だけを見て判断しないことを意識するようになりました。

病室で見える姿は、その人のほんの一部分です。

例えば、いつも定時ぴったりに帰る職員がいたとしても、「仕事への熱意がない」とは限りません。家に帰れば、子どもの迎えや家族の生活を支えているのかもしれません。

反対に、仕事を断れず抱え込んでいる人にも、「責任感が強いから」で終わらない事情があるかもしれません。

だからといって、相手の背景を勝手に想像して決めつけるべきではありません。

大切なのは、目の前に見えている言動だけで、その人のすべてを判断しないこと。

「この人には、この人なりの事情があるかもしれない」

そう考えられるだけでも、相手への見方は少し変わります。

私自身も、目の前の出来事だけで判断せず、その人の生活や立場まで想像できる、視野の広い人でありたいと思っています。

「なぜ?」の一歩が、相手を知るきっかけになる

「なぜ、そんな行動をするのだろう」と感じたときこそ、すぐに決めつけず、その背景に目を向けてみる。

言葉や行動の理由を知ることで、今まで見えていなかった相手の事情に気づけることがあります。

仕事でも日常でも、気になる言動があったときは、まず一度「なぜ?」と考えてみる。その一歩が、相手を理解するきっかけになるのだと思います。


ライター:もな|病棟看護師・看護師ライター

看護師歴7年。急性期・整形外科、地域包括ケア病棟(混合病棟)、訪問看護を経験し、現在も看護師として勤務しています。7年間の看護経験で出会った、患者さんやご家族とのリアルなエピソードを通して、技術だけではない「看護の本質」や、人と関わる中で生まれる気づきを言葉にしています。


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