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【60代映画】西島秀俊・満島ひかり主演映画『時には懺悔を』は「生きる意味」を問う重厚なヒューマンミステリー

  • 2026.8.27

ひとつの小さな命をめぐり、「生きる意味」「生まれた意味」が問われる映画『時には懺悔を』が8月28日(金)より全国公開です。 西島秀俊と満島ひかりが、ある事件の謎を追う探偵コンビを演じ、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、片岡鶴太郎、佐藤二朗、役所広司らが共演。過去に傷つき、絶望しながら生きている大人たちが、いまを必死に生きる小さな命に触れて変わっていく……どんなシーンも痛いほど目が離せないヒューマンミステリーです。見どころを紹介しつつ、食のシーンにも注目しました。

ストーリー

「死んだほうがマシな人間」と呼ばれた探偵・米本(佐藤二朗)が殺された。 かつて米本と同じ探偵事務所で働いていた佐竹(西島秀俊)は、探偵修業中の助手・聡子(満島ひかり)と米本殺害事件の調査を進める。 やがてふたりは、米本が死の間際まで追っていたのが、9年前の新生児誘拐事件で失踪していた「新」という少年の存在だと気づく。父親の明野(宮藤官九郎)と暮らす「新」には重い障がいがあり、「生きているのが奇跡」と言われた小さな命だった。 家族から目を背けた男、娘に捨てられた女、子を生きる糧にした男、産んだ子を愛せなかった女……やがて「新」の存在が、逃げ場のない現実にもがき苦しむ大人たちの心を動かしていく。

【見どころ1】重厚なミステリー&何層にも重なる人間ドラマ

よい噂がなかったひとりの探偵が殺害され、その事件を追う元同僚の探偵と助手がたどり着いたのは、重い障害のある男の子「新」の存在だった……というところから物語が大きく動き出します。原作は、作者が障がい者の息子を育てた経験をもとに書いた同名小説。その後続く探偵シリーズの1作目でミステリーとしても重厚ですし、過去に傷を抱えた登場人物が織りなす人間ドラマの部分もかなり見ごたえあります。

「新」を取り巻く大人たちの秘めた思いや後悔が、やがて傷口を開くようにあふれ出し、この先誰がどんな選択をするのか、画面から目が離せません。

【見どころ2】人間の根源に問いかける深いテーマ

「新」の運命を通して、生まれてきた意味、生きる意味、血がつながっている意味、子どもを育てる意味、家族を守る意味、そして”親であること”と”親になること”の違い……人間の根源に関わる問いを痛いほど投げかけてくる作品。観る側も「自分だったらどうだろう」と考え、簡単には出ない答えを探しあぐね、気づかぬうちに涙があふれてきます。

【見どころ3】助演男優賞確定!?俳優・宮藤官九郎の演技に圧倒される

日本映画界を代表するようなキャストの演技は、どなたも素晴らし過ぎて作品世界に没頭してしまうのですが、「新」をひとりで育てる明野役を演じた宮藤官九郎さんの演技には圧倒されました。重度障がいの子を育てる戸惑いといらだちを抱えつつも、日に日に愛情がわいてくる様子が驚くほど自然で、ただ“明野として”そこに存在していました。子どものケアや話しかける様子も日常生活の一部に感じられるほど肩の力が抜けていて、演技とは思えないほど溶け込んでいます。映画監督や脚本家としての活躍も目ざましい宮藤さんですが、俳優としても一流だということを再認識しました。 また、この映画には「新」役のしんすけさんはじめ、重度障がいの当事者が何人も登場します。これほど「スペシャルニーズ」が登場する映画はドキュメンタリー以外では珍しく、作品に深みを与えています。

【ここにも注目!】生きて、食べて、生きて

映画全体を通して、食べるシーン、お酒を飲むシーンが多いのが印象に残ります。 いちばんよく食べるのが、満島ひかりさん演じる探偵見習いの聡子。夜勤のアルバイトもしており、働き詰めでお腹がすくため、休憩時間や張り込み中も常になにか食べています。お弁当、おにぎり、カップラーメン、フランクフルト、アイスクリームなどを、大きな口をあけて急いで食べる。聡子が探偵術を学んでいる事務所で調査状況を報告し合う際も、大福やおまんじゅう、あられなどを口に放り込みながらしゃべっています。彼女が働きながら探偵修業をするには、ある理由があるのですが……登場人物のなかでもっとも「生きる」ことに貪欲なことがわかります。

対照的に、ウイスキーばかり飲んでいるのが西島秀俊さん演じる佐竹。家族と向き合うことができずお酒に逃げ、まともな食事をとらずにいる姿は、自分を痛めつけているかのよう。

そして宮藤官九郎さん演じる明野は元料理人で、食べ物を飲み込む力が弱い「新」のために調理方法やレシピを工夫した料理をつくって食べさせます。夜中も2時間おきに起きて子どものケアをする生活で、誰かと話をする機会もなく、食後や買い物中に飲むレモンチューハイが唯一の息抜き。明野の場合は1日でも長く「新」に生きてほしい、そのためにしっかり栄養を摂取させたいという愛情を感じる食事シーンです。 生きるために食べる者、酒に逃げて現実を拒む者、愛する者のために知恵を絞り料理をつくる者。「食べる」という営みを通して浮き彫りになるのは、不器用な大人たちの「小さな命を守る」という思いと祈りです。絶望の果てに彼らが見出す一筋の光を、ぜひ劇場で見届けてください。

作品情報

『時には懺悔を』
8⽉28⽇(⾦)より全国公開

監督:中島哲也
出演:西島秀俊 満島ひかり
黒木 華 宮藤官九郎
毎熊克哉 鈴木 仁 烏森まど 山﨑七海
唯野未歩子 野呂佳代 長井 短 しんすけ 山下舜太 諸角優空
柴咲コウ
塚本晋也 片岡鶴太郎 / 佐藤二朗
役所広司
原作:打海文三『時には懺悔を』(角川文庫/KADOKAWA)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©︎2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

この記事を書いた人 富田夏子

雑誌ライター歴21年。得意分野はエンタメ、フード、ライフスタイル。映画ライター/映画ごはん研究家として、「映画とごはんをつなぐメディア」をSNSで展開し、映画と食に関連する情報や体験をシェアしている。日本映画ペンクラブ会員。 雑誌やWEBへの映画レビュー連載歴は14年で、俳優や映画監督のインタビューも手がける。料理取材の試食は残さず食べる食いしん坊。

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