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子どもの頃の運動が「大人時代の運動」を楽にする、鳥の実験が示唆

  • 2026.8.26
子ども時代の運動が、大人時代の運動を楽にする可能性 / Credit:Canva

子どもの頃によく体を動かすことは、健康な体づくりに大切だと昔から言われています。

しかし、その効果は筋力や体力を高めるだけでなく、大人になった後に「少ないエネルギーで動ける体」を作ることにもつながるのかもしれません。

米ペンシルベニア州立大学(PSU)の研究チームは、成長期の鳥に継続的な身体負荷を与えたところ、成熟後には同じ負荷を驚くほど効率よく運べるようになることを発見しました。

研究の詳細は2026年7月1日付で科学誌『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。

目次

  • 成長期の運動が大人の運動能力に影響をおよぼす?
  • 重りに慣れて育った鳥は、同じ負荷を少ないエネルギーで運べた

成長期の運動が大人の運動能力に影響をおよぼす?

動物が歩いたり走ったりするにはエネルギーが必要で、その消費を抑えられるなら、成長や餌探し、繁殖など別の活動に多くのエネルギーを回せます。

実際、人間を含む多くの動物は、なるべくエネルギー消費の少ない速度や動き方を選ぶことが知られています。

また、筋肉や骨が日常的な負荷に応じて変化することも分かっていますが、成長期の経験によって、成熟後の「歩くためのエネルギー効率」まで変わるのかは十分に調べられていませんでした。

そこで研究チームは、二足歩行の鳥であるホロホロチョウ12羽を、生後2週から16週まで調べました。

6羽は通常の状態で育て、残る6羽には右脚の先端付近に鉛製の重りを取り付けました。

重りは成長に合わせて調整され、14週間を通した平均では体重の約4%に相当する負荷が右脚に加わっていました。

脚の先に重りがあると、一歩ごとに余分な重量を振る必要があるため、歩行の負担は大きくなります。

なお、今回操作したのは単純な「運動量」ではなく、成長期の片脚に継続的な負荷を与えることです。

両グループは同じ環境で育てられ、週3回、同じ運動を行いました。

そして16週齢になると、研究者たちは鳥をトレッドミルで歩かせ、酸素消費量と二酸化炭素産生量から歩行に使われるエネルギーを測定しました。

その際、「重りなし」と「右脚に体重の約3.2%の重りをつけた状態」を比較しています。

すると普通に育った鳥では、重りをつけると歩行時のエネルギー消費が明らかに増えました。

一方、成長期から重りをつけていた鳥では、重りをつけても歩行時のエネルギー消費はほとんど変わりませんでした。

より詳細な結果は次項で見ていきます。

重りに慣れて育った鳥は、同じ負荷を少ないエネルギーで運べた

重りに慣れていない対照群では、体重の約3.2%の重りをつけると、重りなしの場合より歩行時のエネルギー消費が平均23.1%増加しました。

ところが、成長期から重りをつけていた鳥では、重りをつけた状態のエネルギー消費は、重りを外した場合より平均3.0%低く、この差は統計的に有意ではありませんでした。

つまり、長期間その負荷を経験して育った鳥では、重りの有無による歩行エネルギーの差がほとんど見られなかったのです。

さらに同じ重りをつけて両群を比較すると、成長期から重りをつけていた鳥の歩行時の代謝コストは、普通に育った鳥より21.9%低くなっていました。

しかも、重りに慣れた鳥が「重りあり」で歩く場合と、普通の鳥が「重りなし」で歩く場合でも、平均的なエネルギー消費に有意な違いはありませんでした。

両群では、実験終了時の体重や立っているときの代謝量にも有意な違いがなく、日常の移動量についても強い群差は確認されていません。

このため研究チームは、成長する体が日常的な負荷に合わせて、移動のエネルギー効率を調整した可能性があると考えています。

原因はまだ特定されていませんが、重い脚を効率よく動かすよう神経系や歩き方が適応したほか、成長中の筋肉や腱の形や性質が負荷に適したものへ変化した可能性もあります。

つまり単に「筋力がついた」というより、重りのある環境に合わせて、体と動かし方の両方が効率化した可能性があるのです。

ただし、今回の比較だけから「重りそのもののエネルギーコストがゼロになった」とまでは言えません。

重りを外すことも、負荷に適応した鳥にとっては普段と異なる条件だったからです。

また、今回調べたのは成長の速いホロホロチョウであり、人間の子どもが運動した場合に同じ変化が起きることを直接示した研究ではありません。

それでも研究チームは、同様の適応が人間にもあるなら、子どもの頃の身体活動が、大人になってから運動をどれだけ楽に行えるかに関係する可能性があると考えています。

今後は、人間を含む成長の遅い動物でも同じ現象が起こるのか、いつ適応が生じ、どれほど長く残るのか、さらに神経や筋肉、腱のどの変化が効率向上を生むのかを確かめる必要があります。

参考文献

Bird bulking: Exercise in youth decreases energy used for moving as an adult
https://medicalxpress.com/news/2026-08-bird-bulking-youth-decreases-energy.html

元論文

Chronic limb loading results in remarkable load carriage economy in growing fowl
https://doi.org/10.1098/rspb.2026.0199

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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