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フェルメール《真珠の耳飾りの少女》、ダ・ヴィンチ《女性の肖像》など、時を超えた至高の名作が来日

  • 2026.8.20
© GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490–1497年頃 油彩/板(クルミ) 63.5 × 44.5 cm パリ、ルーヴル美術館

河内タカさん、小崎哲哉さん、山口桂さんが交代で担当している『婦人画報』のアートコーナー「アートの杜 賢者の深掘り」では、開催中の注目の美術展をピックアップ。

アートライターとして、美術・建築・デザインなど幅広い分野で執筆する河内タカさんが今回ご紹介するのは、『ルーヴル美術館展 ルネサンス』と、『フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日』です。

卓越した描写力と色彩 ミステリアスな二つの絵画

『ルーヴル美術館展 ルネサンス』は、イタリアで隆盛を極め、15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ全土へと普及したルネサンス美術を紹介する展覧会。ルーヴル美術館のコレクションから厳選された50点余りの作品を通して、その本質的な特徴を浮き彫りにするものである。最大の目玉となる作品は、現存するレオナルドの油彩作品の真筆が世界に約15点しか存在しないなか、その貴重な作品の一つである、レオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》(通称《美しきフェロニエール》)。フェロニエールは、当時流行していた女性の額を飾る「宝石付きの細い髪飾り」のこと。今回が本邦初公開となる。

このモデルとなった女性は、レオナルドが当時仕えていたミラノ公の正妻の侍女であった可能性が高いとされているが、500年以上が経った現在も特定されておらず、《モナ・リザ》と同様、モデルが誰であるか不明というミステリアスさが、この作品の魅力をよりいっそう深めている。

レオナルドは、「スフマート」と呼ばれる輪郭を柔らかくぼかす技法を用い、意図的に輪郭線を曖昧にする一方で、鑑賞者を射抜くような強いまなざしを描き出している。この謎めいた視線こそが、レオナルドが追求した「人間の複雑な感情や内面性」を表現したものであり、こうした表現がルネサンス美術の真髄を体現するものといえるだろう。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩/カンヴァス 44.5×39.0cm マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

そして、今夏のもう一つの大きな話題が、「北のモナ・リザ」とも称されるヨハネス・フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の14年ぶりの来日だ。少女が頭に巻いているブルーのターバンには、当時ゴールドよりも高価だった「ラピスラズリ」から精製された顔料が使用されており、時を経ても色褪せない神秘的な美しさを今もなお放ち続けている。

暗闇のなか、肩越しに振り返り、わずかに口を開いてこちらを見るあどけなさが残る少女は、今まさにシャッターを切ったような一瞬の表情を湛えている。意外に思われるかもしれないが、この絵は特定の誰かを描いたポートレートではなく、画家が想像で描いた人物像だといわれている。それゆえ、観る人によって様々な解釈や物語を想像できるともいえ、フェルメールの卓越した筆遣いと息を呑むような色彩を間近で確かめることができる絶好の機会となる。

ルーヴル美術館展 ルネサンス

日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》を起点に旅、技法、古代へのまなざし、肖像芸術からルネサンスを読み解く4テーマで構成。絵画ほか、彫刻、版画、工芸など世界屈指のコレクションを誇るルーヴルの名品が一堂に会する。

会期/9月9日(水)~12月13日(日)
時間/10時~18時(金・土曜は~20時) ※入場は閉館の30分前まで
休館日/火曜(9月22日、11月3日、12月8日は開館)、11月4日
料金/一般2,400円ほか
tel.050-5541-8600
会場/国立新美術館[東京・六本木]
Google mapで確認
東京都港区六本木7-22-2

国立新美術館 公式サイト

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日

《真珠の耳飾りの少女》をはじめ、マウリッツハイス美術館の至宝を紹介し、17世紀オランダ美術の豊かな世界を多角的に繙く本展。フェルメールが初期に手掛けた貴重な歴史画《ディアナとニンフたち》も併せて公開される。

会期/8月21日(金)~ 9月27日(日)
時間/9時30分~17時(8月28日、9月4日、9月11日、9月18日~9月27日は~20時) ※入場は閉場の30分前まで
会期中無休
料金/一般3,000円ほか ※日時指定予約制
tel.06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
会場/大阪中之島美術館 5階展示室[大阪・中之島]
Google mapで確認
大阪府大阪市北区中之島4-3-1

大阪中之島美術館 公式サイト

かわちたか〇アートライター。「京都便利堂」の海外事業部を統括し、写真の古典技法・コロタイプの普及活動を行うほか、美術・建築・デザインなど幅広い分野で執筆。

文=河内タカ 編集=吉岡尚美(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年9月号より

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