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「預金に置くのはもったいない」退職金800万円を“一時払終身保険”に入れた60代男性→3年後、直面した事態に“青ざめたワケ”

  • 2026.9.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大学卒業後、国内生命保険会社に35年間勤務し、営業・営業所長・企画・事務など幅広い業務を経験してきた「あしふみ」です。

退職金を「できるだけ減らさず残しておきたい」と考える方は多いでしょう。

その選択肢の一つに生命保険の活用がありますが、保険は銀行預金と仕組みが異なり、払い込んだ金額がそのまま戻るとは限りません。今回は、退職金1500万円のうち800万円を一時払終身保険に充てた60歳男性が、3年後の解約で直面した実例を紹介します。

※個人特定を避けるため内容の一部を変更しています

「800万円近く戻る」と思い込んでいたAさん

Aさん(仮名)は60歳で定年退職し、退職金1500万円を受け取りました。

住宅ローンはすでに完済、子どもたちも独立済みで、当面まとまった支出の予定はない状況でした。

「せっかくの退職金を普通預金に置いたままにするのはもったいないが、大きく減らすようなこともしたくない」——そう考えたAさんが検討したのが、契約時に保険料を一括で支払い、一生涯の死亡保障を持つ「一時払終身保険」でした。

退職金のうち800万円をこの保険料に充て、「預金と同じ感覚で置いておき、必要になったら800万円近く戻してもらえばいい」と考えていたといいます。

3年後、自宅リフォームで300万円が必要に

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

それから3年が経ち、63歳になったAさんの自宅では水回りと外壁の修繕が必要になり、見積額は約300万円にのぼりました。

「保険を解約して、そのお金をリフォームに充てればいい」と考え、保険会社に現在の解約返戻金を問い合わせたところ、提示された金額は3年前に支払った800万円を下回るものでした。

「800万円を預けたような感覚だったので、3年経てば少なくとも同じくらいは戻ると思っていました」とAさんは青ざめた様子で振り返ります。

ここで初めて、一時払終身保険と銀行預金がまったくの別物であることを実感したそうです。

一時払終身保険は「元本保証」の商品ではない

一時払終身保険は、保険料がそのまま貯蓄として積み上がる商品ではなく、あくまで死亡保障を準備するための生命保険です。

契約から短期間で解約すると解約返戻金が払込額を下回ることがあり、何年で払込額を超えるかは商品設計や契約年齢、予定利率などによって異なります。

外貨建ての保険では為替レートの変動によって受取額が変わり、「市場価格調整(MVA)」のある商品では市場金利の変化により受取額が増減することもあります。「銀行の定期預金のようなもの」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。

Aさんは解約せず、預貯金からリフォーム代を捻出

家族とも相談した結果、Aさんは今回、保険を解約しないという判断を下しました。

退職金のすべてを保険に充てていたわけではなく、手元に預貯金を残していたため、リフォーム代の約300万円はそちらから支払うことができました。

「もし退職金のほとんどを保険に入れていたら、必要なときに困っていたかもしれません」とAさんは振り返ります。

「近いうちに使うお金」と「長く置けるお金」を分けて考える

退職金というまとまった金額を受け取ると、その使い道に迷うのは自然なことです。近い将来使う可能性のあるお金まで長期の商品に充ててしまうと、いざというときの支出に対応できなくなる恐れがあります。

退職金を整理する際は、①毎月の生活費、②住宅修繕や医療・介護など不測の事態に備える予備資金、③当面使う予定のないお金——の3つに分けて考えてみましょう。

一時払終身保険を検討する場合も、契約前に「3年後、5年後、10年後に解約したらいくら戻るのか」を確認しておくと、預金との違いが分かりやすくなります。想定より少ない金額しか使えない、という事態を避けるためにも、すぐ使える預貯金を手元に残しておくことが、老後資金を考えるうえで欠かせません。


※一時払終身保険の解約返戻金、死亡保障、元本割れする期間、為替リスク、市場価格調整の有無などは、保険会社・商品・契約時期によって異なります。契約する際は、商品パンフレットや契約概要、注意喚起情報などでご確認ください。

執筆:あしふみ

国内大手生命保険会社に35年間勤務。個人・法人営業、営業所長、企画・販売促進、事務部門などを経験。FP2級の知識と保険実務の経験を活かし、保険や家計に関する情報を分かりやすく伝えている。

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