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「何かあったときのため」銀行口座を“10→1口”に減らそうとした70代父、解約手続きを進める中…銀行で告げられた“思わぬ事実”

  • 2026.9.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、一人暮らしの父の生前整理を手伝った50代女性Aさんの体験談です。10口座近くあった銀行口座をまとめようとして直面した、想定外の手間とは。

気づけば10口座近く。父の生前整理を手伝うことに

Aさんは52歳、正社員として働いています。父は78歳で一人暮らしをしています。

父は長年、金融機関に勤めていました。支店が変わるたびにその支店で口座を作り、定年退職後に勤めた別の金融機関でも、いくつか口座を開設していたといいます。気づけば、使っていない口座も含めて10口座近くになっていました。

「自分に何かあったとき、娘に迷惑をかけたくない」
父からそう相談を受けたAさんは、生前整理として口座を整理することにしました。使っていない口座は解約し、残高のある口座も2〜3行にまとめよう。単純に窓口で手続きすれば済むと考えていました。

そもそも、どこの銀行のどの支店か分からない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

通帳を集めてみると、最初の段階でつまずきました。合併によって銀行名が変わっていたり、銀行名は同じでも支店の統合で当時の支店がなくなっていたりする口座がいくつもあったのです。

通帳に記載された支店に電話をかけても、つながらないこともありました。銀行が合併・統合しても、口座に関する権利や義務は合併後の銀行にそのまま引き継がれますが、実際にどこの窓口で手続きすればよいのかは、調べてみないと分かりません。

Aさんは1行ずつ、現在の銀行名を確認し、コールセンターに問い合わせて、手続きできる店舗や必要書類を確認していきました。この確認作業だけで、かなりの時間を要したといいます。

解約したくても、すぐにはできなかった

手続きする窓口が分かっても、すぐには解約できない口座がいくつもありました。

まず、年金の受取口座です。受取先の金融機関を変えるには「年金受給権者 受取機関変更届」を年金事務所などに提出する必要があります(公金受取口座に変更する場合は、マイナポータルからの電子申請も利用できます)。実際に新しい口座へ振り込まれるまで時間がかかるため、それを待たずに解約すると、年金が振り込まれない事態になりかねません。

さらに、公共料金やクレジットカード、生命保険の保険料、固定資産税の口座振替など、引き落としの設定が複数の口座に散らばっていました。父自身も、どの口座から何が引き落とされているのか把握していなかったといいます。これらは契約先ごとに変更を申し出る必要があり、反映まで1〜2か月かかるものもあるため、その間は元の口座を残しておかなければなりません。

「解約するだけだと思っていたら、その前にやることが山ほどありました」
Aさんはそう振り返ります。

減らしすぎにも注意が必要だと知った

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

資産運用の相談で窓口を訪れたAさんは、この話を担当者にしました。

担当者からは、まず通帳やキャッシュカードを一か所に集め、直近の記帳内容から引き落としと入金の一覧を作ることを勧められました。そのうえで、変更が必要なものから順に手続きし、すべて反映されたことを確認してから解約する。この順番を守ることが、二度手間を防ぐコツだといいます。

あわせて、口座をまとめすぎることにも注意が必要だと案内されました。預金保険制度(ペイオフ)では、金融機関が破綻した場合に保護されるのは、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等です。1行にまとめた結果、1,000万円を超える預金が集中すると、保護の範囲を超えてしまう可能性があります。

なお、無利息の決済用預金であれば全額が保護対象になりますが、その名のとおり利息はつきません。金利が上昇している今は、普通預金でもそれなりに利息がつくため、全額保護を優先して利息を受け取らない選択が適切かどうかは、預ける金額や目的によって変わってきます。

「口座をまとめれば楽になると思っていましたが、残す口座の数にも考え方があるんですね」
Aさんはそう話し、父と相談しながら、時間をかけて整理を進めることにしました。

口座を整理する前に確認しておきたいこと

Aさんのように、解約の前段階で必要な手続きを見落とすと、想定以上に時間がかかることがあります。以下の点を押さえておきましょう。

  • 合併や支店統合で銀行名・支店名が変わっていることがある
  • まず現在の銀行名と手続き窓口を確認する
  • 通帳やカードを集め、引き落とし・入金の一覧を作る
  • 年金の受取口座変更は年金事務所などへの届出が必要
  • 公共料金やカードの引き落としは契約先ごとに変更手続きが必要
  • 変更が反映されるまで1〜2か月かかる場合がある
  • すべて反映を確認してから解約する
  • ペイオフで保護されるのは1金融機関1,000万円までとその利息等
  • 無利息の決済用預金は全額保護だが、利息はつかない

「口座をまとめれば楽になる」と思い込む前に、その口座に何が紐づいているかを確認しておくことが、スムーズな生前整理の第一歩です。口座の整理で迷ったときは、取引先の金融機関の窓口に相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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