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「危うく捨てるところでした…」父の遺品から“古い株券”を見つけた50代息子、信託銀行に問い合わせて発覚した“想定外の資産”

  • 2026.9.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、父の遺品整理で古い株券を見つけた50代のAさんの体験談です。

「もう使えないと思うけど…」

そう思っていたAさんでしたが、信託銀行に問い合わせて、父名義の口座が残っていることを知ります。株券が無効になったあと、株式がどこで管理されているのかをご紹介します。

段ボールの底に「株券」と書かれた紙があった

半年前に父を亡くしたAさん(50代男性)は、実家の片づけを進めていました。

押し入れの奥の段ボールから出てきたのは、古い書類の束でした。年賀状や保険の満期案内に混じって、「株券」と印刷された大きな紙が3枚あります。

日付は昭和のものです。父が生前、株の話をしたことは一度もありませんでした。

「もう使えない紙でしょう」

Aさんは処分する紙の山に入れかけました。

ただ、同じ束に「配当金計算書」と書かれたはがきが挟まっていたことが気になり、手が止まりました。数年前の日付です。

株券は無効になったが、権利は「特別口座」に残っていた

Aさんは、株券に印刷された会社名で調べ、株主名簿管理人になっている信託銀行に問い合わせました。

「2009年1月5日の株券電子化により、上場会社の株券は無効になっています」

担当者はそう説明しました。株主の権利は、証券保管振替機構や証券会社の口座で電子的に管理される形に変わっています。

「では、この紙はやはり価値がないのですか」
「いいえ。電子化の前に証券会社へ預けていなかった株式は、上場会社が信託銀行などに開設した『特別口座』で管理されています。株券は無効でも、株主としての権利はそこに残っています」

照会の結果、父名義の特別口座が見つかりました。残っていたのは1,000株です。その日の終値で計算すると、およそ90万円でした。

数年前の配当金計算書は、父が株式を持っていたことを示す有力な手がかりだったのです。

特別口座のままでは、売ることができない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ただし、手続きはもう一つ必要でした。

「特別口座のままでは、市場で売ることも担保に入れることもできません。売るには、証券会社に口座を開いて、そちらへ振り替えていただきます」

なお、単元に満たない株式については、特別口座のまま発行会社へ買取りを請求できる場合もあります。相続で引き継ぐには、まず相続を証する書面を提出して名義を変更します。株券が手元にあっても、それだけで相続人名義に変更できるわけではありません。必要な書類は事案によって異なるため、株主名簿管理人への確認が必要です。

「父がほかの会社の株も持っていたら、どうすればいいのでしょう」

「証券保管振替機構に開示請求をすると、口座の開設先が分かります」

開示費用は、初回の請求書を送る郵便の消印日で決まります。消印が2026年10月1日以降であれば、法定相続人からの請求は7,700円、法定相続情報一覧図を利用する場合は6,050円です。9月30日以前の消印であれば、それぞれ6,050円、4,950円となります。

ここで分かるのは口座がどこにあるかまでで、銘柄や残高は、各証券会社や信託銀行に照会します。

捨てる前に、もう一度だけ確かめる

Aさんは名義変更を済ませ、証券会社の口座へ振り替えました。

「危うく捨てるところでした…」

遺品整理では、古い書類ほど迷わず処分してしまいがちです。株券のほか、配当金計算書、取引報告書、株主総会の招集通知は、どこに口座があるかの手がかりになります。

預貯金については、マイナンバーを届け出ていた口座を、預金保険機構を通じてまとめて探せる「相続時照会」という制度もあります。この相続時照会の申し込みには、亡くなってから10年以内という期限があります。

手続きが後回しになるほど、書類をそろえる手間も増えます。次の相続が重なれば、関わる相続人の数も増えていきます。

実家の片づけに取りかかる前に、書類の束だけは一度、目を通してみてください。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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