1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 手術で10日間入院した60代女性→「高額療養費制度があるから月9万円で収まる」はずが…会計で提示された“請求額”を見て絶句

手術で10日間入院した60代女性→「高額療養費制度があるから月9万円で収まる」はずが…会計で提示された“請求額”を見て絶句

  • 2026.9.11
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで医療費まわりの相談を数多く受けてきた柴田です。

「高額療養費制度があるから入院費は怖くない」

そう思っている方に、ぜひ知っておいてほしい落とし穴があります。

今回は、入院の日程だけで負担が数万円変わってしまった60代のAさんのお話です。

「上限があるから大丈夫」のはずだった

Aさん(60代女性)は、かねてから予定していた手術のため、10日間入院することになりました。日程は月末の27日から翌月6日まで。「高額療養費制度があるから、自己負担は月9万円ほどで収まるはず」と、Aさんは落ち着いていました。制度の名前も上限額も、ちゃんと知っていたのです。

ところが会計で示された金額は、想定を大きく上回るものでした。後日戻ってきた高額療養費も、期待した額には遠く及びません。「上限があるはずなのに、どうしてこんなに払うんですか」。明細書を持って、青ざめた様子で私のところへ相談に来られました。

高額療養費は「暦月」で区切られる

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

明細を拝見して、原因はすぐにわかりました。高額療養費の自己負担上限は、「暦月」つまり毎月1日から末日までの単位で計算されます。入院が何日間だったかは関係ありません。

ちなみに70歳未満で一般的な所得の方(年収約370万〜770万円)の場合、2026年8月からの上限額は「85,800円+(総医療費-286,000円)×1%」です。この計算式が、月ごとに別々に適用されると考えてください。

Aさんの場合、10日間の入院費が「27日〜末日の4日分」と「翌月1日〜6日の6日分」に分割されました。それぞれの月で見ると、どちらも上限額に届くかどうかという水準です。上限を超えた分だけが払い戻される仕組みなので、超えた金額が小さければ、戻るお金も小さくなります。

もし同じ10日間の入院が1日から10日までのように1つの月に収まっていれば、医療費が合算されて上限をはっきり超え、超過分がまとめて戻ってきたはずでした。私が試算すると、同じ治療・同じ日数でも、日程次第で自己負担は数万円変わる計算になりました。Aさんは「入院した日にちのせいで、こんなに違うんですか」と、複雑な表情をしていました。

予定入院なら「相談する」だけで変わる可能性がある

緊急入院ではどうにもなりませんが、予定手術や検査入院なら、主治医に「月初に寄せられませんか」と相談してみる価値は十分にあります。病状や手術室の空き状況が最優先なので必ず通るとは限りませんが、相談すること自体は何ら失礼ではありません。医療機関側も、事務的な事情を理解している場合が多いものです。

なお、家族の医療費を合わせる「世帯合算」も、直近12か月で3回以上上限に達した場合に4回目から上限が下がる「多数回該当」も、すべて暦月単位で判定されます。「同じ月に収まっているか」が、あらゆる場面で効いてくるのです。

同じ発想は、通院にも当てはまります。高額な検査や治療を月末と月初に分けて受けるより、可能なら同じ月にまとめたほうが、上限額の恩恵を受けやすくなります。もちろん治療計画が最優先ですが、選べる場面があることは知っておいて損はありません。

まとめ

制度の名前を知っていることと、制度を使いこなすことは違います。高額療養費は「合計いくら払ったか」ではなく「その月にいくら払ったか」で判定される。この一点を知っているだけで、予定入院の相談の仕方が変わります。

手術の日程を相談できる可能性があるなら、遠慮なく聞いてみてください。制度を賢く使うことで、家計の負担を抑えることができます。


参考:
高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)
高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)(全国健康保険協会)

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ