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父の死後、借金1,200万円が発覚→「相続放棄すれば大丈夫」安心していたが…1ヶ月後、50代兄妹を待っていた“想定外の事態”

  • 2026.10.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

父に1,200万円の借金があり、子どもは自分と妹の2人。そのような状況なら、「兄妹で相続放棄をすれば大丈夫」と考えるのも自然かもしれません。ただ、相続人は本当にその2人だけでしょうか。

父に離婚や再婚の経験があり、過去に元妻の連れ子と養子縁組をしていた場合、20年前に離婚していても、その親子関係が残っているケースがあります。

では、実子2人だけが相続放棄したら、1,200万円の借金はどうなるのでしょうか。父の死後、戸籍をたどって思わぬ相続人の存在を知った54歳男性のケースから考えます。

「借金1,200万円、兄妹2人で放棄すれば終わり」のはずが

54歳のAさんは、79歳の父を亡くしました。母は10年以上前に亡くなっており、Aさんには51歳の妹がいます。

父とは離れて暮らしていましたが、入院後の手続きや葬儀は兄妹2人で進めました。父が亡くなって約2週間後、Aさんと妹は財産や借金を調べ始めます。

通帳を見ると、預金は約60万円。古い車などはありましたが、まとまった価値のある不動産や金融資産は見当たりませんでした。

一方、残された書類を調べていくと、借入れに関する通知が次々と出てきます。金融機関などへの借金を合わせると、約1,200万円にのぼりました。

「これだけ借金があるなら、2人とも相続放棄をしよう」Aさんと妹はそう話し、相続放棄の手続きを調べ始めました。

Aさんの認識では、父の子どもは自分と妹だけです。そのため、兄妹2人が相続放棄をすれば、父の借金問題もそこで終わると思っていました。

ところが、父が亡くなって約1か月後、戸籍をたどっている途中で見慣れない名前が出てきます。父は約30年前に再婚し、再婚相手の当時10歳ほどの連れ子と普通養子縁組をしていました。

その後、父と再婚相手は約20年前に離婚しています。Aさんも父が再婚していたこと自体は知っていました。しかし、その後ほとんど交流がなかったこともあり、「離婚したなら、連れ子との関係も終わっている」と思っていたのです。

ところが、戸籍には養子との「離縁」の記録がありませんでした。

「離婚したのに、まだ父の子どもになるの?」

そこでFPとの相談のなかで、「離婚」と、養子との親子関係を解消する「離縁」は別の手続きだと知ります。つまり、父と元妻は20年前に夫婦ではなくなっていても、父とその連れ子との法律上の親子関係は残っていたのです。

Aさんにとっては、1,200万円の借金だけでなく、「相続人は兄妹2人」という前提まで変わることになりました。

離婚から20年…それでも“元妻の連れ子”は相続人だった

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

父が再婚相手と離婚しても、連れ子との養子縁組まで自動的になくなるわけではありません。養子との親子関係を解消するには、原則として「離縁」という別の手続きが必要です。

そのため今回の父には、Aさんと妹に加えて、約30年前に養子縁組した子もいました。法律上は3人の子どもがいることになります。

普通養子も、養親が亡くなれば実子と同じように相続人になります。そのため、Aさんと妹の2人だけが相続放棄をしても、養子は相続人として残ります。

養子本人も借金を引き継ぎたくない場合には、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に相続放棄を検討する必要があります。

長年連絡を取っていなかった相手でも、養子縁組が残っている以上、「昔の関係だから相続には関係ない」とは限らないのです。

実子2人+養子1人が放棄しても、まだ終わらない?

では、実子2人と養子1人の3人全員が相続放棄すれば、借金問題は終わるのでしょうか。

これも、そうとは限りません。子ども全員の相続放棄が受理されると、次は父母などが相続人になります。父母が亡くなっていれば、祖父母などが相続人となる場合もあります。

さらに、そうした人がいない場合や相続放棄をした場合には、父の兄弟姉妹へ相続が移ることがあります。

つまり、「子ども3人が放棄すれば、1,200万円の借金問題もそこで終了」と単純には考えられません。相続放棄では、自分が借金を引き継がずに済むかだけでなく、その後に誰が相続人になるのかまで見ておくことが大切です。

「家族は2人」と決めつけず、戸籍から相続人を探る

相続では、普段付き合いのある家族と、法律上の相続人が同じとは限りません。今回のように20年以上交流がなくても、養子縁組が残っていれば相続人になる場合があります。

FPとしては、借金が見つかったときほど、預金や不動産などの金額だけで判断せず、まず戸籍から「誰が相続人なのか」を整理しておくことをおすすめします。

そのうえで、借金はいくらあるのか、相続放棄をすると次は誰に相続が移るのかまで見ておくと、家族間での行き違いも防ぎやすくなります。

相続放棄には原則3か月という期限があります。特に離婚歴や再婚歴がある場合は、過去の養子縁組も含め、早めに相続関係を整理しておくことがポイントです。


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執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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