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老人ホームに“600万円”を払った50代娘→わずか58日後に母が他界。「お金は戻らない」諦めていたが…契約書を見て“救われたワケ”

  • 2026.10.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、母親を有料老人ホームで見送った50代のAさんの体験談です。

「入居のときに払ったお金は、もう戻らない」

そう思っていたAさんでしたが、契約書を読み直して、3か月以内に契約が終わったときの決まりを知ります。前払金の返還について、家族が確かめたい点をご紹介します。

入居から2か月で、母が亡くなった

Aさん(50代女性)の母は、80代後半でした。自宅での生活が難しくなり、介護付きの有料老人ホームに入居しました。

入居のときに払った前払金は600万円です。家賃にあたる部分を、5年分まとめて前払いする契約でした。

ところが、入居から58日後、母は入院先で亡くなりました。

葬儀を終えたAさんの頭に、ふと前払金のことがよぎります。

「2か月しか住んでいませんが、あのお金はどうなるのでしょうか」

親族からは「ああいうお金は戻らないものだ」と言われ、Aさん自身も、そう思っていました。

契約書にあった「3か月以内」の記載

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

それでもAさんは、施設からもらった書類の束を開きました。

重要事項説明書の「前払金の返還」という欄に、こう書かれていました。

「入居後3か月以内に契約が終了した場合、前払金から入居期間に応じた家賃相当額を差し引いた額を返還します」

Aさんは施設に問い合わせました。担当者は、こう説明しました。

「有料老人ホームは、入居後3か月が過ぎるまでに契約が解除されたり、入居者の方が亡くなって契約が終わったりした場合、前払金をお返しすることが法律で定められています」

差し引かれるのは、実際に入居していた日数分の家賃などです。計算の方法も決まりの中で定められており、家賃などの月額を30で割った額に、入居していた日数を掛けます。

返ってきたのは、580万円だった

Aさんの母の契約では、家賃相当額は月10万円でした。

月10万円を30で割り、入居していた58日分を計算すると、およそ19万3,333円です。

600万円からこの分を差し引いた、およそ580万6,667円が返還される計算になります。1円未満をどう扱うかは、契約書の計算方法によります。

このほか、契約で入居者側の負担とされている原状回復の費用などがあれば、別に精算されることがあります。

「戻らないと思っていたお金が、ほとんど返ってくるのですね」

Aさんは驚きました。

なお、3か月を過ぎていた場合も、返還がないわけではありません。契約で定めた償却の期間が終わる前に契約が終われば、償却が済んでいない分は返還の対象になります。計算の方法は、契約書や重要事項説明書に書かれています。

返還金を誰が請求し、誰が受け取るかは、契約によって定められています。Aさんの場合は、母に返還されるものを相続人が受け取る形でした。

返還までにかかる期間も、契約によって異なります。Aさんの場合は、居室を明け渡してから1か月半ほどで振り込まれました。

また、事業者には、前払金を返せなくなった場合に備えて、銀行の保証などの備えを用意しておくことが義務づけられています。

入居のときに、家族で確かめておく

Aさんは、こう振り返ります。

「入るときは、母の部屋のことで頭がいっぱいでした。お金が戻る場合があるなんて、考えもしませんでした」

前払金のある契約では、入居のときに次の4つを確かめておくと、後で困りません。

前払金はいくらか。何年分を前払いしているか。入居のときに差し引かれる初期償却があるか。返還金は誰が受け取るのか。

いずれも、契約書と重要事項説明書に書かれています。入居の説明を受ける場に、できれば家族が同席してください。

「母のときは、書類を受け取るだけで精一杯でした」

入居の手続きは、体調が急に変わったあとに進むことが少なくありません。その場で理解しきれなくても、書類は必ず持ち帰り、あとから家族で読み返せば十分です。

そして、退去や逝去で契約が終わったときは、施設からの連絡を待つだけでなく、その欄をもう一度開いて確認してみてください。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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