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「どこへ消えたんですか…」240万円払った終身保険を解約した60代女性、振り込まれた返戻金を見て“血の気が引いたワケ”

  • 2026.9.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで保険の見直し相談を数多く受けてきた柴田です。

「保険を解約しようと思うんです」という相談で、私が必ず確認することがあります。

保険証券に「低解約返戻金型」と書かれていないか。今回は、その確認をせずに解約してしまった60代のAさんのお話です。

「貯金代わり」のつもりで10年払い続けた

Aさん(60代女性)は10年前、保険の担当者に勧められて終身保険に加入しました。

「保険料も割安ですし、解約すればお金も戻ってきます。貯金代わりですよ」という説明を受けて加入。月2万円ほどの保険料を10年間、きっちり払い続け、払込総額は240万円になっていました。

ご主人の退職を機に、老後資金の足しにしようと解約を決意。「240万円払ったから、それに近い額は戻るだろう」と思っていたAさんの口座に振り込まれたのは、約145万円でした。6割ほどです。

「100万円近くどこへ消えたんですか」。血の気が引いた様子で、私のところへ相談に来られました。

「一番損なタイミング」で解約していた

私が証券を確認すると、そこには「低解約返戻金型」の文字がありました。この型は、保険料の払込期間中に解約した場合の解約返戻金を、通常の終身保険の7割程度(商品によって割合は異なります)に抑えることで、その分だけ毎月の保険料を割安にしている商品です。

そして最大のポイントは、払込期間が満了した後は返戻率が大きく跳ね上がることです。つまり返戻率のカーブは、払込期間中はぐっと低く抑えられ、満了の瞬間に急上昇する形になります。Aさんの契約は払込期間15年。あと5年待てば、返戻金は払込総額を上回る可能性がありました。結果的に、一番損なタイミングで現金化してしまったのです。

「保険料が安い」には理由があり、その理由が「途中で解約したら、返戻金は少ない」という条件だった。この構造を知らないまま「貯金代わり」と理解していたことが、Aさんの誤算の正体でした。

「保険は保険、貯蓄は貯蓄、投資は投資」で分けて考える

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「保険」「貯蓄」「投資」は、それぞれ目的や性質が異なるツールです。

貯蓄型保険は「保障と資産形成を1つの契約でまとめられる」という手軽さがある反面、払った保険料のうちいくらが保障の対価で、いくらが積立に回っているかの内訳が分かりにくい特徴があります。Aさんが10年間「貯金代わり」と捉えていた背景にも、この構造が見えにくい点がありました。

また、金融商品としてのコストの示し方にも違いがあります。生命保険文化センターの解説にもある通り、保険料の一部は死亡保険金等の支払いだけでなく保険会社の運営経費にも充てられます。投資信託などでは「信託報酬年◯%」と明示されるのに対し、保険商品はこれらの経費率が個別に開示されない仕組みになっています。そのため、加入者が実際のコスト負担感を把握しにくい面があります。

もちろん、貯蓄型保険には「半強制的に積立ができる」「万一の保障も同時に準備できる」といったメリットもあります。しかし、コストや役割を明確に整理したい場合は、目的別に分ける方法も効果的です。

例えば、保障は掛け捨て保険で備え、貯蓄は預金や個人向け国債、運用はNISAなどを活用すると、各ツールにかかるコストや資産の状況を把握しやすくなります。

では、すでに貯蓄型保険に加入している場合はどう判断すればよいでしょうか。ひとつの基準となるのが、払込満了までの残り年数です。

Aさんのように払込満了が目前に迫っている場合は、途中で解約せず最後まで払い切るほうが、返戻率の面で有利になる傾向があります。一方、満了までまだ長い期間が残っている場合は、今後支払う保険料と得られる保障・返戻金を照らし合わせ、掛け捨て保険と他の積立手段へ切り替えるほうが適しているケースもあります。

まずは保険会社に「現時点の解約返戻金額」と「払込満了時の見込み額」を問い合わせ、ご自身の状況を確認してみることをおすすめします。

まとめ

「保障」「貯蓄」「運用」のすべてを1つで完璧にこなせる万能な金融商品は多くありません。役割が複雑な商品ほど、かかっているコストの構造が見えにくくなる側面があります。まずはご自身の保険証券で「低解約返戻金型」の記載や「払込期間」を確認してみましょう。

解約返戻率がどの段階にあるか不明な場合は、保険会社のカスタマーセンターで照会が可能です。払込満了が近い場合は継続を検討し、満了まで長期間残っている場合は今後の保険料負担を踏まえて見直しを比較検討するなど、ご自身の状況に合わせた慎重な判断が大切です。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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