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「退去すれば戻ってくる」母の老人ホームに“入居一時金500万円”を払った50代娘→1年半後、提示された返還額に“絶句したワケ”

  • 2026.9.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで介護のお金の相談を数多く受けてきた柴田です。

有料老人ホームの「入居一時金」。この言葉から、敷金のような「預けておいて、出るときに戻るお金」を想像していませんか。

今回は、その思い込みで500万円の計算が狂った50代のAさんのお話です。

「戻るお金だから」と選んだ一時金プラン

Aさん(50代女性)は、お母様の入居先として月額費用が抑えめの有料老人ホームを選び、入居一時金として500万円を支払いました。「一時金は預け金のようなもので、退去すれば戻ってくるから」。そう理解していたので、実家の売却代金を充てることに迷いはなかったそうです。

ところが1年半後、お母様の介護度が上がり、医療対応のできる別の施設へ移ることになりました。退去にあたってホームから提示された返還額を見て、Aさんは絶句します。戻ってくるのは半分以下。

「まだ1年半しか住んでいないのに、250万円以上が消えるんですか」と、私のところへ相談に来られました。

一時金は「預け金」ではなく「前払い家賃」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

書類を一緒に確認しながら、私は一時金の正体をお伝えしました。入居一時金は預け金ではなく、想定居住期間分の家賃を先に払う「前払い金」です。住んだ期間に応じて毎月償却されていき、退去時に戻るのは、まだ償却されていない残りだけ。

しかもAさんのホームの契約には「初期償却30%」とありました。入居した瞬間に、500万円のうち150万円が償却される取り決めです。残りの350万円が5年かけて毎月償却される計算で、1年半住んだ時点の未償却分はおよそ245万円。ホームの提示額は、契約書どおりの数字だったのです。ルールに沿っているからこそ、知らなかった側だけが損をした形になります。

誤解のないように言うと、一時金方式そのものが悪いわけではありません。想定居住期間を超えて長く住んでも追加の家賃はかからないため、長生きするほど月払いより総額が安くなる設計です。問題は、この仕組みを「預け金」と誤解したまま、住み替えの可能性を考えずに契約してしまうことにあります。

知っておきたい「90日ルール」と月払いという選択肢

一方で、入居する家族を守る仕組みもあります。契約から90日以内の解約や退去なら、利用した期間の実費を除いて前払金が原則全額返還される「短期解約特例(90日ルール)」です。入居直後に「合わない」とわかったのに、違約金のようなものと諦めて申し出ない家族もいますが、これは法令に裏付けのある権利です。

また最近は、入居一時金ゼロで月額払いを選べるホームも増えています。一時金方式は長く住むほど有利、月払い方式は早く退去する場合に有利という関係なので、「何年住むかは読めない」前提でどちらが得か試算してから決めるのが正解です。介護度の変化で住み替えが起きることは、Aさんのケースのように珍しくありません。

なお、前払金には保全措置が義務付けられており、万一ホームが倒産した場合には、未償却分について一定額(500万円が上限の仕組みが一般的)まで保証されます。契約前に、保全措置の有無と保全先も重要事項説明書で確認しておくと安心です。

まとめ

ホーム見学のパンフレットで注意して読むべきは、重要事項説明書にある「初期償却率」「償却期間」「返還金の計算式」3か所です。同じ500万円の一時金でも、この3つ次第で戻り方はまったく違います。

見学の際に「1年で退去した場合、いくら戻りますか」と具体的に質問し、書面で確認してください。親の介護のお金は、感情で決めたくなる場面ほど、数字で守る必要があります。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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