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父の死後、消費者金融から“480万円の督促状”が→「相続放棄すれば大丈夫」と思いきや…司法書士から告げられた“思わぬ事実”

  • 2026.9.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、父の借金を知って相続放棄を決めた50代のAさんの体験談です。

「期限内に手続きすれば問題ないはず」

そう思っていたAさんでしたが、申し立ての前に実家の遺品を売ったことで、放棄ができなくなるおそれがあると知ります。何をすると相続放棄ができなくなるのかをご紹介します。

父の郵便物から出てきた督促状

父を亡くしたAさん(50代男性)は、実家の郵便受けを確認しに行きました。たまっていた封書の中に、消費者金融からの督促状がありました。残高は約480万円です。父の預金は50万円ほどしかありません。

「相続放棄をするしかない」

Aさんは手続きを調べ、家庭裁判所に「相続放棄の申述」をする必要があると知りました。

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」が期限です。父が亡くなったのは1か月前ですので、まだ余裕があります。

Aさんはひとまず、実家の片づけを先に進めることにしました。

相続放棄の前に気をつけたい「財産の処分」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

片づけの途中、Aさんは父が集めていた骨董品を見つけました。買取業者に持ち込むと、6点で18万円になりました。Aさんはその代金を自分の口座に入れ、一部を生活費に使いました。

数日後、司法書士に相談したAさんは、思わぬことを告げられます。

「相続財産を処分すると、単純承認をしたとみなされる場合があります。そうなると、相続放棄ができなくなることがあります」

民法では、熟慮期間中に相続財産を処分した場合、法定単純承認にあたるとされています。借金も含めてすべてを引き継ぐ、という意思表示をしたものとして扱われるのです。

「片づけただけのつもりでした」

Aさんは、何気なく取った行動が相続放棄に影響する可能性があると知り、驚きました。

「片づけ」のどこからが処分にあたるのか

ただし、片づけをしたこと自体で直ちに単純承認とみなされるわけではありません。財産の価値を保つための行為や、経済的な価値のないものの処分は、扱いが異なります。問題になりやすいのは、価値のある遺品を売って、その代金を自分のために使うような行為です。

Aさんの場合、骨董品を売ったことに加えて、その代金を自分の生活費に使った点が問題になりました。

「では、どうすればよかったのでしょうか」

判断がつかないものは、売却する前に専門家や家庭裁判所に相談する。この順番で進めるとよいでしょう。

なお、財産の状況を調べても判断できない場合は、家庭裁判所に「期間の伸長」を申し立てて、期限の3か月を延ばすこともできます。

「借金がいくらあるか分からないうちは、売却しないほうがいいということですね」

預金を解約する、不動産の名義を変える、遺品を売る。いずれも財産に手をつける行為にあたります。葬儀費用を故人の預金から支払った場合も、金額や内容によっては問題になることがありますので注意してください。

相続放棄をすると、次の相続人に移る

もうひとつ、Aさんが知らなかったことがあります。

相続放棄をすると、同じ順位の相続人が全員放棄して初めて、次の順位に移ります。子が全員放棄すれば父母などの直系尊属へ、直系尊属も全員放棄すれば兄弟姉妹へと進みます。

Aさんが1人で放棄しても、弟はもともと同じ第1順位の相続人なので、弟にも借金の請求が及ぶ可能性があります。二人とも放棄すれば、次は存命の祖父母へ、祖父母もいなければ父の兄弟姉妹へと、順に移っていきます。

借金があるかもしれないと感じたら、片づけより先に、財産と負債を調べましょう。

まず、実家に届く郵便物と通帳の引き落とし記録を確かめてみてください。借入先が分からない場合などは、信用情報機関に開示を請求することも検討しましょう。

なお、信用情報機関は複数あり、それぞれに請求が必要です。税金の滞納や個人間の貸し借りなど、登録されていない債務は分からない点にはご注意ください。

相続放棄を考える可能性があるなら、遺品を処分する前に、まず相続財産と負債の全体像を確認しておくことが大切です。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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