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「同じくらい戻ってくるはず」792万円払った終身保険を解約しようとした60代男性→しかし、FPから指摘された“意外な落とし穴”

  • 2026.9.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

終身保険を長く続けていると、「これだけ長く払ったのだから、解約すれば払った分くらいは戻ってくる」と考える人もいるかもしれません。

しかし、生命保険は預貯金とは違います。30年間で約792万円を払っていても、解約時に同じ金額が戻ってくるとは限りません。さらに、解約すると、それまでの死亡保障もなくなります。

今回は、老後資金を増やすために終身保険を解約しようとした65歳男性の事例から、解約前に確認しておきたいポイントを見ていきます。

※プライバシーの観点から、事例の内容を一部調整しています。

「30年で約792万円払ったから、同じくらい戻る」と思っていた

65歳男性のKさん(仮名)は、35歳ごろに死亡保障1,000万円の終身保険へ加入しました。毎月の保険料は約2万2,000円です。

結婚して子どもが生まれたことをきっかけに、万一のときに家族へお金を残すために入りました。年間の保険料は約26万4,000円です。単純計算すると、10年間で約264万円、20年間で約528万円になります。

住宅ローンや教育費で家計が苦しい時期もありましたが、「せっかくここまで続けたのだから」と解約せず、約30年間払い続けてきました。

30年間の払込総額を計算すると、

2万2,000円×12カ月×30年=792万円

です。

子どもはすでに独立しています。Kさん自身も65歳となり、これからの生活費や自宅の修繕費を考えるようになりました。そこで思い出したのが、長年続けてきた終身保険です。

「死亡保障1,000万円は、もうそこまで必要ないかもしれない。約792万円も払ってきたのだから、解約すれば同じくらい戻ってくるだろう」Kさんはそう考え、解約して受け取ったお金を老後資金に回すつもりでした。

約792万円払っても、約792万円戻るとは限らない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ところが、解約前にFPへ相談すると、Kさんは思わぬ指摘を受けます。

「約792万円払ったからといって、その金額がそのまま戻るわけではありません。まず、今解約したらいくら受け取れるのかを確認しましょう」

終身保険には、解約すると「解約返戻金」というお金を受け取れる商品があります。ただし、毎月払った保険料が、そのまま貯金のように積み立てられているわけではありません。

たとえば、払込総額792万円に対して、解約返戻金が712万8,000円なら90%、752万4,000円なら95%です。792万円戻って、ようやく払込総額と同じ金額になります。

※上記は分かりやすくするための計算例です。実際の解約返戻金を示すものではありません。

実際に戻ってくる金額は、保険の種類や加入した年齢、契約してから何年たっているか、いつ解約するかなどによって変わります。また、「低解約返戻金型」と呼ばれる商品もあります。これは、保険料を払っている期間などの解約返戻金を通常より低くする代わりに、保険料を割安にしたタイプです。

Kさんは、それまで「毎月約2万2,000円を30年間積み立ててきた」という感覚で保険を見ていました。

しかし、生命保険は預金ではありません。今解約したらいくら戻るのかは、手元の契約資料を確認し、分からなければ保険会社へ問い合わせる必要があります。

FPからの指摘「解約すると1,000万円の保障もなくなります」

Kさんがもう一つ見落としていたのが、解約後の保障です。

FPから、「戻ってくる金額だけでなく、解約すると1,000万円の死亡保障もなくなる点を確認しておきましょう」と言われ、Kさんは考え込んでしまいました。

終身保険を解約すると、その契約は終了します。そのため、以後の死亡保障もなくなります。「必要になったら、また保険に入ればいい」と考える人もいるかもしれません。

しかし、Kさんは35歳で加入し、現在は65歳です。65歳で新しい生命保険へ入り直す場合、35歳のころより保険料が高くなることがあります。健康状態によっては、条件が付いたり、希望する保険に入れなかったりする可能性もあります。

そのため、「払った金額と同じくらい戻るようになったから解約」と、戻ってくる金額だけで決めるのは注意が必要です。Kさんの場合も、子どもが独立したからといって、1,000万円の保障がすべて不要とは限りません。

配偶者にどのくらいお金を残したいのか、葬儀などに使うお金を別に準備できているのかも確認しておきたいところです。

「元が取れるか」ではなく、これから必要なお金と保障で考える

終身保険を見直すときは、「これまでいくら払ったか」だけではなく、「これから何が必要か」を考えることが大切です。

Kさんの場合、まず確認したいのは、約792万円の払込総額に対して、今解約するといくら受け取れるのかという点です。

そのうえで、解約すると1,000万円の死亡保障がなくなっても問題ないのかを考えます。また、選択肢は「そのまま続ける」か「全部解約する」だけではありません。契約によっては、死亡保障を小さくする「減額」ができる場合もあります。

※解約返戻金を一時金として受け取る場合、保険料を負担した本人が受け取れば、原則として一時所得の対象になります。一方、保険料を負担した人と受取人が異なる場合は、贈与税の対象となることがあります。

30年間続けた保険だからこそ、「約792万円払ったから、同じくらい戻れば解約」と考えるのではなく、これから必要になる生活資金と、家族に残したい保障の両方を見ながら判断することが重要です。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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