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「保険を解約すればいい」戸建てに住む60代夫婦、自宅の修繕費 312万円に充てようとするが…後日、判明した“800万円”の大誤算

  • 2026.9.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

自宅の修繕などで、突然300万円ほどのまとまったお金が必要になることがあります。そんなとき、生命保険に解約返戻金があれば、「解約して現金にすればいい」と思う人もいるでしょう。

ただ、解約すると、その保険契約の保障はなくなります。一方、契約内容によっては、保険を残したままお金を借りられる「契約者貸付」を使える場合があります。今回は、自宅修繕で約312万円が必要になり、30年間続けた終身保険を解約しようとしていた63歳男性のケースを紹介します。

「430万円戻るなら、解約すればいい」と考えた

Dさんは63歳。妻と2人で築27年の戸建て住宅に暮らしています。屋根や外壁、水回りの修繕が重なり、見積額は約312万円になりました。

夫婦の預金は約1,150万円。ただ、今後は年金中心の生活になるため、「できれば900万円程度は残しておきたい」と考えていました。そこで思い出したのが、33歳ごろから約30年間加入している終身保険です。

死亡保険金は800万円で、現在の解約返戻金を確認すると約430万円ありました。

Dさんは、「312万円必要なら、430万円戻る保険を解約すればいい」と考えていました。

子どもはすでに独立していますが、妻のためにある程度の保障は残しておきたいとも考えていたそうです。そこで、解約した場合に失う保障についてFPに確認することにしました。

「430万円を受け取ることだけでなく、解約すると800万円の死亡保障もなくなる点を確認しておきましょう」

Dさんは、「戻るお金ばかり見ていました」と話していました。そして契約内容を確認すると、この保険では契約者貸付を利用でき、貸付可能額は約350万円でした。

つまり、必要な312万円は、保険を解約しなくても用意できる範囲だったのです。

312万円を借りても、800万円がそのまま残るわけではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

契約者貸付とは、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りる仕組みです。Dさんの場合、解約返戻金は約430万円でしたが、貸付可能額は約350万円でした。

解約返戻金が430万円あるからといって、全額を借りられるわけではありません。また、終身保険なら必ず利用できるわけでもなく、借りられる金額は契約によって異なります。

Dさんは、必要な修繕費312万円を契約者貸付で用意する方法を検討することになりました。

一方で、契約者貸付は借入なので利息がかかります。たとえば貸付利率を年3%とすると、312万円に対する1年分の利息は概算で約9万3,600円です。

契約者貸付の利息は複利で、返済しない利息が元金に組み入れられると、その後は元利金がさらに増えていきます。

※実際の貸付利率や計算方法は契約によって異なります。

借りたままDさんが亡くなった場合は、未返済の元金や利息が死亡保険金から差し引かれます。そのため、契約を残せたとしても、家族が800万円をそのまま受け取れるとは限りません。

※なお、借入額と利息が増えて解約返戻金を上回り、保険会社から求められた金額を期限までに支払わないと、契約が失効する場合もあります。

解約返戻金430万円だけで決めない

Dさんが最初に考えていたのは、「預金から312万円を出すか、保険を解約して430万円を受け取るか」という2つの方法でした。

しかし、契約内容を確認したことで、「契約者貸付で312万円を借り、保険契約を残す」という選択肢も見つかりました。

もちろん、契約者貸付が必ず有利とは限りません。今後ほとんど死亡保障が必要ないなら、解約する方法もあります。一方、配偶者に保障を残したいなら、解約によって何を失うのかまで確認する必要があります。

まとまったお金が必要でも、すぐに解約しない

保険を解約するときは、「いくら戻るか」だけで判断しないことが大切です。

今回のDさんなら、解約返戻金約430万円だけでなく、死亡保障800万円がなくなること、契約者貸付なら約350万円まで借りられること、借入には利息がかかることまで比べる必要があります。

まとまったお金が必要になったときは、解約を決める前に契約者貸付が使えるか確認してみるのも一つの方法です。

長く続けてきた保険ほど、「受け取れる金額」と「解約すると失う保障」の両方を確認してから判断することが大切です。

※事例は相談内容をもとに、個人が特定されないよう一部を調整しています。貸付可能額や貸付利率などは、保険会社、商品、契約時期によって異なります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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