1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 夫の死後“月10.5万の遺族年金”を受け取ってきた60代妻→後日、年金事務所で告げられた“残酷な仕組み”に「初めて知りました…」

夫の死後“月10.5万の遺族年金”を受け取ってきた60代妻→後日、年金事務所で告げられた“残酷な仕組み”に「初めて知りました…」

  • 2026.9.18
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、出産を機に一度退職し、その後パートから正社員へと働き方を変えてきた60代女性Aさんの体験談です。65歳になり、自分の老齢厚生年金が受け取れるようになったAさんが、年金事務所で知った“併給調整”の現実とは?!

諸手続きで来店、雑談から出てきた年金の話

Aさんは65歳になったばかり。子供はすでに独立しています。

結婚して子供が生まれたのを機に一度退職し、10年ほど子育てに専念していました。子供が小学校に上がったころからパートで働き始め、40代になってから正社員として採用され、定年まで厚生年金に加入し続けました。

夫はAさんより3歳年上でした。3年前、夫が65歳になり、いよいよ自分の老齢厚生年金を受け取り始めようとしていた矢先に、病気で亡くなりました。長年厚生年金に加入していたことから、Aさんは遺族厚生年金を受け取ってきました。金額は月10万5,000円ほどです。

この日、Aさんは通帳関連の手続きで窓口を訪れました。手続きの合間の雑談で、もうすぐ自分の老齢厚生年金の受給が始まることを、うれしそうに話してくれました。

「パートから正社員に変えて、厚生年金にもしっかり加入してきたので、その分が上乗せされるはず」

自分の老齢厚生年金は月8万円ほどになる見込みだといいます。

「これまでの遺族厚生年金10万5,000円に、自分の老齢厚生年金8万円が上乗せされる。そう考えると、これからは月18万5,000円くらいになるのかな、と楽しみにしていました」

「単純に合算されるとは限らない」という一言

Aさんの話を聞いた担当者は、こう伝えました。

「遺族厚生年金と、ご自身の老齢厚生年金の両方を受け取れる権利がある場合、単純に合算されるとは限らない仕組みがあります。金額の詳しい計算は年金事務所の管轄になりますので、ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所で確認しておかれると安心です」

「え、増えるだけじゃないかもしれないんですか?!初めて知りました。」

Aさんは驚いた様子でしたが、その場では詳しい金額までは分からないまま、この日は帰宅しました。

年金事務所で分かった、両方の合計額

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

後日、Aさんは年金事務所を訪れ、あらためて試算をしてもらいました。

65歳以降、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金の両方を受け取る権利がある場合、まず自分の老齢厚生年金が優先して全額支給され、遺族厚生年金は、これまでの遺族厚生年金の額のほうが高い場合に、その差額分だけが上乗せされる仕組みだと説明を受けました。

Aさんの場合、これまでの遺族厚生年金10万5,000円のほうが、自分の老齢厚生年金8万円より高かったため、その差額2万5,000円だけが遺族厚生年金として上乗せされることになりました。老齢厚生年金8万円と、遺族厚生年金の差額2万5,000円を合わせると10万5,000円。これは、これまで受け取っていた遺族厚生年金の金額と、ちょうど同じでした。老齢基礎年金についてはこの調整とは関係なく、これまで通り全額受け取れることも確認できました。

その後、また銀行に立ち寄ったAさんは、担当者にこの顛末を話してくれました。

「パートから正社員に変えて頑張ってきたつもりでしたが、合計額はまったく増えていませんでした。銀行で『単純に合算されるとは限らない』と聞いていなかったら、もっと驚いていたと思います」

「年金は、亡くなった夫の分と自分の分、両方もらえると思っていた」とAさんは振り返ります。

年金事務所からは、公的年金には「1人1年金」が原則としてあり、複数の年金を受け取る権利がある場合は、どちらか一方を選ぶか、今回のように高いほうの額を基準に調整される仕組みになっていると説明を受けたそうです。

「悪いことばかりではないんですね。自分の年金記録がきちんと反映された結果、というふうにも思えました」

・65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受け取る権利がある場合、自分の老齢厚生年金が優先して全額支給される
・遺族厚生年金は、これまでの遺族厚生年金の額のほうが高い場合に、その差額分だけが上乗せされる(自分の老齢厚生年金のほうが高い場合、遺族厚生年金は全額支給停止になる)
・老齢基礎年金は、この調整とは関係なく全額受け取れる
・公的年金には「1人1年金」の原則があり、複数の年金の受給権がある場合は選択または調整が行われる
・具体的な年金額の計算や試算は、ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所で確認できる

「両方の年金がそのまま合算される」と思い込む前に、65歳を境に仕組みが変わることを知っておくことが、老後の資金計画の見通しを立てる第一歩です。遺族年金と自分の年金の関係について気になることがあれば、年金事務所に相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ